ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
著者 著:水島治郎
イギリスのEU離脱、反イスラムなど排外主義の広がり、トランプ米大統領誕生……世界で猛威を振るうポピュリズム。「大衆迎合主義」とも訳され、民主主義の脅威と見られがちだ。だが...
ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
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商品説明
イギリスのEU離脱、反イスラムなど排外主義の広がり、トランプ米大統領誕生……世界で猛威を振るうポピュリズム。「大衆迎合主義」とも訳され、民主主義の脅威と見られがちだ。だが、ラテンアメリカではエリート支配から人民を解放する原動力となり、ヨーロッパでは既成政党に改革を促す効果も指摘される。一方的に断罪すれば済むものではない。西欧から南北アメリカ、日本まで席巻する現状を分析し、その本質に迫る。
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とても明快な文章と構成
2017/01/29 14:05
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆっくりー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポピュリズムについての入門書として文句なし!純粋に読み物としても面白かったです。
各章数十ページの中でポピュリズム政党の生い立ち〜発展途上〜現状まで端的にまとめる文章構成には感服でした。各国の政治や政党に疎くても必要最低限の情報が平易な文章で紹介されているのでスラスラ読めます。
政治学の本を読みたいけど知識がない、政治学に興味はあるけど躓きたくない、そもそも難しい表現や文章は苦手!そんな人にも自信を持って進めることができる入門書だと思います。新書の第一歩としても最適ですね。
分断をエネルギー源とする限界
2021/05/22 21:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:第一楽章 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポピュリズムを、「『人民』の立場から規制政治やエリートを批判する政治運動」と定義し(P.8)、ポピュリズムの歴史と変遷を南北アメリカからヨーロッパへとたどる(時々日本にも寄り道し)1冊です。2016年11月、衝撃的な米国大統領選挙と同時期に刊行されて話題になりました。副題に「民主主義の敵か、改革の希望か」とあるとおり、ポピュリズムが既存の政党に緊張感を与え改革を促してきたという一定の貢献を、筆者は否定しません。それでもなお危うさがあるのは周知の通り。
7章後半にまとめられている、ラテンアメリカでのポピュリズムとヨーロッパで広がりを見せるポピュリズムの対比が秀逸でした。圧倒的な経済格差が存在する前者(ラテンアメリカ)においては、政治や経済を独占するエリートへ異議を申し立て、富や権利の再分配を求める左派的な性質を帯びる。これに対し、社会福祉政策が整備された後者(ヨーロッパ)におけるポピュリズムでは、その福祉の受益者を”特権階級”とみなし、そこに批判の矛先がむけられ、故に難民や移民とそれを積極的に受け入れる政治が攻撃の対象となり右派的な性質を帯びるという違いがあるとのこと。
ただし、両者に共通していると思われるのは、ポピュリズムを支持しているのは、「取り残された(left behind)」人々であるということ。それは例えば経済発展から取り残されたラテンアメリカの貧困層の人々であり、社会や産業構造の変革から取り残されたアメリカのラストベルトやヨーロッパの中高年の白人ブルーカラーの人々です。
ハリウッドの映画だと人類的な危機を迎えると一致団結して立ち向かう姿が描かれますが、COVID-19が発見され蔓延してから1年ほどの状況を見るとむしろ逆に、国際的にも国内的にも分断が広がり、「取り残されている」と感じる人が増えているのではないでしょうか。日本でも自殺者の増加という悲しい統計に現れているように思います。こうした状況を奇貨と捉え、爪を研いでいるポピュリストたちがいるであろうこと、そうした彼らのこれまでの歩みをこの本から知ることができます。国連の持続可能な開発目標 SDGs は「誰も取り残されない(No one will be left behind)」というスローガンを掲げていますが、開発だけではなく政治も含めてあらゆる面で本質的なポイントだと、改めて思わされます。分断をエネルギー源とするポピュリズムでは解決できない点であり、ここにポピュリズムの限界がありそうです。
勉強になる一冊
