家電
衣類ケア
2023/10/7 18:00

「クローゼット型スチーマー」でおしゃれ着やアウターを丸ごとケア! 1台4役の“衣類ケア家電”の活用法をプロが解説

アイロンやスチーマー、洗濯機などの衣類ケア家電に、まったく新しいジャンルが生まれています。それがクローゼット型スチーマー。2011年、韓国の総合家電メーカー・LGエレクトロニクスによって製品化され、国内では2017年に発売されました。2023年8月には、いよいよ国内メーカー・パナソニックからも新製品が登場し、市場の活性化がますます期待されています。

 

そこで「家電のある豊かな暮らし」をメディアやSNSを通じて20年以上にわたって発信、伝説的テレビ番組『TVチャンピオン』で家電王に輝き、現在もその異名を取る中村剛さんに、クローゼット型スチーマーの実力と魅力を教えていただきました。

 

24時間いつでもOK。自宅で簡単にできる衣服ケア

↑写真提供=パナソニック

 

まるで冷蔵庫やクローゼットのような箱型の外見。そもそも “クローゼット型スチーマー” とは、どのような製品なのでしょうか?

 

「衣類を専用のハンガーに吊るして庫内に入れておくだけで、自動で除菌・消臭・シワ取り・乾燥まで行ってくれる、1台4役のクローゼット型ホームクリーニング機です。スーツや制服、コートやダウンジャケット、デリケート素材の衣服や、型くずれしやすい帽子、クッションや枕など、これまで自分でお手入れするのが難しかったアイテムが、自宅で簡単にリフレッシュできます。しかも洗剤は不要。水だけでケアできるのもポイントです」(家電王・中村剛さん、以下同)

 

魔法のような技術のように思いますが、どのような経緯で商品化されたのでしょうか?

 

「クローゼット型スチーマーは、2011年に韓国の家電メーカー・LGエレクトロニクス(以下、LG社)が、同国で『LG Styler(エルジー スタイラー)』を発売したのがはじまりです。これまでになかったまったく新しい家電で、商品化までに5年の年月を費やしたといいます。

 

仕組みはとてもシンプルで、密閉空間の中で60〜70℃のスチームを循環させ、ハンガーラックを毎分最大180回振動させながら、衣類のニオイをとり、シワをのばし、表面や内部に付着した微細なほこりをふるい落とします。菌やウイルス、ダニや花粉の除去にも効果があり、99%以上低減させることができます」

 

韓国でLG Stylerが定番家電になった理由

2011年の発売当初は認知度も低く、高級家電という位置付けで販売台数も振るわなかったそう。

 

「転機は2015年。韓国でPM2.5などの大気汚染が社会現象になるほど深刻な事態になったことがきっかけでした。それから、室内には空気清浄機、衣服にはLG Stylerというライフスタイルが定着し、今や韓国では、冷蔵庫や洗濯機に並ぶ定番家電になっています」

 

LG Stylerが日本で発売されたのは2017年でした。

 

「省スペースが好まれる日本市場に合わせ、従来よりも小型サイズが店頭に並びました。その後、姿見の代わりになるミラーモデルや、花粉ケアコースが搭載されるなど、ユーザーの声を反映した商品が展開されています。長い間LG Stylerが市場のパイオニアとして唯一無二の存在でしたが、この8月、満を持して日本メーカーのパナソニックから『スマートクローゼット』が発売になりました。独自の気流技術により、衣類を揺らさずにケアしたり、ナノイーXで熱やスチームを使わずに除菌することで、熱に弱い衣類のケアも可能になっています」

 

クローゼット型スチーマーのここが便利!

