コンテンツにスキップ

甲本一

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
こうもと はじめ
甲本 一
生誕 ????6月25日
活動期間 2019年[1] -
ジャンル 少年漫画
テンプレートを表示

甲本 一(こうもと はじめ、6月25日[2] - )は、日本の漫画家[3]。『週刊少年ジャンプ』に『マッシュル-MASHLE-』を連載していた[4]

来歴

[編集]

生い立ち

[編集]

6月25日生まれ[2]。小学1年生くらいのころ、澤井啓夫の『ボボボーボ・ボーボボ』を古本屋で見かけたことを機に、単行本を集めるようになった[5]。小学生時代は『ジャンプ』少年で、『銀魂』や『アイシールド21』にもハマっていた[5]。そのころから絵を描くことが好きだった甲本は、「自由帳にコマ割りのない漫画みたいなもの」を描いて過ごし、漫画家についても意識していた[5]。小学2年から3年のころは絵を好む友人に描いたものを互いに見せ合い、高学年のころには『NARUTO -ナルト-』の模写をしていた[5]

美術大学出身の母親から漫画に必要な画材を教わった[5]。小学生のころ、画材や文具を扱う世界堂へ母親と訪れ、初めて原稿用紙を購入。Gペンミリペンも購入し、アナログで漫画を制作[5]。しかし漫画は当時かっこいいと考えていた『ボボボーボ・ボーボボ』のデザインの模写などで、ストーリー作りを行い、本格的に漫画制作を開始したのは中学生のころであった[5]。当時は「襲われている村を助ける」といった、真似をした設定の話を考えていた[5]

漫画賞に応募

[編集]

高校1年のころ、『ワンパンマン』のサイタマに近い主人公で、尾田栄一郎の『一鬼夜行』に似た設定の漫画を執筆し、漫画賞に応募[5]。2回ほど応募したところ、「最終候補まであと一歩」の状態となり、当時の担当編集者からストーリー漫画を描くよう言われた[6]。しかし当時15ページの漫画しか描いていなかった甲本は「30ページはとても無理」と考え、さらに甲本より1歳ほど年上で同世代の三木有の『改造人間ロギイ』のクオリティを見て、「こりゃ無理だ」と思い、普通の高校生活を過ごす[6]。文化祭の看板の絵を描いたくらいで、漫画賞を目指さず、絵は趣味で描いていた[6]。ペンタブを使用するようになり、大学生くらいまでインディーズの漫画サイトに投稿[6]。そこでは趣味であったため、読者の反応を意識して描いていなかったが、読者からコメントを貰い、「自分の考えと、読者の反応は違う」と感じる[6]

社会人を経験

[編集]

高校から進学する際、美術大学に進学してそういう道を歩むか、普通の大学へ行くか迷ったが、美術大学を選ばなかった時点で「将来は普通の社会人として生きていこう」と考える[6]。大学を卒業後、広告系の営業職に就職をし[6]、社会人を経験する[7]。就職活動では「ホワイトそうな製造メーカー」を狙っていたが、志望動機が言えなかったため、広告系の業界に変更[6]。そこでは「ものを作りたいです」と言えたため、うまくいったと甲本は話している[6]。就職活動の後は、絵を描くほか、「マーケティングのことや心理学、脳科学」やアイデアの出し方の本を読み、仕事のための勉強をするために図書館へ通って過ごす[6]

もともと甲本は人見知りで、気分で学校を休みゲームをして学生時代を過ごしていたため、「自分は社会性が著しく欠けている」と自覚があった[5]。そのため、「サラリーマンになるのは難しいだろう」、「社会人はちょっと無理かも」と考えていた[5]。広告業界は安定しておらず、業界の想像と現実が異なっており、営業であったため「アイデアを作ることに関われない」状態で、会社がブラックであった[6]。それであれば「いっそ漫画家を目指そう」と考える[6]。お笑い芸人も頭に浮かんだが、漫画が好きであったため、漫画家を目指そうと考える[5]。2017年ごろ、当時は『銀魂』と『斉木楠雄のΨ難』の連載が終了したタイミングでもあり、「(コメディ系の)空きが出たか」と考えたことも理由に挙げている[6]

