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ローマ字入力

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ローマ字入力(ローマじにゅうりょく)とは、コンピュータへの日本語入力において文章の読みを入力する方式の一つである。

広義には、日本語以外の言語の入力方法としてもローマ字入力は使われる。外国語の場合は英字キー入力から外国語文字に変換する入力方式になる。

概要

読みに対応するローマ字綴りキーボードなどから入力すると、かなに変換されて画面上に表示される。かな漢字変換の前段階として使用される。

一般には1文字以上のアルファベットの入力によって、最初に一致した対応する1文字以上のかな文字が決定した段階で表示される仕組みとなっている。

ローマ字入力に対して、キーに表示されたひらがなを直接入力するかな入力がある。

ローマ字入力後の文字に対して漢字などに変換する処理は、通常は別に行われ、該当の処理をかな漢字変換処理という。

JIS X 4063:2000で規定されていた入力方式

JIS規格のJIS X 4063:2000(仮名漢字変換システムのための英字キー入力から仮名への変換方式)によって、日本語のローマ字入力が2000年に標準化されたが、2010年1月20日に廃止された。

ローマ字入力を行うソフトウェアを作成する各ベンダーの実装を基にして、どの入力に対し何の文字を表示するかを規定していた。

ベンダーが必ず実装しなければいけない入力方式と、追加で実装した方が良い入力方式を規定していた。

必ず実装しなければいけない入力方式

a i u e o
ka ki ku ke ko ga gi gu ge go
sa si
shi
su se so za zi
ji
zu ze zo
ta ti
chi
tu
tsu
te to da di du de do
na ni nu ne no
ha hi hu
fu
he ho ba bi bu be bo
pa pi pu pe po
ma mi mu me mo
ya yu yo
ra ri ru re ro
wa wyi wye wo
n
n'
nn
きゃ きゅ きょ ぎゃ ぎゅ ぎょ
kya kyu kyo gya gyu gyo
しゃ しゅ しょ じゃ じゅ じょ
sya
sha
syu
shu
syo
sho
zya
ja
zyu
ju
zyo
jo
ちゃ ちゅ ちょ ぢゃ ぢゅ ぢょ
tya
cha
tyu
chu
tyo
cho
dya dyu dyo
にゃ にゅ にょ
nya nyu nyo
ひゃ ひゅ ひょ びゃ びゅ びょ
hya hyu hyo bya byu byo
ぴゃ ぴゅ ぴょ
pya pyu pyo
みゃ みゅ みょ
mya myu myo
りゃ りゅ りょ
rya ryu ryo
しぇ じぇ
sye
she
zye
je
ちぇ
tye
che
つぁ つぇ つぉ
tsa tse tso
てぃ でぃ
thi dhi
でゅ
dhu
ふぁ ふぃ ふぇ ふぉ
fa fi fe fo
xa xi xu xe xo
xka xke
xtu
子音字を重ねる
ただし
「nn」は「ん」
xya xyu xyo
xwa
-

追加で実装したほうがよい入力方式

いぇ
ye
うぃ うぇ うぉ ゔぁ ゔぃ ゔぇ ゔぉ
whi
wi
whe
we
who va vi vu ve vo
ゔゅ
vyu
くぁ くぃ くぇ くぉ ぐぁ
kwa
qa
kwi
qi
kwe
qe
kwo
qo
gwa
じゃ じゅ じょ
jya jyu jyo
ちゃ ちゅ ちょ
cya cyu cyo
つぃ
tsi
てぃ でぃ
thi
t'i
dhi
d'i
てゅ でゅ
thu
t'yu
d'yu
とぅ どぅ
twu
t'u
dwu
d'u
ふぁ ふぃ ふぇ ふぉ
hwa hwi hwe hwo
ふゅ
fyu
hwyu
xtsu
^

各ベンダーの実装方式との関係

JIS規格が制定された時点ではすでに様々な仕様の実装があったが、ほとんどの仕様は共通だった。

JIS規格は、各ベンダーが実装している仕様をベースに、同じ入力でも異なった結果が出る入力方式は外すことで共通する入力方式を抜き出し、仕様を決定した。例えば「la」を入力した場合に「ら」が表示される実装と「ぁ」が表示される実装があった場合、規格から外された。

実際に上記に完全に適合する入力系は現在のところは存在しないようである。

ただし、ほとんどのローマ字入力ソフトにおいては、個別の入力文字に対し、各ユーザが自由に入力方式を決定できるようにカスタマイズが可能となっているため、大抵の場合は上記仕様に一致した入力方式を設定できるようになっている。なお、上記の表には、「t'i」=「てぃ」など記号を含むものもあるが、ソフトによっては設定できないこともある。たとえばMS-IMEでは'(アポストロフィ)を使用できない。

ローマ字入力の長所・短所・指摘

ローマ字入力とかな入力を比較すると、以下のような長所・短所・指摘がある。

長所

  • 使用する基本のキーがアルファベット「A」~「Z」の26個のみと少なく、いくつかのキーは使用頻度が低いため、覚えやすい。長音符に必要な「-」(ハイフン)を例外とすればキーボードの3段のみで済み、ホームポジションからの手指の運動範囲が狭い。
  • 濁音・半濁音でも清音と打鍵数が変わらない。
  • シフトキーの使用が少ない (英文・記号を入力しない場合)。
  • QWERTY配列のタイピングとローマ字が既習であれば、すぐに使うことができる。パソコンの実用のためには事実上QWERTY配列等のタイピングの習得が必須であるため、学習することが少なく済む。
    • 実際問題、現代日本語においてラテン文字が出てこない文章は稀である。
  • ひらがなが理解できなくても、アルファベットが理解できれば使用できる。
  • 状態の切り替えなしで数字・記号混じりの入力ができる。この点はかな入力より簡便である。

短所

  • かな文字をラテン文字2~3文字に分解するため、かな入力方式を用いるものに比べ入力時間が長く掛かる傾向がある。この点はワープロの無い時代から指摘されていた[1]
  • 外国語に由来する単語を入力する際、原語の綴りとローマ字入力の間に大きな差異が発生する(例:「コンピューター」の英語綴りは"computer"だが、ローマ字入力では"konpyu-ta-"となる)。
    • このため、Google日本語入力などではカタカナ表記で一部の英単語候補も出すようにしている(「konpyu-ta-」の候補に「computer」が出てくる)。
  • ローマ字は義務教育で国語で習うが、長年必要性が少なかったためワープロ・パソコンに触れる前に忘れてしまった人や、携帯電話のカナ入力しか知らない人などといった不慣れな層がある。
  • 訓令式ローマ字ともヘボン式ローマ字とも違う点が多いので習得が必要。例えば「抹茶」はヘボン式で「matcha」だが、コンピューターでは「まtちゃ」になってしまう。
  • 標準日本語ではほとんど用いない特殊な綴りを用いる場合もわずかにあり、効率よく入力するには覚える必要がある。例えば「デュ」→「dhu」または「delyu」などである。方言やスラング、外来語で頻出する。

脚注

関連項目

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