危機の実態を知らない経営陣 今年1月、NHKの新会長に福地茂雄氏(元アサヒビール社長)が就任し、副会長や理事も大幅に交代した。経営陣からは一様に「NHKはがけっぷちに立っている」「未曾有の危機だ」といった言葉が出てくるが、元同僚(私もかつてNHKに勤務したことがある)に聞いてみると、その危機感が現場とずれているのが気になる。 世間的に見ると、NHKの危機とは、昨今の横領やインサイダー取引などの不祥事だろう。それについては、弁護士を委員長とする第三者委員会を発足させるなど、きびしいコンプライアンス体制がしかれ、職員全員を査問するなど「内部統制の強化」に多大なエネルギーがさかれているようだ。 NHK職員の士気が低下している しかし今回のインサイダー取引事件の根本原因は、20年前の(セキュリティにほとんど配慮していない)ニュース原稿システムをそのまま使っていたことにある。金もうけに悪用できる情報
河野太郎氏の電波利用料の記事には、多くの怒りの声が集まっているようだ。しかし電波利用料の基準額は公表されているので、約35億円というのは、私が6年前のコラムに書いた通り、計算すればわかる数字だ。それにしても、なぜこんな巨大利権が半世紀以上にわたって維持されてきたのかを考える手がかりとして、本書を紹介しておこう。 本書では原発が中心になっているが、著者の前著『日本テレビとCIA』とあわせて読むと、冷戦の中でメディアとエネルギーを最大限に政治利用した正力松太郎という怪物が、現在の日本にも大きな影響を残していることがわかる(これは『電波利権』にも書いた)。正力は暗号名「ポダム」というCIAのエージェントで、米軍のマイクロ回線を全国に張りめぐらし、それを使って通信・放送を支配下に収めるという恐るべき構想を進めていた。 この「正力構想」はGHQに後押しされ、テレビの方式はアメリカと同じNTSCに
高画質が売りの動画共有サイト「Stage6」が2月28日(米国時間)にサービスを閉鎖する。運営元のDivXがサイト上で明らかにした。動画のアップロード機能はすでに停止している。 DivXの担当者は「このニュースは多くのStage6利用者に衝撃を与え、がっかりさせるであろうことは分かっている」とした上で、理由を次のように述べた。「簡単に言えば、Stage6の運営を続けるには非常に費用がかかる。膨大な手間と資源が必要で、我々は運営を続けるに足る状況にはない」 DivXでは真に高品質な動画サービスが求められていると感じ、Stage6を開始した。その思いはネットユーザーの共感を呼び、Stage6はあっという間に人気を集めた。その成功は同社の予想をはるかに超えていた。成功しすぎたがゆえに、Stage6はDivXの手に負えない存在となってしまった。 このためDivXは2007年7月から、Stage6を
「初音ミク曲がJASRAC管理楽曲になっている」――そんな小さな発見が昨年末、ネット上で大騒動を引き起こした。みんなで盛り上げてきたミク曲が、みんなのものじゃなくなる。ファンたちは焦った。 JASRAC(日本音楽著作権協会)に楽曲を信託すれば、使用料を支払って許諾を受けない限り、2次利用ができなくなる。ネット上で自由に利用しあうことで盛り上がったミク曲の創作のサイクルが、その時点で止まる。 ただ「ニコニコ動画」上で行われているような、無報酬で“勝手に”利用され続けるという形だと、作家が不満を覚えたり傷つくこともある。自分の曲がいつどこで改変されるか分からず、100万回再生されても1円も入らない状態は、健全といえるだろうか。 誰もが創り、誰もが発表できるCGMの時代に、作り手も受け手も幸せになれる仕組みはないか。「初音ミクが実験の場として役立つなら、喜んで提供したい」――ミクを開発したクリプ
道路特定財源は1954年に導入されたもので、自動車の急速な普及を背景に、全国の道路整備を急ピッチで進めるための財源と位置づけられる。 また、第1次石油ショック直後の1974年には、いわゆる暫定税率が上乗せされた。道路の一層の整備と財源確保、インフレ抑制のため、2年間の期間限定付き増税措置がとられた。 確かに、当時の道路整備状況はきわめてお粗末であり、道路整備は最優先の政策課題であった。例えば1960年の道路舗装率はわずか2.8%であり、道路総延長も96万kmにとどまっていた。 道路整備は8〜9割達成した、道路はもはや優先すべき政策ではない だが、特定財源導入から54年、暫定税率創設から34年が経過した今日、道路舗装率は80%に達した。道路総延長も1960年当時と比べ23万kmも増えており、道路整備は8〜9割達成済みの状態だ。 このため、現在の日本経済にとっては、道路整備が最優先課題とはも
Nikkei’s English website, Tech-On, reports that it gathered engineers in Japan and presented them with a stripped down MacBook Air. And they thought it sucked. Nikkei claims the Air is "a violent antithesis against Japanese manufacturing" traditions that allow for none of the compromises it represents. Editor Mayuko Uno reported that some engineers agreed that […] Nikkei's English website, Tech-On
