ジョギング・マラソン/ジョギング・マラソンの走り方、トレーニング

フルマラソン1週間前の練習&食事と過ごし方

マラソンの一週間前はどのように過ごせばいいのでしょうか? マラソンの成否を最後に左右するのは体調。とっくに仕上がってしまった人、調子が上がらず焦り気味の人……。基本は疲れを残さずにレースに臨むことと体重を増やさずにレースを迎えることが大切です。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

<目次>

マラソンのレース日まで人事を尽くす

大会の10日ぐらい前の時期のランナーの心境は実に多様です。練習を計画通りにこなせなかった人は、焦り気味で心配が募ります。十分に走り込んで来た人は、待ち遠しくてしかたがない。故障が治りきっていない、順調にきたと思ったら、ここにきて仕事が急に忙しくなったり、出張で最後の調整が難しくなってしまったりなど、競技に生きるわけではない市民ランナーにとって心配の種は尽きません。

しかし、どんな事態にあっても残された時間は限られており、今からできることも限られています。目に見えて筋力や持久力をあげることもできないし、体重を落とすといってもほんのわずかです。もはやジタバタしても始まりません。

「人事を尽くして天命を待つ」といいますが、「人事を尽くさなかった人も天命を待つ」しかありません。とはいうものの、それはこの時までの話です。今からスタートするその時まで、いや走り出してからも人事を尽くせば何もしないよりよほどマシです。これからの10日足らずの間にやれることはやりましょう。
フルマラソン1週間前の練習&食事と過ごし方

フルマラソン1週間前の練習&食事と過ごし方を解説します。

 

マラソンの1週間前には10kmのスピード走を

本番の1週間前までは、スタミナをつけることに重点を置いた練習をしていると思いますが、最後はスピード慣れをしておきましょう。大会前週の土or日か空いた日に、10kmのレースまたはペース走でスピード慣れをし、体に刺激を与えておきましょう。ただし、ウォーミングアップに5kmほど、クーリングダウンに2~3kmのジョギングを加えます。走行距離の合計は20km弱になります。回復が早い若い方なら10kmではなくハーフでも大丈夫です。

総走行距離を長くするのは、減量の狙いもあります。レース前々日からカーボローディングを行うのですが、大量に炭水化物を摂れば当然体重が増加します。その増加を考慮に入れて、太る分だけ痩せておこうというわけです。

1週前の日曜日を中心にした5日間ぐらいは、日曜日に走る10km~ハーフのレースだけでなく、他の日も10km程度はジョギングでよいので走ります。走る時間が取れなければ、極力歩きましょう。歩くだけでも体重の管理はできます。

この時のランニングは、走力をアップしようというものではありませんから、筋肉に大きなダメージを起こすような果敢な走りはいけません。気持ちよく風を切って走るというつもりで。走った後は、受けられるならマッサージを受けておきます。マッサージを受けられるような恵まれた環境にないなら、ストレッチングを十分に行います。
 

レース数日前までお腹は空き気味

体重を抑制する上でのもう一つの重要な要素は、もちろん飲食です。炭水化物や脂肪分の摂取は、普段の半分ぐらいに抑えます。野菜は旬のものを煮るか蒸すか焼くかして、たっぷり食べましょう。生野菜は体を冷やすのでよくありません。これに小魚や納豆、味噌などを加えます。お腹が空き気味でちょうどいいくらいです。

強度の高い練習を行ってしまうと、その程度の食事では体力が回復しません。スピード走といっても、走力を付けることを目的とするような厳しい練習をしないという理由はここにあります。もちろん、直前の故障発生リスクを避けるという意味もあります。

ここまで練習不足を心配してきた人も、レース一週前にハーフぐらいを少し疲れが残る程度で走れれば、レースに向けて徐々にコンディションだけは上げていけるでしょう。
 

絶好調ならもう上げずに維持を

心配されるのは、レースを待たずに好調がやってきてしまった人です。走れてしまうので、ついついスピードも上がります。距離も伸びてしまうため、ここでひと鞭入れておけば、さらに記録の向上が望めるかもと欲が出るのですが、まずそれでいいことはありません。

やってしまえば、そこが絶好調となり、後は調子が下がるばかりです。好調だなと思ったら、その好調さを上げる必要はないので、もっぱら落とさないようにします。走り込んで維持するのではなく、ランニングはほどほどにして、ストレッチやウォーキングで体調を維持します。走りたいという欲望を徐々に徐々に高めるつもりで、レースまでの一週間を過ごします。
 

カーボローディングの効果

レースの数日前までは摂取エネルギーを極力控え、レース数日前から炭水化物を増やすというカーボローディングについては、賛否があるようです。私もいろいろとやってみましたが、カーボローディングは、確かに効果があるように感じました。カーボローディングは「プチ断食」と理屈は同じであり、効果がないとは考えにくいと思います。

フランスで卵を産まなくなった鶏に断食をさせ(要するにエサをあげなかったのですが)、その後再びエサを与えたら卵を産むようになったという話を聞いたことがありますが、ランナーにも同様のことはありうるでしょう。断食後の食事は、単に炭水化物の吸収がよくなるだけではなく、他の大事な栄養素の吸収も高まるのではないかと考えられます。
 

筋肉疲労は絶対残さない

ランナーは、特に体重のコントロールという要素もありますから、少しでも体重を落としておくことは意味があります。しかし、食事量を減らしている時期にハードな運動を行えば、体力の回復が遅くなる、体調を崩す、疲労が蓄積する、ということになるわけです。特に筋肉疲労がレース当日まで残るような練習(筋トレも含めて)は最悪です。レース数日前までの1週間は、そのバランスが大事だということ。自分の体が訴えてくることに注意をはらってください。

1週間前の10km~ハーフのスピード走を終えれば、レース当日までは次第に走る距離を減らし、スピードもジョギングからマラソンのレースペース程度で走ります。中間疾走をマラソンのレースペースで走ることは大事なことで、実際のレースペースを忘れないようにするに行います。
 

大会受付で「疲れた」なんてないように

この他の準備といえば、持ち物と着衣の準備と大会の受付です。例えば、大会受付会場で行われる東京マラソンエキスポは、前日が土曜日ですとたいへんに混みます。時間が早ければ、入場前に長い列に並ばなければなりませんし、会場も大混雑でかなり疲労します。エキスポを見たければ、前々日の金曜日までに行くようにしましょう。

あとは天気の予想を立てること。ウエアの選択だけでなく、気温が上がるようならペース設定も加減しなければなりません。あれこれと自分で考えなければならないこと、やらねばならないことが多いのですが、これが一人でコーチとマネージャーと選手を兼ねているからこそできる市民ランナーの楽しみと醍醐味、奥深さなのです。

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