2013-03-08

MPEG LAとGoogleが特許で合意に達したというプレスリリース

Google and MPEG LA Announce Agreement Covering VP8 Video Format | Business Wire

GoogleがVP8を発表してより、H.264の特許管理団体であるMPEG LAは忙しく対VP8用パテントプールを構築すると宣言した。x264の開発者の言によれば、VP8は明らかにH.264と似通った部分もあるので、おそらくMPEG LAが管理する中で抵触する特許もあるだろうとのことであった。

Googleの戦略としては、「こちらもVP8のパテントプールを保有している。もし誰か、VP8に特許侵害を申し立てる者がいれば、こちらのパテントプールを使って反撃する」というものだった。

特許戦争は、もはや戦略核の様相を呈しており、お互いにパテントプールと称する大量の特許群を保有して、もし特許侵害を申し立てられたならば、こちらの保有する特許の中で、相手が侵害しているものを探しだして、逆提訴するという戦略が取られている。結果として、大抵の特許紛争はやたらと結論を引き伸ばした挙句、最後は和解で終わることが多い。実に労力の無駄であると言える。そのパテントプールを構築する特許も、たいていはクズ特許の塊であり、いざ裁判となればどんどんその有効性が否定されたり、解釈の結果抵触していなかったようなものばかりであるが、まあ、おどしの料にはなるだろう。

この戦略は、実際には特許を使って商売していない特許ゴロには通用しないが、その手の特許ゴロが使う特許は、たいていクズ特許なので、まあだらだらと裁判を続けることになる。

実に、昔も今も特許は技術革新を阻害している害悪であるが、まあ人間のやることは理解しがたい。

そして、今回のプレスリリースだ。興味深い不思議な表現が並ぶ。

Google Inc. and MPEG LA, LLC announced today that they have entered into agreements granting Google a license to techniques that may be essential to VP8 and earlier-generation VPx video compression technologies under patents owned by 11 patent holders.

"may be essential"(抵触しているかもしれない)とはなかなか興味深い表現だ。MPEG LAが実際に対VP8に使える特許の洗い出しが出来なかったのか、あるいはGoogleの面を立てるべく、Googleの営業部門がそういう表現を使うよう要求したのか。

ともかく、Googleとしては、MPEG LAの特許に抵触しているかもしれない技術を、他者にライセンス提供することが可能になった。これは、Google以外のVP8の実装も含むそうで、つまりはffmpegのようなソフトウェアによるVP8のエンコーダー、デコーダーの実装に特許上の懸念がなくなったということでもある。

また、次の表現も興味深い。

It further provides for sublicensing those VP8 techniques in one next-generation VPx video codec.

VP8のひとつ次の技術も、この同意に含まれるのだそうだ。まあ、しばらく先の話だろうが。

プレスリリースでは、Google側の結果についてのみ言及しており、MPEG LAが見返りに何を得たのかということを一切明らかにしていない。まあ、私の無責任な推測では、はした金が動いたのではないかと思うが。

1 comment:

mongrelP said...

既にVP9がChromiumに実装されてますよ

pFad - Phonifier reborn

Pfad - The Proxy pFad of © 2024 Garber Painting. All rights reserved.

Note: This service is not intended for secure transactions such as banking, social media, email, or purchasing. Use at your own risk. We assume no liability whatsoever for broken pages.


Alternative Proxies:

Alternative Proxy

pFad Proxy

pFad v3 Proxy

pFad v4 Proxy