上野千鶴子と斎藤幸平を合わせた感じ
2023/01/24 09:18
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカや世界での女性への不利な扱いのことが、社会主義の体制でのものとの比較を通して語られている。日本でのことはほぼ言及がないけど、考えさせられることが多く書かれている。視点がユニークだし、内容も分かりやすかった。
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ガチ社会主義者。民主社会主義国は女性にとっての理想国である。ソ連やルーマニアは実際はどうだったんですか、みたいな話が読みたいけど、なんかアメリカに比べればそんな悪くないです、っていう感じ。
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19世紀ー20生活における社会主義ー資本主義の転換に伴う女性の経済的自立性、出産、病気に対するセーフティネットの状況が女性の恋愛観にも大きな影響を与えたという内容。
セックスから資本主義/社会主義を語る切り口が斬新。
社会主義で男女平等な時代では性交渉に対して女性の自立性は自然と担保されていたし、離婚したからといって失業や生活に不安を感じる事は無かった。
ところが、米国式の資本主義社会が流入すると、男女の社会ロールは分断され、女性は生活に対して男性に依存する必要性が生じた。
1990年の東ドイツの女性は性交渉において男性よりも優位に立っており、西ドイツの男性が自分の富を見せてもなびかない女性を口説くのに苦慮した。
社会主義が崩壊した東ヨーロッパでは、女性の貧困度は更に進み、資本主義における交換財としての女性の性交渉が価値を強めるようになった。
女性が女性の性に厳しいのは軽く見られる事で、女性のセックス資産価値が毀損されると感じるから。
という視点は日本では聴く事が無く、なるほどと感じた。
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銀行預金を一斉に引き出せば、どんな銀行預金も潰れる。ユーザーがいなくなればFacebookやAmazonだって潰れる。
これが現実。
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知らないことがいっぱい書いてあった…興味深い。会社の人に薦められて読んでよかった!
セックスと女性の権利と資本主義、社会主義について。
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序章 あなたが苦しいのは資本主義のせいかもしれない
エレナ・ラガディノヴァ ワレンチナ・テレシコワ
第1章 女性は男性に似ていて、より安く使えるもの?―仕事について
クララ・ツェトキン リリー・ブラウン
第2章 出産する人はなぜ罰を受けるのか―子育てについて
フローラ・トリスタン
第3章 パンツスーツでは解決しない―リーダーについて
アレクサンドラ・コロンタイ
第4章 ベッドの中の資本主義―セックスについて・その1
イネッサ・アルマンド
第5章 誰でも必要に応じて受けとれる社会―セックスについて・その2
ローザ・ルクセンブルク
第6章 バリケードから投票箱へ―社会参加について
アウグスト・ベーベル
ナジェジダ・クルプスカヤ
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競争主義である資本主義社会では、女性は性を商品化しなければならないことがある。社会主義下では、女性が経済的に安定しているため男性に依存しなくてもよく、性の交換価値を失うため、男女が敬意を持って大事な人と分かち合える。なるほど・・・。
考えたことのない視点から資本主義と社会主義について論じられているため、興味深く読むことができました。
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少し冗長的だが、性を経済学的からみたアプローチや、参政による政治的影響がわかりやすかった。良い意味で内容はちょっと古い感はある。怖いもの見たさであえて社会主義の本を読んだが、私にとっては新鮮だった。ただ物事はイチゼロではなく濃淡があるものなので、どちらが良いと言う意見に対しては懐疑的。
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序章:「数々の欠点があったにせよ、社会主義が資本主義のバランスをとる存在だったことを忘れてはいけません。」
何かに対して意見を(公式に・公に)言おうとしたり、書こうとするときに、なんとなく「自分にそれを言う(書く)権利というか、知識があるのか、そんな立場なのか」と感じて躊躇して結局口を閉ざしがち。
これが著者が本書で紹介している「認識論的デプラットフォーム」なんだな。
そんなこと気にしないで、自分が生きている日常の中で得た経験から感じたことや考えたことを口にすること、それがささやかにでも社会をかえたり、同じように違和感を感じている人を勇気づけたり、ちょっと何かをかえることにつながるのかもしれない。
誰だって、人から批判されたり批評されたり文句をつけられたりしたくない、のはしたくないんだけれど。そうされた時にだって私はこう思うんだものと言い返したり、傷ついて黙って立ち去るのではなく、前向きに沈黙を守り踏みとどまることでも違う考えの人を許容するきっかけになるのかもしらん。
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超良書。
爆売れしてほしい。
全日本人に読んでほしい。
人新世の『資本論』よりも現実社会の人間活動に即した例が豊富だったので、資本主義→民主社会主義へ移行した後の社会問題がイメージしやすかった。