デビューまで

[編集]

今日から俺は!!』のような漫画を描きたいと考えていたため、ジャンプ以外に『週刊少年サンデー』にも応募[6]。2年で連載という目標を設定し、期限があるため「雑でもいいからとにかく数をこなさなきゃいけない」と考え、1つの作品には2週間から1か月くらいの期間で制作[8]。夜勤で警備員のアルバイトをしながら、漫画の執筆を行っていた[8]

「ギャグ漫画家になりたかった」ため、「赤塚賞を余裕で取れるくらいじゃないと」と考え、「取れなかったら諦めよう」と思い、赤塚賞へ応募する[9]。2018年、第89回赤塚賞で『爆裂面接試験』が佳作を受賞[1](柏崎康一名義)[9]。受賞後新たに描いた作品がすぐに掲載となり[10]、2019年、『リベラル風紀委員 山田太郎』でデビューを果たす[1]。当時の担当編集者の井坂によると、受賞もデビューもしたが、何故か突然ペンネームを改名したいと言ったため、柏崎康一からこういちろうに改名する[2]

連載

[編集]

2020年、『週刊少年ジャンプ』(集英社)9号より初の連載となる『マッシュル-MASHLE-』を開始[4][3]。同作が「次にくるマンガ大賞 2020」で11位[11]、「全国書店員が選んだおすすめコミック2021」で3位を受賞[12]。同作は2023年と2024年にテレビアニメ化されている[13][14]。2023年31号で同作の連載を終了[15]

人物

[編集]

漫画制作について

[編集]

甲本によると、漫画を描く時に文字の大きさや行数に気をつけており、絵については「最初にキャラの位置関係がわかる全体の絵を入れる」ことを重要視しているという[16]。アクションシーンの「一枚絵では奥から手前にパースがきつくつくように」工夫している[17]。甲本は「やばい」キャラクターを好んでいるため、自身の漫画に登場する人物についてもセリフを極端にし、「とりあえずやばい人」になるように描いているという[18]。ジムに通っており、その時間を確保するために「力を抜くとこは抜く」のだという[19]

影響を受けたものなど

[編集]

WEB版の『ワンパンマン』が好きで、影響を受けている[16]。『鬼滅の刃』を見て、キャラクターデザインにアイテムやモチーフを入れるとキャラクターのアイコンになるのだと考えたという[20]

好きな漫画に『弱虫ペダル[2]、『グラップラー刃牙[2]、『囚人リク[2]、『君に届け』を挙げている[10]。趣味・特技はYahoo!知恵袋と反復横跳び[10]

漫画家になってよかったことは、『ボボボーボ・ボーボボ』の澤井啓夫とやりとりをしたことである[8]。センターカラーで同作の真似をした際、許可を得るためにお願いしたところ、澤井から「がんばってね」と言われ、すべてが報われたと甲本は話している[8]

作品リスト

[編集]

連載

[編集]

読み切り

[編集]
  • リベラル風紀委員 山田太郎(『ジャンプGIGA』2019WINTERvol.1[9]) - 柏崎康一名義[9]。デビュー作[1]
  • 破壊神シヴァ崎くん(『ジャンプGIGA』2019SUMMERvol.1[9]) - こういちろう名義[9]

