リバティ・バランスを射った男
リバティ・バランスを射った男 | |
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The Man Who Shot Liberty Valance | |
映画のポスター | |
監督 | ジョン・フォード |
脚本 |
ジェームズ・ワーナー・ベラ ウィリス・ゴールドベック |
原作 | ドロシー・M・ジョンソン |
製作 |
ジョン・フォード ウィリス・ゴールドベック |
出演者 |
ジョン・ウェイン ジェームズ・ステュアート ヴェラ・マイルズ リー・マーヴィン |
音楽 |
シリル・J・モックリッジ アルフレッド・ニューマン |
撮影 | ウィリアム・H・クローシア |
編集 | オソー・ラヴァリング |
配給 | パラマウント映画 |
公開 |
1962年4月22日 1962年8月4日 |
上映時間 | 123分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
『リバティ・バランスを射った男』(リバティ・バランスをうったおとこ、原題: The Man Who Shot Liberty Valance)は、1962年公開のアメリカ映画。ジョン・フォード監督作品。白黒、ワイド画面。
概要
[編集]モンタナ州立大学教授ドロシー・M・ジョンソンが1949年に書いた同名小説をジェームズ・ワーナー・ベラとウィリス・ゴールドベックが共同脚色した異色西部劇映画。クライマックスの決闘シーンを物語が75%ほど経過した時点に配し、終盤のラスト3分前で決闘シーンの謎解きの種明かしを行うというやや変わった倒叙展開を持つ作品である。また、ジョン・ウェインとジョン・フォードがコンビで製作した最後の西部劇映画でもある。
この作品でリバティ・バランスを演じたリー・マーヴィンは、元来悪役専門のイメージが強かったが本作で主演のジョン・ウェインと渡り合う演技を見せつけ悪役のイメージを払拭する事に成功し、一躍注目されスターダムにのし上がった。
なお、バート・バカラック作曲、ハル・デヴィッド作詞で、ジーン・ピットニーが歌ってヒットさせた『リバティ・バランスを射った男』は、この映画のために作られた楽曲であるが、作中では使われていない。
あらすじ
[編集]大物上院議員ランスが西部の田舎町シンボンにやって来たのは、牧場主トムの葬儀に出席するためだった。25年前、ランスは新米の弁護士で、この町で開業しようとしたが、荒くれ者リバティ・バランスに身ぐるみを剥がされた。そんなランスはトムに救われ、彼の恋人ハリーが給仕を勤める食堂で介抱されたが、この町では銃が必要と主張するトムには正義感から反発する。折しもこの地方では住民による州昇格運動が起こっていたが、リバティ一味は運動に反対する牧場主グループの尖兵として暗躍していた。
ランスは報道の自由の志を持つ編集長ピーポディと協力してリバティ一味との戦いを決意し、2人は代議員を選出する町民選挙でリバティを破って当選する。だが直後、逆上したリバティはピーボディに重傷を負わせる。
一方、トムはハリーとの結婚を夢見て新居を建てている最中であったが、ハリーがランスを介抱する姿を見てハリーの恋心を感じとった。ピーボディの重傷を見て、怒りに燃えるランスは、銃を手に取り、リバティとの決闘に挑み、見事にリバティ・バランスを仕留める。準州から州への昇格を希望している人たちからは、古くからいる牧場主を代表する保守的な政治家の対抗馬として、リバティ・バランスを撃った男として人気を集めたランスを推薦するが、本人は乗り気ではない。 そこでトムはランスを説得するために、ランスがリバティ・バランスを殺したのではなく、別の角度からトムがリバティ・バランスを撃っていたことを告白する。ランスは皆の説得に応じ、政治家となりハリーと結婚し、リバティ・バランスを射った男として州知事や上院議員、駐英大使、そして副大統領の候補にまで上り詰める大物政治家となる。しかし嘘を突き通せないランスは新聞社に事実を公表するのだが、西部には伝説が必要、として事実は握りつぶされるのであった。