ビジネス分野の物書きならばよく知っているように,カリフォルニア州クパチーノ注)の「神童」の仕事を少しでもけなそうものならば,Appleファンの逆鱗に触れて,たちどころに打ちのめされてしまう。我々がMacBook Airの分解記事で,Apple社の設計は効率の点で改善の余地があると指摘した後に出くわしたのは,ちょっとしたそれだった(関連記事)。我々の主張を米Wired誌のブログが取り上げて以来,記事を非難するコメントが次々に届いている。 注)同地にはApple Inc.の本社がある。 まず背景を整理しておきたい。日本のノート・パソコン・メーカーは,小振りなサブノート・パソコンを長い間手がけてきた。日本の消費者は少々高くてもコンパクトな機種を買ってくれるからで,ほとんどの機種が日本市場だけに向けたものである。たとえば,本誌の記者も重宝がっている,松下電器産業のレッツノート・シリーズ。同社のWe
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン Eamon Javers (BusinessWeek誌、米連邦議会特派員) 米国時間2008年2月13日更新 「Is Obama Good for Business?」 <関連記事:「マケイン氏、米実業界の敵か味方か」> 米大統領選の民主党候補指名争いは、北東部メーン州で2月10日に党員集会が行われ、バラク・オバマ上院議員(イリノイ州選出、民主党)がヒラリー・クリントン上院議員を抑えて勝利した。その直後、オバマ氏は米CBSテレビの報道番組「60ミニッツ」に出演するまでの間に、自分のパソコンで1通の電子メールを送った。 その相手は、メディアコンサルタントや支持者データ提供者ではない。投資銀行大手のUBSアメリカ(UBS)のCEO(最高経営責任者
「MacBook Airの外観は無駄がなくてスマートですけど,中身は無駄ばかりってことですか?」。作業の後に宇野記者が発したこの一言が,分解を終えた技術者たちの感想を代弁していた。 日経エレクトロニクス分解班は,国内大手パソコン・メーカーの技術者複数名の協力を得て,再生が困難なところまでMacBook Airを解体してしてみた。その結果明らかになったのは,意外な内部構造だった。参加した技術者たちは,「事前の想像と全く違った」「ODMの製品も含めて,これまで見たどんなパソコンとも違う」と振り返る。 技術者一同を驚かせたのは,非常にコストのかかる作りになっていたことである。例えば,部品を固定するネジの本数が極めて多い。キーボードを据え付けるものだけで,30本ほどもある。「全体のネジの本数は,うちの会社が作る場合と比べて数倍」(技術者の一人)。上下の筐体をつなぐヒンジや外装部品の内面を見た技術者
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 前回に続いて「時津風部屋暴行事件」を考えてみましょう。今回と次回は私たちが「裁き手」の立場に仮想的に立ったものとして、この問題を検討してみたいと思います。 改めて言うまでもないですが、私はジャーナリストではないし、読者の多くの皆さんも独自の取材網など持っておられないことでしょう。つまりこの事件に関する大半の情報は、マスメディアを通じて得るしかありません。 すべて人づてにもたらされた、確度の定かでない情報だけで、私たちは様々にこの事件に対して「心証」を持ちます。これが単に、メディアの一読者としてであれば、どういう意見を持っても、ほかに影響は与えません。 でももし、計らずして「裁判員」のくじ引きに当たって、この事件を審理することになったら、無責任
前回の「株価を上げる44市」では、上場企業の時価総額で見た都市の成長力は神奈川県茅ケ崎市が日本一であることを示し、内需拡大のためのバラマキにも選択と集中の必要があると主張した。 今回は、今後の成長に欠かせない海外からの対日投資の拡大にスポットを当てる。そのカギは規制改革にある。 外国人株主の比率に開き 不要な規制が撤廃されていれば、日経平均株価は3万5000円超――。もしかしたら、今頃はそんなバブル最盛期の株価に迫るような株価水準が可能だったかもしれない。そう思わせる数字が日経ビジネスの試算から弾き出された。 日経ビジネスは経済産業研究所などの調査結果を基に、政府の規制度合いが強い分野と自由度の高い分野から5業種ずつ抽出し、それぞれ「規制5業種」「自由5業種」とした。1998年1月の業種別株価を100として指数化し、その平均を取ってみると、規制分野と自由分野の差は驚くほど明確に出た。 自由
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン インドは、この2~3年、主にベンガル湾など東部海岸地方で大型ガス田の開発を進めている。財閥グループのリライアンス、インド石油天然ガス公社(ONGC)、グジャラート州石油公社(GSPC)などによるものだ。 このうちインド最大規模と目されるリライアンスのディルバイ・ガス田が、いよいよ今年、操業を開始する。その開発は、大きな期待を集めている。ディルバイ・ガス田はこれまで、全体の面積の20%に当たる3.14平方キロが調査され、原油換算で660億バレルの埋蔵が確認され、全体の推定埋蔵量は2050億バレルと見られている。 その内訳はガス状のものが400兆立方フィート、コンデンセート(液状)のものは50兆立方フィートと推定され、それぞれの確認埋蔵量は104
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