『ゼルダの伝説』シリーズのリメイクを夢見る。『ワンダーボーイ ドラゴンの罠』開発者が熱烈なラブコール

『ワンダーボーイ ドラゴンの罠』のリメイク制作に携わったインディースタジオLizardCubeのOmar Cornut氏は、海外メディアとのインタビューの中で『ゼルダの伝説』シリーズのリメイクを熱望していることを明かしている。具体的には『ゼルダの伝説』の初期2作品だ。

フランスに拠点を置くインディースタジオLizardCubeの設立者であるOmar Cornut氏が、Eurogamerのインタビューに答え、『ゼルダの伝説』シリーズのリメイクを夢見ていることを明かした。氏は1989年にセガ・マスターシステム向け発売された『モンスターワールドII ドラゴンの罠』を、『ワンダーボーイ ドラゴンの罠』としてリメイクしたクリエイターである。

インタビューにてCornut氏は、幼き頃より愛情を持っている8bit作品について熱弁し、『ワンダーボーイ ドラゴンの罠』をいかにリメイクしたのかという経緯や苦労を語っている。そして最後に『ワンダーボーイ ドラゴンの罠』と同じようなアプローチ(リメイク)をするのに、夢を見る8bitタイトルはあるか?とEurogamerに問われた際に、『ゼルダの伝説』と即答し、熱い想いを明かしている。

最初のゲーム(ゼルダの伝説)は良かったですよね。みんな賛同してくれるはずです。でも第二作目(リンクの冒険)は…なんというか、もっと良くできたかなと思います。僕らならゲームのちょっとした残念な部分を変え、改善させられるはず。いい候補作品です。ただ、初代の作品をリメイクするならあまり変えるところはないかなと思います。大きく変えてしまうと、ファンは暴動を起こすはずです。いずれにしても任天堂次第なので…。

Cornut氏がリメイクを夢見ているのは、どうやら初代『ゼルダの伝説』と『リンクの冒険』のようだ。初代はディスクシステム向けに発売された『ゼルダの伝説』で、シリーズの礎が生まれた原点である。『リンクの冒険』は初代のシステムを引き継ぎながらフィールド移動以外は、横スクロールアクションを基本とするシリーズの中でも異色作。根強いファンが存在するが、手強い難易度により賛否両論分かれる作品でもある。Cornut氏の頭の中では、この2作品を自分の手でどうリメイクするかがすでに思い描かれているようだ。

氏が手がけた『ワンダーボーイ ドラゴンの罠』は、非常に評価の高い作品である。同作は、オリジナル版を手がけた西澤龍一氏をはじめ、関係者の協力で実現した公式プロジェクト。ゲームプレイはオリジナル版のフィーリングを維持しつつも、グラフィックは滑らかなアニメーションで動く手描きイラストに一新し、音楽も新録されている。開発にあたっては、オリジナル版のゲーム性やメカニクスなどを忠実に再現するために、マスターシステム版のカートリッジからコードを抽出して徹底的にリバースエンジニアリングするほどこだわっている。

さらに、ゲームプレイ中にボタン一発でオリジナル版の8ビットグラフィックに切り替えることができるのだ。また、音楽も好きな時にボタンを押してオリジナル版のものに切り替えられる。この新旧のグラフィックと音楽は好きな組み合わせでプレイ可能だ。ちなみに、オリジナル版のグラフィックに切り替えてもワイド画面のまま変わらず60fpsで描画される。並々ならぬ情熱と、オリジナル版への最大の敬意を持ち、極めて丁寧にリメイクされた作品なのである。

原作の魅力を守りながら、現代向けに遊べるリメイク作品を仕上げ高い評価を獲得した。そんな彼らが、クラシックな『ゼルダの伝説』をリメイクすればどうなるか。ファンとしては期待の高まるコメントだろう。こうした旧作はバーチャルコンソールやミニファミコンなどで遊ぶことはできるが、本格的なリメイクがされたことがないだけに、需要も存在するとみられる。

『ゼルダの伝説』といえば、先日任天堂が同シリーズのレベルデザイナーを募集していることが話題を呼んだ。フランチャイズの新展開を予感させる動きだ。また海外デベロッパーが任天堂のIPをリメイクするという特異な事例には直近での実績がある。スペインのスタジオMercurySteamが、『メトロイド』シリーズのリメイクを熱望している話がプロデューサーの坂本賀勇氏の耳に入り、最終的に『メトロイド サムズリターンズ』の開発につながったという事例が存在するのだ(GameSpot)。

とはいえ、あくまでひとつのスタジオが開発を熱望していることを表明しただけに過ぎない。『ゼルダの伝説』規模のリメイクになれば、容易には外部スタジオに委託できないはずだ。ただし、クラシックな『ゼルダの伝説』が、実績のあるスタジオによって現代向けに蘇るというのは、興味を持つ人もいるだろう。最近では『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』をゲームボーイカラー風に表現する映像を作り出すユーザーがいるなど、クラシックな表現への熱も感じさせる。2Dや3D、レトロやモダンなど、さまざまな方向性でのフランチャイズ展開を心待ちにしたい。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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