キャスト
[編集]役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
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フジテレビ版 | VOD版[1] | ||
トム・ドニファン | ジョン・ウェイン | 小林昭二 | 石塚運昇 |
ランス・ストッダート | ジェームズ・ステュアート | 家弓家正 | 志賀麻登佳 |
ハリー・ストッダート(エリクソン) | ヴェラ・マイルズ | 武藤礼子 | 衣鳩志野 |
リバティ・バランス | リー・マーヴィン | 小林清志 | 青山穣 |
ダットン・ピーボディ編集長 | エドモンド・オブライエン | 千葉順二 | 辻親八 |
リンク・アップルヤード保安官 | アンディ・ディヴァイン | 相模武 | 駒谷昌男 |
ウィロビー医師 | ケン・マレー | あべそういち | |
カシウス・スターバックル | ジョン・キャラダイン | 大木民夫 | 板取政明 |
ノラ・エリクソン | ジャネット・ノーラン | 伊沢磨紀 | |
ピーター・エリクソン | ジョン・クァーレン | 越後屋コースケ | |
ジェイソン・トゥリー | ウィリス・バウチイ | 上田敏也 | |
マクスウェル・スコット | カールトン・ヤング | ||
ポンピー | ウディ・ストロード | 依田英助 | 長谷川敦央 |
アモス・カラザース | デンバー・パイル | 佐々木睦 | |
フロイド | ストローザー・マーティン | 羽野だい豆 | |
リーズ | リー・ヴァン・クリーフ | 平修 | |
ハンディ・ストロング | ロバート・F・サイモン | ||
ハーバート・カラザーズ | O・Z・ホワイトヘッド | ||
ワインダー市長 | ポール・バーチ | ||
チャーリー・ハスブルック記者 | ジョゼフ・フーバー | 納谷六朗 | 虎島貴明 |
プレスコット夫人(駅馬車の未亡人) | アンナ・リー[注釈 1] | 庄司まり | |
ケインタック | シュグ・フィッシャー[注釈 1] | 佐々木薫 | |
ハイポケッツ | テッド・メイプス[注釈 1] | 高岡瓶々 | |
フリエッタ | [注釈 1] | 中村紗彩 | |
不明 その他 |
— | 永井一郎 嶋俊介 杉田俊也 肝付兼太 |
- |
日本語版スタッフ | |||
演出 | 小林守夫 | 伊達康将 | |
翻訳 | 山田実 | 加藤真由美 | |
効果 | TFC | ||
調整 | 前田仁信 | ||
制作 | 東北新社 | ||
解説 | 前田武彦 | — | |
初回放送 | 1971年9月10日 『ゴールデン洋画劇場』 |
- フジテレビ版の吹き替えはハピネットから2021年4月2日に発売されている「吹替シネマ2021 HDリマスター版BD」(正味94分・日本語吹替完全版機能付き)に初収録。
- VOD版の吹き替えはUSパラマウント盤4K UHDブルーレイに収録。
スタッフ
[編集]- 監督:ジョン・フォード
- 製作:ジョン・フォード、ウィリス・ゴールドベック
- 原作:ドロシー・M・ジョンソン
- 脚本:ジェームズ・ワーナー・ベラ、ウィリス・ゴールドベック
- 撮影:ウィリアム・H・クローシア
- 美術:エディ・イマヅ
- 音楽:シリル・J・モックリッジ、アルフレッド・ニューマン
- 編集:オソー・ラヴァリング
主な受賞歴
[編集]アカデミー賞
[編集]- ノミネート
- アカデミー衣裳デザイン賞 (白黒部門):イーディス・ヘッド
余談
[編集]- 後にマカロニ・ウェスタンブームを巻き起こした映画監督のセルジオ・レオーネは、ジョン・フォードが監督した映画の中で一番好きな作品に本作を挙げている。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “リバティ・バランスを射った男[吹]”. スターチャンネル 2024年9月12日閲覧。