欧州緑の党
欧州緑の党 欧州緑の党のEU各公用語表記
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モニカ・フラッソーニ代表 | |||||||||||||||||||||||||||
代表 (co-spokespersons) |
モニカ・フラッソーニ、 フィリップ・ランベール | ||||||||||||||||||||||||||
事務局長 (secretary-general) | ジャクリーヌ・クレメール | ||||||||||||||||||||||||||
成立年月日 | 2004年2月21日 | ||||||||||||||||||||||||||
本部所在地 |
Rue Wiertzstraat 31 1050 Brussels, Belgium | ||||||||||||||||||||||||||
欧州議会 |
47 / 785 (6%) | ||||||||||||||||||||||||||
政治的思想・立場 |
中道左派 - 左派 緑の政治 親欧州主義 | ||||||||||||||||||||||||||
国際組織 | グローバルグリーンズ | ||||||||||||||||||||||||||
公式サイト | European Green Party |
欧州緑の党(おうしゅうみどりのとう、European Green Party / European Greens, 略称:EGP)は、環境主義を掲げる欧州規模の政党。ヨーロッパ内の緑の党が参加しており、欧州議会においては欧州自由同盟と統一会派(欧州緑グループ・欧州自由連盟)を組む。
以下、ヨーロッパ各国の緑の党と区別するため、各党の集合体としての欧州緑の党を便宜的に EGP と表記する。
歴史
[編集]2004年に EGP が結党されるまでは、ヨーロッパ内の緑の党はそれぞれ個別に組織されており、1979年から1993年の間は緩やかな協力関係、1993年から2004年までは各党の連合という状態にあった[1]。
1979年 - 1993年
[編集]1979年、各国の緑の党と急進主義政党が同年の欧州議会選挙において連携を図るため、欧州緑の党・急進党連合 (Coordination of European Green and Radical Parties, CEGRP) が組織された。緑の勢力と急進主義派勢力との間には大きな意見の差異があり、両勢力が共同で全欧州規模の選挙基盤を構築するのは不可能であった。緑の党の中には選挙で好結果を出したものもあったが、欧州議会で議席を獲得するまでには至らなかった。
緑の党は、1984年の選挙で再び欧州議会議員選挙に参加した。CEGRP は同年春にベルギー・リエージュで会議を開き、組織を再構築した欧州緑のコーディネーション (European Green Coordination, EGC) を結成し、オランダ急進党の提供による事務局を開いたほか、「ヨーロッパの緑の党の共同声明」も同時に発表した。さらに、会員政党の中から11名の欧州議会議員(ドイツ緑の党から7名、オランダ急進党から7名、オランダ平和社会党から1名、ベルギーのエコロ・アハレフからそれぞれ1名ずつ)が選ばれ、各会員政党の総合力もさらに増した。彼らは欧州議会で緑のオルタナティブ欧州リンク (Green Alternative European Link, GRAEL) という会派を組織したが、このグループは規模が小さく、欧州議会から補助金を受けたり委員会に参加したりすることができなかったため、オランダの欧州コミュニティに反対する市民運動など各国の地域主義政党や急進主義・社会主義政党からなるレインボー・グループに加わることになる。ヨーロッパの緑の党は欧州議会における GRAEL を頂点にし、その下に各国の緑の党を束ねる EGC, そして各会員政党という緩やかな三角形の組織構成をとっていた。
また、ドイツやオランダの会員政党が「欧州議会議員は任期の半分を務めた時点で他の人物と交代する」という原則を導入していたため、ヨーロッパの緑の党の立場は弱いものになっていた。この原則はもともとドイツ緑の党で始まったもので、本来の目的はドイツ連邦議会内での非公式な根回しによってメンバーが選ばれるのを防ぐことにあった[2]が、欧州議会では逆効果をもたらすことになった。一方オランダでは、緑の勢力3政党が議会に2議席しか持っていなかったがための妥協策として、交代の原則が導入されていた。1議席はトップ当選した党が保持し、もう1議席を第2党と第3党とで交互に回すことで、3党すべてが欧州議会に代表を送り込めるようにしていたのである。
