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故郷 (1972年の映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
故郷
監督 山田洋次
脚本 山田洋次、宮崎晃
原作 山田洋次
製作 島津清
出演者 倍賞千恵子
井川比佐志
笠智衆
渥美清
音楽 佐藤勝
主題歌 加藤登紀子『風の舟唄』
撮影 高羽哲夫
編集 石井巖
配給 松竹
公開 1972年10月28日
上映時間 96分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
前作家族
次作遙かなる山の呼び声
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故郷』(こきょう)は、1972年松竹が製作、公開した日本映画[1]山田洋次の監督による、いわゆる民子三部作(1970年の『家族』、本作、1980年の『遙かなる山の呼び声』)の第2作。

解説

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瀬戸内海の小島で石の運搬をしている一家が高度経済成長の波に追われ、父祖の地に哀惜の思いを残しながら、島を出て新天地で暮らすことを決断するまでを描いた作品[2]。舞台となった広島県倉橋島(現呉市)に長期滞在し、島の住民を多く登場させるなど、『家族』同様ドキュメンタリーの手法も交えて撮った[1]

山田洋次監督作品で、初めてエンドクレジットロール(横書)を使用している作品である。

物語

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瀬戸内海の小島、倉橋島に住む精一、民子の夫婦は小さな古い砂利運搬船で石を運び、生計を立てていた。しかし、船のエンジンの調子が悪く、さらに荒れた海に出た日に船体も壊れてしまう。すでに耐用期間も過ぎた船体の修理には精一にとっては多額の費用が必要であった。今後の生活を悩む中、尾道市向島にある造船所を見学し、故郷を捨てる決心をする[1]

スタッフ

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  • 監督・原作:山田洋次
  • 製作:島津清
  • 脚本:山田洋次、宮崎晃
  • 撮影:高羽哲夫
  • 音楽:佐藤勝
  • 主題歌:「風の舟唄」(歌:加藤登紀子
    • 作詞:加藤登紀子/作曲・編曲:佐藤勝
  • 美術:佐藤公信
  • 録音:中村寛
  • 調音:松本隆司
  • 照明:飯島博
  • 編集:石井巌
  • 監督助手:五十嵐敬司
  • 装置:小野里良
  • 装飾:町田武
  • 進行:福山正幸
  • 衣裳:東京衣裳
  • 現像:東洋現像所
  • 製作主任:池田義徳
  • 操船指導:大和丸 桝本伊和巳 桝本浄
  • 映倫:17365

スタッフ本編クレジット表記順

出演

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  • 石崎民子:倍賞千恵子
    • 精一の妻。六年前に機関士の資格を取った。
  • 石崎精一:井川比佐志
    • 大和丸船長。
  • 石崎仙造:笠智衆
    • 精一の父。精一が尾道へ移った後も島に残る。仙造によると石崎家は仙造のおじいさんの時代から島に住んでいるという。
  • 石崎健次:前田吟
    • 精一の弟。かつては島で石船を操作していたが現在は広島市に移り住み工場で働いている。
  • 石田和枝:阿部百合子
    • 精一の姉。
  • 石田耕司:矢野宣
    • 和枝の夫。精一へ向島の造船所を紹介する。
  • 石崎保子:田島令子
    • 健次の妻。
  • 棟梁:岩崎徹
    • 精一に「大和丸はいくら修理しても一年でまた壊れてしまう」と進言する。自分もこの代で仕事をやめる覚悟でいる。
  • 杉田俊也
  • 笠井ひろ
  • 造船所の係員:松野健一
    • 精一に造船所を案内してくれる。
  • 石崎千秋:伊藤千秋(日本児童)
    • 長女。祖父仙造と仲が良く、島を出ていく日、仙造にしがみついて離れなかった。
  • 石崎まゆみ:伊藤まゆみ
    • 次女。毎回石船に乗っている。
  • 松下松太郎:渥美清
    • 精一の友人で島で魚の行商をしており売れ残りの魚を民子へ持ってきてくれる。戦前、朝鮮で生まれており、終戦後の引き上げ時に両親や妻を亡くしている。違う土地からの移住だが死んだ妻の墓があるため島に居続けている[3]

本編クレジット表記順 

製作

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企画

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山田洋次渥美清ら数人とで旅行に出掛けることになり[2]、「瀬戸内の島に行ってみよう」となった[2]広島駅で列車を降りて、連絡船で瀬戸内の島々をあちこち巡った[2]倉橋島の丘の上で座って休憩していたら、石ころを山ほど積んだ小さな木造船が眼下をゆっくりと進んで行った[2]。石の重みで今にも沈みそうな船の甲板を波がざぶざぶ洗う。船長の後ろでは、小さな子供が船から落ちないように紐で手すりに結びつけられていて、奥さんらしい女性が洗濯物を干していた。たった一つの映像が一本の映画を生むことがある[2]。モデルとなったこの石船の船長も映画と同じく、撮影の翌年には大きな鋼鉄船に仕事を奪われ、中世以来の長い歴史がある誇り高い瀬戸内の海運業も終わりにした[2]高度成長期という荒波にあっという間に押し流されてしまい、人々に育てられ、大切に守られてきた、きめの細かい文化も一緒に消える、炭鉱の灯が消える1977年の『幸福の黄色いハンカチ』も瀬戸内の石船を描いた本作も同じテーマモチーフにしたものと山田監督は話している[2]

ロケ地

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脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d 【作品データベース】故郷 - 松竹
  2. ^ a b c d e f g h 私の履歴書 映画監督山田洋次氏(23)映画のモチーフー歌から情景くっきり”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社): p. 40. (1996年10月24日) 
  3. ^ 映画予告編の本人の台詞より
  4. ^ 芸南おでかけマップ(9)映画のロケ地めぐり”. 海陽彩都 芸南ふれあい交流マガジン No.33夏号. 呉市企画部広域行政推進室. pp. 7-8 (2006年). 2022年3月14日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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