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共感しすぎて苦しくなる部分と、「いや、そこは全ての人に当てはまるわけではないのでは…」と共感できない部分の両方があった。
人間も所詮は生物なんだよ。生き物なの。女は、お腹に子が宿り、産む側の性なのよ。なのにお金でしばられた世の中は、どっかでバグが起こるんだよ…。だって生き物なんだからさ…。
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社会主義フェミニストのプロパガンダという気がしなくもないが,とても興味深い議論だった。
社会主義社会で女性の解放が進んでいたという歴史は,確かに蓋をされ抹殺されているように思う。まさに社会実験として,女性の経済的自立がある程度達成されていた社会において,何が起こったのか,実験結果の検証は必要だろう。
ただし,鉄のカーテンの向こうに良質なセックスがあったというデータが事実だとしても,必ずしも女性の経済的自立と因果関係があるとは限らない。国家社会主義という全体主義の下で,個人にとってのセックスの満足度が高かった理由は他にも色々考えられるので。
「女性の体にふれるために何らかの対価を払っているとき,男性は相手がどう感じるかを気にしなくて済みます。セックス以外で対価を払っているなら,セックスで気持ちよくさせる必要がどこにあるでしょう?意識的にせよ無意識的にせよ,そこでおこなわれているのは経済的な交換なのです」
「もしも資本主義社会が人の愛情や関心を売却可能な商品に変えてしまうのだとしたら,その動きに対抗できる政策にはどんなものがあるのか。個人の自由と公共の領域をどちらも尊重し,全体主義に陥ることなくセックス経済の働きから私たちの性生活を取り戻せるやり方が,どこかにあるのではないでしょうか。」
ある同年代から聞いた話で,海外メディアによる世界史に影響を与えた人物ランキング(何位までのランキングかは忘れたが)マルクスが選外だったとか。そのことの意外性を指摘したら,マルクス主義って何か影響したっけ?みたいな反応で二度びっくりしたのだが。一時的とはいえ割と最近まで世界の半分を構成していましたよね,と思ったのでした。みんな冷戦時代のことすっかり忘れてるよね?僕らが子どもの頃はまだ東側の世界というのがリアルに存在してたはずなんだけどな。東西冷戦も日米戦争並にそんなことあったなんて知らなかった!?ネタなのかもしれない。
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冷戦が終わって、社会主義は間違っていた「資源の再配分に市場原理より良いものはない」、とされるが本当に資本主義の一人勝ちなのだろうか?農業社会的倫理が衰退する20世紀以降「労働力の商品化」による人間疎外が避けらないのではないか?、ロシア革命後、「女性部」が設立され女性閣僚となったコロンタイは女性の労働参加のための様々な施策を提案したが、’24年レーニンが死にスターリンが権力を握るとノルウェー大使に左遷され、女性抑圧は復活した/産業社会の一員として自由競争するのはシングルマザーは過酷だが、結婚しての出産にしても男ばかりが得する感がある/ではどうするか?かつて東ヨーロッパの社会主義国にはそれぞれ独自の性倫理があって、いずれも資本主義国よりは女性に優しかった…
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私が会社員生活に不安を感じるのは、女だから?
上司との飲み会についていけないと思うのは、女だから?
今後のキャリアに不安を感じるのは、女だから?
女であることを理由にすると、逃げることになる。
逃げたところで、幸せになるわけじゃない。
逃げたい、嫌だと思う理由を、女だから、で片付けて良いのだろうか?
自分が苦しいと思うのは、資本主義が原因かもしれない、と最近気づいた。
女だから、で苦しむのは、そのひとつなのだと思った。
女だから、失敗しても許してもらえる。
その後ろには、女は失敗するものだと見下されている構図がある。
女だから、大事にしてもらえる。
その後ろには、女は男より弱いというスティグマがある。
女だから、の言葉は、女は男より下にいる構造のもとにできている。
そして、その構造は競争下での利益追求・パイの拡大を至上命題とする、資本主義でより顕著になっているのだと思った。
環境問題・格差・男女差別、この問題は、資本主義から端を発しているのだと、気づいた。
資本主義って、本当は色んな問題の根源であって、全然万能じゃない。それを受け入れていていいのだろうか、と思った。
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印象的だった箇所をいくつか。こういった本は、女性だけではなく男性にも読んでもらう必要がある。
「同じ理屈で、これまで何千年と女性が食事を作ってきたというのに、プロのシェフの世界は男性ばかりです。マッシュポテトと一緒にテストステロンが少々盛られていると、料理の味わいが増すのでしょうか。」
「結局のところ、競争的な労働市場では、生殖機能の異なる男女を公平に扱うことは無理なのです。雇用する側はどうしても、効率的に利益を出せそうな人を雇おうとします。この問題の解決は容易ではありません。育児休暇や公立保育園の拡充は、差別の構造を改善するのに役立つでしょう。これらは社会主義から生まれ、職場と家庭におけるジェンダー平等という明確な目標のために進められてきた改革です。」
「ほかにどのような任務を抱えていようと、自分のやるべきことは完全に明確である。働く女性の完全な解放と、新たな性道徳の基盤作り。これらはつねに自分の活動において、また人生において最高の目的でありつづける。」