さらに、緑の勢力の中にも意見の違いが存在していた。特に親欧州主義と欧州懐疑主義の対立である。これらの要素もまた欧州議会での緑の党の立場を弱めていた。
1989年の選挙では、緑の勢力は30議席を得た。レインボー・グループとの政策の不一致のため、緑の勢力は独自会派グリーン・グループを組んだ。この期間中、緑の党は欧州議会ではさらにその体制を固めていった。
1993年 - 2004年
[編集]1993年6月、フィンランド・キルッコヌンミにおいて欧州緑の党連盟 (European Federation of Green Parties) が EGC メンバーにより結成された。EGC 時代よりもさらに組織化され、3年ごとの会議、評議会に代表委員会も備えるようになった。欧州議会ではグリーン・グループとの関係をさらに強化した。
1994年の選挙では、緑の勢力は合計20議席を獲得した。内訳は同盟90/緑の党12議席、オランダのフルンリンクス1議席、エコロとアハレフが1議席ずつ、ルクセンブルク緑の党1議席、イタリアの緑の連盟2議席とアイルランド緑の党2議席である。後でデンマークの社会主義人民党から1名、イタリアのラ・レーテとボルツァーノ自治県の南チロル人民党から1名ずつが合流し、最終的な勢力は23議席となった。レインボー・グループから改称した欧州急進連盟とは、ここでも別のグループを組織した。
1999年の選挙においては、38議席を得る躍進を見せた。内訳は同盟90/緑の党7議席、フルンリンクス4議席、エコロ3議席とアハレフ議席、ルクセンブルク緑の党1議席、イタリア緑の連盟2議席, アイルランド緑の党2議席、フランス緑の党9議席、オーストリア緑の党2議席、フィンランド緑の同盟2議席、スウェーデン緑の党2議席、そしてイングランド・ウェールズ緑の党2議席である。ここでは、かつて欧州急進連盟に参加していた地域主義政党や独立勢力からなる欧州自由連盟と統一会派「欧州緑グループ・欧州自由連盟」を組むに至った。緑の勢力が人数の面でも政治的にも勢力を増しており、これらの勢力との関係も以前とは違ってきていたのである。
2004年以降
[編集]2004年2月20日から22日までローマで開催された、欧州緑の党連盟の第4回会議期間中、1,000人以上の代表が出席したパーティ・コンベンションにおいて、EGP が正式に設立された。全ヨーロッパからの32の緑の党がこの新たな汎欧州政党に加わった。これにより、EGP は初めて組織された欧州規模の政党となり、他の政治勢力も同様に、2004年から2006年にかけて続々と欧州政党の組織へと移行した。
ヨーロッパの緑の勢力の、EGP として再編された後の最初の目標は2004年の選挙であった。この選挙キャンペーンでは、欧州連合内のすべての国でほぼ同じモチーフや標語が使用された。
主義・主張
[編集]EGP は環境責任、個人の自由、民主主義、多様性、社会正義、男女同権、持続可能な開発や非暴力など、環境政治の基本的な理念に常に関わってきている[3]。
しかし、欧州連合やその機関との関係は年を追うごとに劇的に変化しており、また現在でも議論の対象のひとつとなっている。1970年代および1980年代は、ヨーロッパの緑の勢力は欧州の政治・経済統合に対して、環境や社会の利益に反するとして一般的に懐疑的であった。1984年のプログラムでは、中立的で集中化を排した“もう一つのヨーロッパ”の形成を支持していた。しかし1989年、会員政党の一部が欧州議会寄りの立場をとり、欧州統合に対して協力的な姿勢を見せはじめた。この年のプログラムでは欧州の各機関の民主化を支持した。1994年のプログラムでは、欧州統合に反対との理念を放棄し、欧州連合の政策に対して現実的な代案を出すようになっていった。1999年および2004年のプログラムもこの路線を踏襲している。
それでも前述の通り、ルクセンブルク緑の党などの親欧州主義からスウェーデン緑の党などの欧州懐疑主義など、会員政党の中にも意見の違いが見られる。
インターネット政策の分野では、欧州緑グループ・欧州自由連盟は自由な情報インフラへの強い支持で知られるようになっている。2003年に提案されたソフトウェア特許に対する各国法制度の統一指令がその最たるものである。
議席
