「嵐」演習は東側諸国軍が初めてワルシャワ条約機構統一軍として連携を試みた場でもありました。そのため、ソ連軍だけでなくポーランド軍、東ドイツ軍、チェコスロバキア軍などで構成される多国籍軍が一体となって西ヨーロッパへの電撃戦を戦うために必要な改善点も数多く確認されています。 何よりも痛感されたのは統一軍内でのコミュニケーションの悪さでした。NATO軍と比較してワルシャワ条約機構諸国軍の通信装備は貧弱で、平時の指揮所演習であるにも関らず、作戦の根幹となるソ連軍の各野戦軍司令部同士の連絡さえ中断しがちでした。機材の数と質が大幅に劣っており、実戦となればどんな事態となるか想像できない、というハード面の貧弱さも大問題でしたが、さらに深刻なのは「文化の壁」でした。 将校なら多少なりとも英語が通じるNATO軍と異なり、東ドイツ軍将兵はロシア語の会話能力がほとんどありません。方面軍司令部レベルの参謀将校でも