ザクスピード・881
カテゴリー | F1 | ||||||||
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コンストラクター | ザクスピード | ||||||||
デザイナー |
クリス・マーフィー ハインツ・ツェルナー | ||||||||
先代 | ザクスピード・871 | ||||||||
後継 | ザクスピード・891 | ||||||||
主要諸元[1] | |||||||||
シャシー | カーボンファイバー モノコック | ||||||||
サスペンション(前) | ダブルウィッシュボーン, プルロッド | ||||||||
サスペンション(後) | ダブルウィッシュボーン, プルロッド | ||||||||
トレッド |
前:1,810 mm (71 in) 後:1,617 mm (63.7 in) | ||||||||
ホイールベース | 2,830 mm (111 in) | ||||||||
エンジン | ザクスピード 1500/4 1,495 cc (91.2 cu in), 直列4気筒, ターボ(過給圧2.5バール), ミッドエンジン, 縦置き | ||||||||
トランスミッション | ヒューランド / ザクスピード 6速 MT | ||||||||
重量 | 560 kg (1,230 lb) | ||||||||
燃料 | シェル | ||||||||
タイヤ | グッドイヤー | ||||||||
主要成績 | |||||||||
チーム | ウエスト ザクスピード・レーシング | ||||||||
ドライバー |
9. ピエルカルロ・ギンザーニ 10. ベルント・シュナイダー | ||||||||
コンストラクターズタイトル | 0 | ||||||||
ドライバーズタイトル | 0 | ||||||||
初戦 | 1988年ブラジルグランプリ | ||||||||
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ザクスピード・881 (Zakspeed 881) は、ザクスピードが1988年のF1世界選手権に投入したフォーミュラ1カー。デザイナーはクリス・マーフィーとハインツ・ツェルナー。チームが独自に開発した直列4気筒ターボエンジン、1500/4を搭載した。ドライバーはピエルカルロ・ギンザーニと、ドイツ人ルーキーのベルント・シュナイダー。決勝最高成績は12位。
概要
[編集]開発
[編集]881は前年の871の発展型であり、ターボエンジンの最後の年のマシンであった。881はザクスピードが自社製エンジンを搭載した最後のF1マシンであり、そのエンジンは640 bhp (477 kW; 649 PS)を発揮した。これは当時最もパワフルなエンジンの一つで、ホンダやフェラーリのV6エンジンとは10馬力ほど劣るだけで、アロウズが用いるメガトロンエンジンとほぼ同様の出力であった。ホンダエンジンを搭載したマクラーレンは15勝を挙げポールポジション15回を記録し、この他にポールポジションと勝利を獲得したのはフェラーリエンジンであった。ギンザーニは7回予選落ちし、シュナイダーは10回であった[2]。881にとってネックとなったのは重量であった。881の車重は560 kg (1,230 lb)あり、これはマクラーレン・MP4/4、フェラーリ・F187/88C、およびホンダエンジンを搭載したロータス・100Tより約20 kg (44 lb)重かった。
1988年シーズン
[編集]ドライバーは前年のマーティン・ブランドルとクリスチャン・ダナーに代わってギンザーニとシュナイダーが起用されたが、両名ともシーズンを通して下位で自然吸気エンジン搭載車と予選通過を争った。前ドイツF3チャンピオンであるシュナイダーは、F1マシンに慣れた第4戦以後はほとんどのグランプリでベテランのギンザーニよりも速い予選タイムを記録した。
ドイツ人ルーキーのシュナイダーは開幕から3戦連続で予選落ちしていたが、第4戦メキシコGPで初めて決勝進出した。エルマノス・ロドリゲス・サーキットは高地のため空気が薄く、ターボエンジンにとってはアドバンテージとなった。自然吸気勢はパワーが25%落ちとなったが、ターボでは5%程でとどまった。シュナイダーは15位で予選を通過し、決勝では10位まで上がったものの、16周目にエンジントラブルでリタイアした。
シルバーストーンで開催された第8戦イギリスGPは、ターボ搭載車に有利な高速サーキットであったにもかかわらず、ギンザーニとシュナイダーは共に予選落ちした。このグランプリでザクスピードは予選通過できなかった唯一のターボ車であった。シュナイダーは自分とチームにとっての母国開催である第9戦ドイツGPで12位となり、これがチームにとってシーズン最高位となった。
881は速さが無いばかりか信頼性も欠けており、エンジンもしくはターボのどちらかがブローすることが頻繁であった。ザクスピードのドライバーは両名ともポイント獲得できず、その影響で1989年は予備予選に出場しなければならなくなった。
第12戦イタリアGP会場のモンツァで、「ザクスピード・ヤマハ」の結成が発表され[3]、チームのF1参戦開始以来続けてきたザクスピード製エンジンでのチャレンジは881で終了となることが決まった。シーズンが終了すると881はエンジンを自然吸気のヤマハ・OX88に換装したテスト用車両となり、12月からシュナイダーと鈴木亜久里によってエンジンテストに使用された[4]。
F1における全成績
[編集]年 | チーム | エンジン | タイヤ | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | ポイント | 順位 |
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1988年 | ウエスト ザクスピード・レーシング | ザクスピード 1500/4 S4 tc |
G | BRA |
SMR |
MON |
MEX |
CAN |
DET |
FRA |
GBR |
GER |
HUN |
BEL |
ITA |
POR |
ESP |
JPN |
AUS |
0 | NC | |
ピエルカルロ・ギンザーニ | DNQ | Ret | Ret | 15 | 14 | DNQ | DSQ | DNQ | 14 | DNQ | Ret | Ret | DNQ | DNQ | DNQ | Ret | ||||||
ベルント・シュナイダー | DNQ | DNQ | DNQ | Ret | DNQ | DNQ | Ret | DNQ | 12 | DNQ | 13 | Ret | DNQ | DNQ | Ret | DNQ |
参照
[編集]- ^ “STATS F1 - Zakspeed 881”. Statsf1.com. 2010年8月23日閲覧。
- ^ “Zakspeed F1 Engines at”. Gurneyflap.com. 2012年1月7日閲覧。
- ^ ザクスピード・ヤマハ 1989年に向けて発進 グランプリ・エクスプレス '88イタリアGP号 29頁 1988年10月1日発行
- ^ ザコウスキー大いなる期待 グランプリ・エクスプレス '89シーズン歓待号 8頁 1989年3月13日発行
- Roebuck, Nigel; Tremayne, David; Hamilton, Maurice; Jones, Alan (1989). Grand Prix World Formula One Championship 1988/89. Magenta Press Ltd. ISBN 0-908081-59-6