[編集]欧州議会の6回の直接選挙におけるヨーロッパの緑の勢力の選挙結果を以下の表にまとめる。
年 | 欧州議員数 | 欧州議員 % | 得票率 % | 欧州委員数 | 代表 | 欧州議会副会派 | 欧州議会会派 | 組織 |
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1979 | 0 | 0 | 2.4 | 0 | なし | なし | なし | 欧州緑の党・急進党連合 |
1984 | 11 | 2.5 | 4.2 | 0 | アレクサンダー・ランガー マリア・アメリア・サントス |
緑のオルタナティブ欧州リンク | レインボー・グループ | 欧州緑のコーディネーション |
1989 | 25 | 4.8 | 7.4 | 0 | アレクサンダー・ランガー マリア・アメリア・サントス |
グリーン・グループ(欧州議会内) | 欧州緑のコーディネーション | |
1994 | 21 | 3.7 | 7.4 | 0 | アレクサンダー・ランガー クラウディア・ロート |
グリーン・グループ(欧州議会内) | 欧州緑の党連盟 | |
1999 | 38 | 6.1 | 7.7 | 1[注 1] | ハイディ・ハウタラ ポール・ラノワイェ |
ヨーロピアン・グリーンズ | 欧州緑グループ・欧州自由連盟 | 欧州緑の党連盟 |
2004 | 35 | 4.8 | 7.3 | 0 | ダニエル・コーン=ベンディット モニカ・フラッソーニ |
ヨーロピアン・グリーンズ | 欧州緑グループ・欧州自由連盟 | 欧州緑の党 |
2009 | 47[注 2] | 6.2 | 7.3 | 0 | ダニエル・コーン=ベンディット レベッカ・ハルムス |
ヨーロピアン・グリーンズ | 欧州緑グループ・欧州自由連盟 | 欧州緑の党 |
- ^ ミヒャエレ・シュライアー、ドイツ緑の党
- ^ ヨーロッパ・エコロジーグループから選出された6名を含む
組織
[編集]構成
[編集]EGP はヨーロッパ内の国(必ずしも欧州連合加盟国だけとは限らない)の政党より構成される。政党がオブザーバーとして参加することも可能である。個人でメンバーになることもできるが、その場合政党と同様の権利は与えられない。
EGP における最も重要な機関は会議・評議会・委員会の3つである[4]。これらの機関においては、すべて3分の2以上の多数決によって議決される。
- 会議 (Congress) は会員政党、および緑の党に属する欧州議会議員の400名の代表からなる。メンバーは欧州内または各国内における直近の選挙での得票率に基づいて各党に枠が配分されるが、少なくとも4名分の割り当てが各党ごとにある。会議は EGP の全体的な政策や、党の中心となる理念についての決定権を持つ。
- 評議会 (Council) は欧州議会議員と会員政党の代表から構成される。小政党からは1名、大政党からは2名の代表が出る。評議会は会議と会議の間に起こる政治的問題についての責任を負い、また委員会メンバーの選挙や会員・オブザーバー政党の加盟、党則など組織上の事項を決定する。
- 委員会 (Committee) は2名の代表(spokespersons, 男女1名ずつ)、書記局長 (secretary-general) と財務担当 (treasurer) を含む、合計9名から構成される。委員会は日常の政治的問題を担当するほか、評議会の決定した事項および事務局の業務を執行する。
ヨーロッパ内の緑の党はそれぞれ、いくつかに区分された地域的ネットワークのひとつに属している。これらのネットワークは海を囲むように編成されており、一種のエコリージョン的な組織を形成している。グリーン島嶼ネットワーク(ブリテン諸島内の緑の党)、バルト海グリーンズ、グリーン地中海ネットワーク、グリーンアドリア海ネットワーク、北海グリーンズなどのネットワークがある。
会員政党
[編集]以下は2012年時点での会員・オブザーバー政党の一覧である[5]。
国・地域 | 政党名 | 会員資格 | 欧州議会議員数 |
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アルバニア | アルバニア緑の党 | 会員 | - |
オーストリア | 緑の党 | 会員 | 2 |
ベルギー(フランデレン地域) | フルン | 会員 | 1 |
ベルギー(ワロン地域) | エコロ | 会員 | 2 |
ブルガリア | ブルガリア緑の党 | 会員 | 0 |
