『ブリタニア列王史』の中世の写本は215冊が現存している。その多数は12世紀末までに写されたものである。古い写本には多くのテキストの相違が見つかる(たとえば俗に「第一の相違」とか)。それらは3つあると考えられる序文と特定のエピソードの有無である。特定の相違は元にした写本に「作者が」追加したためと思われるが、多くは初期のテキストの改訂、追加、編集を反映しているものと思われる。 これらの相違の謎を解いて、ジェフリーの書いた原文をつきとめるのは非常に時間がかかり、また複雑で、最近になって、ようやくテキストをめぐる困難さの範囲がわかった程度である。 『ブリタニア列王史』は、(ローマ人によれば)トロイア戦争後イタリアに定住したトロイア人のアエネアスから始まる。その曾孫ブルータスは追放・放浪の後、女神ディアナの指示で西の海の島に定住し、自分の名をとってその島を「ブリテン」と名付けた。 以後、話は年代順
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