2012年ころからつい最近まで、HDDの価格ははほとんど変わらなかった印象がある。というのも、新技術の投入がなく、容量や速度、消費電力などの面でほぼ代わり映えがしなかったというのが理由の主たるところだろう。
そうした安定市場の中で投入された1.2TBプラッタ搭載の製品のインパクトは大きい。
これまでの例では、2007年に市場投入された1TBしかり、2008年の2TB製品しかり、最大容量のHDDの登場時期の価格は4万円前後と少し手が出しにくいものが多かった。
それに対し、先ごろ発売されたウェスタンデジタルの6TB HDD「WD60EFRX」はいきなり3万円を少し上回るほどの値付け。さらに、2万円台で売るショップもあるなど、登場初期からすでに普及フェーズとなっているのは珍しい。
おかげで、既存の人気製品も軒並み価格が下がりはじめているというのが現状だ。前回紹介したとおり、筆者が特に注目しているのは3TBの製品。2013年のはじめから久しぶりに1万円を切り、なおも値下がりを続けている印象だ。
1万円を下回ると次第と終息に向かう製品が多いこともあり、筆者には「HDDは1万円に近づいたときが買い」という持論があるのだが、今回は4TBも射程圏内に入ってくるなど、なかなか悩ましいタイミングだ。
容量だけじゃない!用途によって性質の異なるHDDをチョイス
近頃のHDD製品のトレンドとして、同容量、同回転数の製品でも製品の特性に応じたバリエーションを持つものが増えている。たとえばウェスタンデジタルのHDDには、ラベルの色ごとに最適な用途が設定されている。
具体的には、黒いラベル(以下Black)ならデスクトップ向け、緑(以下、Green)は省電力マシン向け、などなど。中でも、最近アツいのが赤ラベル(以下Red)の製品だ。
Redは低消費電力かつ耐久性能が高く、主に連続稼働するNAS向けの製品として注目を集めているシリーズだ。
このようにHDDといってもいろいろあるわけだが、今回は今“買いだ”と思われる3~6TBの3.5インチHDDを集めてみた。今回の目玉は、1.2TBプラッタを搭載する6TBの「WD60EFRX」と、プロ用をうたう4TBの「WD4001FFSX」。このほかに、値ごろ感が出てきた2~4TBのHDDを中心にチョイスしている。
各ドライブの速度や消費電力を計測したので、選定の参考にしてほしい(詳細な結果は最終ページに掲載)。消費電力については、センチュリーのHDDクレードル「裸族のお立ち台USB3.0&eSATA」を利用。コントローラー部の消費電力は1W以下のため、ワットチェッカーに表示された値をそのまま計測している。
また、ウェスタンデジタルのHDDは、その多くが「IntelliPower」という技術を採用している。これはHDDの回転数をアクセスに応じて可変で駆動するというもので、同社では回転数を公表していない。
本記事ではベンチマークプログラム「CrystalDiskMark」による速度測定結果を掲載しているが、同時に「Crystal Discinfo」によって表示された回転数を表記している(どちらも入手先はhttp://crystalmark.info/)。
(次ページに続く、「3万円で購入できる6TBのHDDと1万円台で買える4TB HDD」)

この連載の記事
-
第3回
PCパーツ
SSDをさらに便利に! 大容量HDDを活用する6つのテクニック -
第1回
PCパーツ
最近価格低下の大容量HDD SSDとの使い分けが重要! -
PCパーツ
1.2TBプラッタで変わる!? 3.5インチHDDのトレンド - この連載の一覧へ