↑写真提供=LGエレクトロニクス

 

ここからは、LG社とパナソニック社、ふたつのクローゼット型スチーマーに共通する、さらなる魅力を紹介します。

 

・とにかく簡単。3ステップでリフレッシュ完了

「1.衣類を専用ハンガーにかけて収納する。2.コースを選んでスタートボタンを押す。3.仕上がった衣類を取り出す。この3つのステップで衣類のリフレッシュができます。準備も簡単で、スチーム用の給水タンクに水を入れる、排水タンクにたまった水を捨てるくらいです。ときどき庫内やほこりフィルター、タンクを洗うようにしてください」

 

・朝の忙しい時間でもケアができる

「たとえばLG Stylerのリフレッシュコース(標準)の場合、約48分で衣類のニオイを取り除き、ほこりや花粉を落とし、シワをのばすといったひと通りのケアが完了します。お急ぎコースを選択すれば約20分と、さらに短縮します。朝の慌ただしい時間帯、身支度している間にあっという間にきれいにしてくれるのは、気分的にも嬉しいですね」

 

・ダウンジャケットもショールも購入時のようにふっくらと

「クローゼットにしまいっぱなしにしていたり、酷使してしまったダウンジャケットも、クリーニングに出した後のようにふわふわになります。外出する時間に合わせてタイマーをセットすれば、暖かいコートを羽織って外出することもできますよ」

 

・パンツプレスで、センタープレスもキープ

「パンツプレスを利用すれば、細かなシワもしっかりとってくれ、センタープレスもきれいにキープしてくれます。面倒なアイロンがけは必要ありません。LG社は『ズボン折り目ケア』が標準搭載。パナソニック社では専用のパンツプレスが購入可能です」

 

・1回あたりのランニングコストが低い

「乾燥まで行うと聞くと、電気代が気になりますが、ランニングコストはけっして高くありません。選ぶコースによりますが、1回の使用にかかる電気代は数円〜数十円程度。クリーニングの手間や費用を考えても、クローゼット型スチーマーの導入は、コスパやタイパの面で効率的と言えるでしょう」

 

ただし一点、気をつけてほしいことがあるそうです。

 

「留意してほしいのが、クローゼット型スチーマーに洗濯機能は備わっていないことです。衣服に汚れがついている場合は必ず汚れを落としてから使用してください。また、コースによって使用不可の素材もあります。使用前に必ず確認をしましょう」

 

空間の邪魔をしない。家電というより、まるで “家具”

↑写真提供=パナソニック

 

クローゼット型スチーマーは、細身のロッカーのような形状をしています。高さは約1.8m、奥行きも60cmほどあり、存在感があります。

 

「たしかに大きいですが、LG社、パナソニック社ともに、非常にスタイリッシュなデザインで、家電というより家具のような印象です。扉がミラーになっていたり、指紋がつきにくかったり、表示パネルも目立たないよう工夫されていて、部屋のインテリアを邪魔しません」

 

おすすめの設置場所はあるのでしょうか?

 

「給排水工事は必要なく、電源さえ確保できればどこにでも置くことができます。玄関、リビング、寝室のほか、ウォークインクローゼットの中に置く方もいます。ただ、それなりにサイズがあるので、賃貸マンションだとリビングに置くのが現実的かもしれません」

 

大きさに加え、一台20〜30万というイニシャルコストの高さも購入のハードルを上げてしまいそうです。

 

「たしかにそうだと思います。2017年の国内発売以降、販売台数は伸びていますが、爆発的なヒットには至っておらず、一度使った方が気に入り、少しずつ広まっている印象です。必要不可欠な家電ではないので、なくても暮らせるといえばそれまでですが、お気に入りの服をできるだけきれいな状態で毎日気分良く着続けられる、衣服にまつわる日々の小さなストレスを解消できる、毎日忙しく暮らしている人にとっては、空いた時間を別のことに使えるといった付加価値があります。そのようなところに魅力を感じる方が今後さらに増えれば、利用者も増えていくと思います」

 

LG Stylerとスマートクローゼット、それぞれの違いは?