2017/01/18 00:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーク - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ポピュリズム」というレッテル貼りに多用される用語について、欧米での学説やラテンアメリカ・ヨーロッパの事例を検討しつつその中身について考察されている。
右派ポピュリズムと左派ポピュリズムの違いについても知れたので個人的にとても有益であった。
ポピュリズム現象に迫った名著
2022/12/31 21:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さすらいのチューバ奏者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
トランプ元大統領の勝利やブレグジットなどのセンセーショナルなニュースを通じて、近年注目を集めるようになりつつあるポピュリズムですが、その本質を理解している人はそれほど多くはないのではないでしょうか。この本は、ポピュリズムの定義から各国での展開まで詳しく書かれており、ポピュリズムの本質を理解する上で欠かすことのできない本と言っても過言ではないと思います。
胡散臭い近年欧州のポピュリズム
2020/11/27 23:00
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者は近年のヨーロッパのポピュリズムは、イスラム系の移民批判をすろ際に、「男女平等を認めないイスラムは問題だ」「民主主義的価値観と相容れないイスラムは認められない」というロジックを展開していると語る(オランダのフォルタイン党やウィルデルス党、スイスの国民党)。でもこれらの政党の言っていることって、フランスやオーストリアの極右政党と何が違っているのだろうと思う。「イスラムの連中やアジア、アフリカの有色人種のことはとにかく嫌いなんだよ」と露骨に言ってのける極右の連中のほうがましかもしれない、ただあまり極右の発言ばかりしていると右の人以外の票を獲得しずらいから「男女平等を認めないイスラムは問題だ」とソフトに綺麗ごとを言っているとしか私には考えらない
宇野重規『保守主義とは何か』とあわせて読みたい
2017/03/14 14:24
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポピュリズムを否定するだけでは問題は解決しない。グローバル化やヨーロッパ統合といった、エリートが民衆の意見を無視して一方的に進める動きへ反発する人々。既成政治への違和感を強く持っていて、ポピュリズムの持つ「既存の権威への挑戦」「エリートに対する逆転劇」といった要素に共鳴している部分もある、他方で危うさも感じている。20世紀には、人々は労働組合や農協、中小企業団体、専門職団体、地縁団体などの団体に属し、その団体が政党や政治家とつながっていた。団体に属して、つながりのある政党に投票すれば自分は守られているという感覚があった。ところが、そうした既存の団体は勢力を弱め、人々が団体を通して自分の利益を実現するルートが狭まっている。政党は縁遠いものとなり、そこにグローバル化の波が襲ってくると、既成政党に救いを求められない人たちが、ポピュリズムに向かうようになった。本書はポピュリズムをテーマにしているが、ポピュリズムを通して、リベラルやデモクラシーといった価値を再考するきっかけになればと思う。
ポピュリズムについて考えるために
2021/07/29 23:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポピュリズムは民主主義の敵か、民主主義を活性化させるものなのか。本書はどちらかといえば後者に近い視点で論じられている。個人的には著者の主張に必ずしも同意するものではないが、ポピュリズムについて考えるうえでまず手にすべき一冊であろう。
分かりやすく、示唆的
2017/01/30 17:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても時宜を得たテーマで、理論的にポピュリズムを解説しつつ、現在欧米で何故こんなにポピュリズムが広がっているのか?ということがよく分かった。文章もとても分かりやすく、新書として読むには最適だと思う。中公新書はテーマの選び方がとてもうまいなあ。
読了
2019/12/30 00:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ムギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポピュリズムの歴史や、現在の世界におこるポピュリズムの波についてわかりやすく説明されている。日本にいるとどうしても異国のことに思えてしまうが、橋下氏を例にとった話もあり、なるほどなと人ごととは思えなくなった。これから世界がどのようになっていくのか、きちんと学んでおかないと取り残されてしまうと思った。