関連人物

[編集]
  • 浅井友輔 - 担当編集者[21]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d 甲本一”. 集英社オンライン. 集英社. 2024年4月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 「こういちろう先生」『ジャンプGIGA』2019 SUMMER vol.1、集英社、2019年6月27日、446頁。 
  3. ^ a b 甲本 一(漫画家)”. マンガペディア. 2021年8月4日閲覧。
  4. ^ a b c “魔法がすべての世界で頼りになるのは筋肉?ジャンプのファンタジー新連載”. コミックナタリー (ナターシャ). (2020年1月27日). https://natalie.mu/comic/news/364713 2021年8月4日閲覧。 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l 【第1回】ジャンプ少年だった小学生時代”. 少年ジャンプ漫画賞ポータルサイト. 集英社 (2024年3月16日). 2024年3月20日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n 【第2回】漫画家を諦めて、普通の学生生活を送る”. 少年ジャンプ漫画賞ポータルサイト. 集英社 (2024年3月23日). 2024年4月2日閲覧。
  7. ^ “ジャンプ初の社会人向けマンガ賞、審査員に篠原健太・附田祐斗・白井カイウ・甲本一”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年12月25日). https://natalie.mu/comic/news/554754 2023年12月25日閲覧。 
  8. ^ a b c d 【第3回】漫画賞に再挑戦! 2年後に連載スタートへ”. 少年ジャンプ漫画賞ポータルサイト. 集英社 (2024年3月30日). 2024年4月2日閲覧。
  9. ^ a b c d e f 「大募集中の手塚賞赤塚賞の魅力を大特集!!!」『ジャンプGIGA』2019 SUMMER vol.1、集英社、2019年6月27日、746頁。 
  10. ^ a b c 「柏崎康一先生」『ジャンプGIGA』2019 WINTER vol.1、集英社、2018年12月28日、504頁。 
  11. ^ “次にくるマンガ大賞2020、コミックス部門1位は戸塚慶文「アンデッドアンラック」”. コミックナタリー (ナターシャ). (2020年8月19日). https://natalie.mu/comic/news/392720 2021年8月4日閲覧。 
  12. ^ “全国書店員が選んだおすすめマンガ、今年の1位は「わたしの幸せな結婚」”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年1月29日). https://natalie.mu/comic/news/414249 2021年8月4日閲覧。 
  13. ^ “「マッシュル」原作2話の扉絵をオマージュした第1話放送後ビジュアル、ノンクレEDも”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年4月8日). https://natalie.mu/comic/news/520054 2024年4月2日閲覧。 
  14. ^ “「マッシュル」2期のキービジュとティザーPV解禁、神覚者のキャストに諏訪部順一ら”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年11月11日). https://natalie.mu/comic/news/548786 2024年4月2日閲覧。 
  15. ^ a b “「マッシュル」3年半の連載に幕 最終巻とファンブックが10月に発売”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年7月3日). https://natalie.mu/comic/news/531237 2023年7月3日閲覧。 
  16. ^ a b マッスル1「読みやすさ」”. 少年ジャンプ漫画賞ポータルサイト. 集英社. 2021年8月4日閲覧。
  17. ^ マッスル2「アクションシーン」”. 少年ジャンプ漫画賞ポータルサイト. 集英社. 2021年8月4日閲覧。
  18. ^ マッスル3「台詞」”. 少年ジャンプ漫画賞ポータルサイト. 集英社. 2021年8月4日閲覧。
  19. ^ マッスル5「表情の描き分け」”. 少年ジャンプ漫画賞ポータルサイト. 集英社. 2021年8月4日閲覧。
  20. ^ マッスル4「キャラクターデザイン」”. 少年ジャンプ漫画賞ポータルサイト. 集英社. 2021年8月4日閲覧。
  21. ^ 『鬼滅の刃』担当編集者座談会”. 集英社 2022年度定期採用情報. 集英社. 2021年8月4日閲覧。
pFad - Phonifier reborn

Pfad - The Proxy pFad of © 2024 Garber Painting. All rights reserved.

Note: This service is not intended for secure transactions such as banking, social media, email, or purchasing. Use at your own risk. We assume no liability whatsoever for broken pages.


Alternative Proxies:

Alternative Proxy

pFad Proxy

pFad v3 Proxy

pFad v4 Proxy