キプロス | エコロジー・環境運動 | 会員 | 0 |
チェコ | 緑の党 | 会員 | 0 |
エストニア | 緑の党 | 会員 | 0 |
フィンランド | 緑の同盟 | 会員 | 2 |
フランス | ヨーロッパ・エコロジー=緑の党 | 会員 | 15 |
ジョージア | ジョージア緑の党 | 会員 | - |
ドイツ | 同盟90/緑の党 | 会員 | 14 |
ギリシャ | エコロジスト・グリーンズ | 会員 | 1 |
ハンガリー | 緑の民主連盟 | 会員 | 0 |
アイルランド・北アイルランド | 緑の党 | 会員 | 0 |
イタリア | 緑の連盟 | 会員 | 0 |
ラトビア | 緑の党 | 会員 | 0 |
ルクセンブルク | 緑の党 | 会員 | 1 |
マルタ | 民主オルタナティヴ | 会員 | 0 |
モルドバ | モルドバ環境党・緑の連盟 | 会員 | - |
オランダ | 緑の党 | 会員 | 0 |
オランダ | フルンリンクス | 会員 | 3 |
ノルウェー | 環境緑の党 | 会員 | - |
ポーランド | 緑の党 | 会員 | 0 |
ポルトガル | 環境政党・緑 | 会員 | 0 |
ルーマニア | 緑の党 | 会員 | 0 |
ロシア | 緑のオルタナティヴ | 会員 | - |
スロバキア | 緑の党 | 会員 | 0 |
スロベニア | スロベニア青年党 | 会員 | 0 |
スペイン | EQUO | 会員 | 0 |
カタルーニャ | カタルーニャ緑のイニシアティヴ | 会員 | 1 |
スウェーデン | 緑の党 | 会員 | 2 |
スイス | スイス緑の党 | 会員 | - |
ウクライナ | ウクライナ緑の党 | 会員 | - |
イングランド・ウェールズ | イングランド・ウェールズ緑の党 | 会員 | 2 |
スコットランド | スコットランド緑の党 | 会員 | 0 |
アンドラ | アンドラ緑の党 | オブザーバー | - |
アゼルバイジャン | アゼルバイジャン緑の党 | オブザーバー | - |
ベラルーシ | ベラルーシ緑の党 | オブザーバー | - |
ブルガリア | 緑の党 | オブザーバー | 0 |
クロアチア | 緑のリスト | オブザーバー | - |
デンマーク | 社会主義人民党 | オブザーバー | 2 |
ハンガリー | 新しい政治の形 | オブザーバー | 1 |
リトアニア | リトアニア緑の党 | オブザーバー | 0 |
ロシア | 緑のロシア | オブザーバー | - |
セルビア | セルビア緑の党 | オブザーバー | - |
トルコ | トルコ緑の党 | オブザーバー | - |
ヨーロッパ | 欧州緑の青年連盟 | オブザーバー | - |
デンマーク緑の党は2008年にEGPから除名された[6]。理由は、デンマーク緑の党が2009年の国内選挙において、欧州緑グループ・欧州自由連盟とは別会派の欧州統一左派・北方緑の左派同盟に属する欧州連合に反対する市民運動と協調しようとしたためであった。
関係組織
[編集]EGP に関係している組織のうち、最も重要なものは欧州緑の青年連盟である。この組織は緑の勢力の各青年組織の連合としての性格も持っている。
EGP は欧州緑のシニアネットワークと欧州グリーン・ジェンダー・オブザバトリー(European Green Gender Observatory, EGP 内のジェンダー関連政策を強化するための機関)を支援している。
脚注
[編集]- ^ history of the European Green Party at europeangreens.org
- ^ Hines, Eric (2003年). “The European Parliament And The Europeanization Of Green Parties” (PDF). アイオワ大学. 2008年3月1日閲覧。
- ^ charter of the European Green Party at europeangreens.org
- ^ statutes of the European Green party at europeangreens.org
- ^ Green Parties at europeangreens.eu
- ^ new item on the site of the Danish Greens