現在、クローゼット型スチーマーは、LGとパナソニックの2社から発売されています。ここからはそれぞれの特徴とおすすめモデルをご紹介します。

 

■ 世界的に権威のあるデザイン賞を受賞! よりインテリアにフィットした最新モデル

LGエレクトロニクス「LG Styler  S3GNF / S3BNF」
25万5000円(税込)

LG社では、2017年に初代モデルを発売して以降、機能やデザインで選ぶことができる豊富なラインアップを展開しています。ハンガーで最大3着+ズボン1着をケアできる通常モデルに加え、ハンガー部を5着に拡大した大容量モデルS5MBも販売しています。

 

「2022年以降に発売したモデルでは、花粉ケアとシルクケアコースが標準搭載。スマホで機能をダウンロードすることで、ウールやデニム、革製品など専用コースも利用できます。熱風乾燥ではなく、ヒートポンプの低温乾燥でじっくり乾燥させるため、カシミアなどのデリケートな素材もお手入れ可能です。付属のアロマシートや、好みの香りをコットンシートや不織布につけてセットすれば、衣類に香りをつけることもできます。S3GNF、S3BNFは、世代や空間を選ばないデザインも魅力です。世界で最も権威のあるデザイン賞のひとつ『iFデザイン賞2022』を受賞しています」

 

【Item Date】
・サイズ(W×H×D):445×1850×585mm
・重量:78kg
・カラー:S3GNF(ミストグリーン) / S3BNF(ミストベージュ)
・付属品:ハンガー2本・ズボンハンガー1本・棚1個

 

■ 就寝中でも邪魔にならない静音性。大手国内メーカーのこだわりが詰まった一台

パナソニック「スマートクローゼット HCCーR600AR / HCCーR600AL」
オープン価格(実勢価格33万円前後・税込)

2023年8月に発売されたばかりのスマートクローゼット。空間に溶け込み、部屋を広く見せるミラーデザインの扉は、姿見としても使うことができます。扉を開くと自動で電源が入り、操作用のタッチパネルが浮かび上がります。シンプルなメニュー表示で迷わずにコースを選ぶことができます。洗濯乾燥機のヒートポンプや独自のイオン技術「ナノイーX」など、国内大手家電メーカーの確かな技術が詰め込まれ、性能はもちろん、使いやすさ、デザインすべてにおいてこだわりぬかれた一台です。

 

「パナソニックが手がけてきたいくつもの技術を応用し、製品化されたスマートクローゼット。シワのばし、ナノイーX(除菌・消臭)、乾燥と3つのコースが搭載されています。特筆すべきは『振動がない』こと。LG Stylerがスチームと振動でケアをするのに対し、スマートクローゼットは、庫内の風向きをコントロールしながらシワを伸ばします。振動がないことで、静音性が高まります。特に・除菌・消臭時の運転音は30dBと、郊外の深夜レベルの音です。夜遅い時間帯に使うことが多い方、賃貸暮らしの方は、より安心かもしれません。また、ナノイーX技術もパナソニック独自のものです。一切スチームを使わないため、自宅で手洗いできないような、ドライクリーニング必須の衣類にぴったりです。製品は1モデルのみ、右開き、左開きを選ぶことができます」

 

【Item Date】
・カラー:ミラーデザイン
・サイズ(W×H×D):450×1734×613mm
・重量:69kg
・付属品:ハンガー3本・棚1個

 

クローゼット型スチーマーには、衣服にまつわる日々の小さなモヤモヤを解決してくれたり、おしゃれの幅を広げてくれたりと、暮らしを豊かにする付加価値がたくさん。中村さんも、「一度使えばその良さを実感できる方も多いと思うので、気になる方はサブスクを利用してみるのもおすすめです。季節を問わずに活躍する製品ですが、コートやニットを着る時期や、インフルエンザが流行する時期、花粉の時期は、特に良さを実感できると思いますよ」とお話しされていました。まずは家電量販店などで実際の実力を体験してみてはいかがでしょうか。

 

プロフィール

家電王 / 中村剛

東京電力エナジーパートナー株式会社 勤務。2002年に『TVチャンピオン』スーパー家電通選手権で優勝し、銀座にて体験型ショールーム「くらしのラボ」の開設と運営に従事。現在は “家電王” として動画マガジン『くらしのラボ』をFacebookとYouTubeで毎週配信している他、テレビや雑誌、新聞などの様々なメディアで暮らしに役立つ情報発信をしている。無類のネコ好きでもある。
東京電力 くらしTEPCO web「くらしのラボ」
YouTube

 

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