東日本大震災の津波の被害は、地理的に広範囲に及ぶだけでなく、モノに込められた思いも押し流していった。 家族や友人の大切なアルバム・写真もその中の1つだ。筆者は猛暑日が続く7月16日~17日に宮城県山元町へ、写真洗浄・複写ボランティアに参加した。今回はそのリポートをお届けしたい。 がれきの中から救い出した推定約70万点の写真 ボランティアというと、避難所で救援物資の運搬や整理にあたったり、被災地でがれきや汚泥の除去を行ったりと、かなりの肉体労働を想像する人も多いはずだ。しかし写真の洗浄と複写も、神経を使う大変な作業であることには変わりはないが、力がないとできない種類のものではない。 朝6時半に新宿駅前に集合した「思い出サルベージ」(第8回洗浄複写会)の約90人の参加者のうち半数以上が女性。年配の人もおり、学会からの参加者、つまり普段は研究者という人も多い。いわゆる体力勝負の「ガテン系」なボラ
