この前、親戚の小学生にクリスマスプレゼントで本を送ることになり、選んだのがこれ。

名探偵シャーロック・ホームズ (10歳までに読みたい世界名作)
- 作者: コナン・ドイル,横山洋子,芦辺拓,城咲綾
- 出版社/メーカー: 学研プラス
- 発売日: 2014/10/14
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る

- 作者: ジュールベルヌ,横山洋子,藤城陽,芦辺拓
- 出版社/メーカー: 学研プラス
- 発売日: 2016/04/05
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る

- 作者: ヒュー・ロフティング,河合祥一郎,patty,坪田信貴
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/09/15
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
それは最初は考慮してなくて、3冊決めたあとで気づいて、おやおやと可笑しかったものでした。
もちろんああいう著名作家と自分は面識があるではないが、twitter上でやりとりをいろいろさせてもらって、ブログに引用させてもらったり、あるいは一番多いのはまとめに収録させてもらったりだな。氏は探偵小説を中心に「物語・キャラクターの起源を探る」というのをひとつの得意というか趣味にされており、そこで少し話に「噛ませて」もらうことが多いのだった。
togetter.com
そんなわけで、書店で偶然にも手に取った本がtwitterで交流があるかた、というのは一興でしたが、本題はそこではない。
買ったホームズものは「10歳までに読みたい世界名作」の一本であり、実はこれとは別にミステリ専門レーベルもあるのだが、ここではホームズはその他の名作と並んだ上で存在感を発揮しなければならない、いわば「よそゆき」というか「少数精鋭、推理小説代表」みたいな役目を果たしているのだった。
【特集】10歳までに読みたい世界名作|学研出版サイト
そしてだな…そこに選ばれたのは何か?じゃーん
【事件File.01】まだらのひも
1.おびえた女の人
2.深夜の口笛
(略)【事件File.02】六つのナポレオン
1.ナポレオン像が三つ
2.四つ目がこわされ、そして殺人が
(略)【事件File.03】ノーウッドの怪事件
1.殺人犯にされる!
2.きみをたいほする!
(略)物語と原作者について 編訳/芦辺 拓
いかがですか。「まだらのひも /六つのナポレオン /ノーウッドの怪事件 」ですってよ奥さん。
いや、なるほどさもあろう、と納得できるかと言えば納得いくのだが、異論を言おうと思えばいくらでも言える。ていうか何か言いたいので、今から異論のほうを考えるという、よくあるめんどくさい話だ。
では、ここで「ホームズから、子供たちを推理小説の世界に引き込むために3本を選ぶとしたら自分は何にするか会議」を開催する(参加者何人なんだよ)
「まだらのひも」
みな、これを屈指の傑作と呼ぶが……ご存知の通り、これは実際の蛇がXXXXXXXXXXXXであるのに、XXXXで育てたり、XXXXXXXXXXXXをするとそれに対してXXXXXXXXXXというところに、作品としての問題がある、とはよく言われる。というか、実際にこの作品を読む前にポプラ社の
「推理小説の読み方 著/中島 河太郎」にて、完全ネタバレを含めさんざんにそれを言われたからなあ。
しかし、今見たらこの本、品切れ重版未定なんだって。それは悲しいな。ネタバレなにそれおいしいの的な無頓着さはあれど、きわめていい本で、これが無かったら推理小説を自分は読まなかっただろう。
推理小説の読み方|YA|本を探す|ポプラ社
「六つのナポレオン」
これは…文句をつけるために文句をつけるこの記事のコンセプトに反するのだが(笑)、これは異論がないのだ。なぜかというと、ほぼ最初に読んだ短編ホームズがこれだったのだよ、しかもネタバレ抜きでね(笑)
最初が「緋色の研究」、次が「四つの署名」であることは知っていたが、その後の順番は知らずに、偶然読んだのだけど、やはり「ナポレオン像が次々破壊される」という事件において、最初は動機がそのナポレオンに対するXXXXXXXXXXXXXではないか?とミスリードさせておいて、実はXXXXXXXXXXであることを、犯行現場のとある手掛かりから、導いていくというのは面白いのでした。
うん、いささか癪ながら、これには賛同せざるを得ないのでし。
「ノーウッドの怪事件」か。
これはホームズがかなり苦戦した事件のひとつなのだけど、どうなんだろうね、謎も解決もなかなかに面白いのだけど、途中でXXXXXXXが見つかったけど、ホームズ視点ではXXXXXXXXXだったことが分かっているから、実はXXXXXXXXXだと判断する決め手になった、というのは、推理小説のルール的にいいのか、という。こうやって見ると、ほぼ一度もまじめに犯人当てをしたことない(正確にいえば成功したことがない)自分なのに、なぜか「ミステリ警察」の目を気にしているような気がする。というか後述するけど、そもそもシャーロック・ホームズはその後…後世のミステリ警察、それもミステリ警察の「トリックフェア判定1課」からは、札付きの悪党としてマークされていたりもする。ホームズの作品をあれはフェアでない、とか科学的に厳密ではないと言い出すと、そこはそれでな…帽子のサイズが大きいんだから、脳も発達しているから高度な知性の持ち主だろう、みたいな。
じゃあ代わりの3つ選ぶとしたら何か
「六つのナポレオン」、これはこちらも異論なく当確だとは前述のとおり。では残り二つは。
これは、ホームズの作品中、前述の中島河太郎さんや江戸川乱歩さんやらも評価しており、またさらに上記のミステリ警察の「トリックフェア判定1課」も「ホームズにしては『珍しく』※あるいは「唯一の」手がかりをフェアに読者に提示した作品」として知られる「金縁の鼻眼鏡」だろう。ホームズがこの作品で、自分のキャラ特性のひとつであるXXX好きを、捜査の仕掛けに利用するところもちょっとポイント高い。
もうひとつが…これは異論もあるだろうが、「ブルース・パーティントン設計書」でどうだろうかね。
これは、ホームズに兄がいて、大英帝国の秘密情報機関(としかいいようがない)の重職である、という話を子供たちに早めに教えてあげたいからである。そこから単純なミステリだけでなく、国際情勢に絡んだ壮大なスパイ小説にも目を向ける、その仕込みである。それに、鉄道を使った、当時としてはスケールの大きいトリック、ミスリードもあるし、そういう面からすると少し「毛色」が変わっているのではないかな。
ということで、「ホームズの代表作、それも子供に最初によませるべき3本の選定」という面白いことを、実際の選者にだけやらせてたまるか、という理不尽な動機によって、文句と異論を表明させていただいた次第。
なお、当方の選定、あるいは芦辺先生の「名作」での選定が妥当かどうかは、有名なネット上の無料ホームズ全翻訳
で,皆さまそれぞれご判定ありたい。
ただ蛇足ながら、実際にお子さんが選定もれを心配する必要はほぼなく「10歳までに読みたい世界名作シリーズ」とは別に姉妹編「10歳までに読みたい世界名作ミステリー」が存在し、他の作品はこちらで読めるようになっているのである。
なお、最近芦辺氏は、上の「推理小説の読み方」のように、少年少女に推理小説の読み方を啓蒙する

- 作者: 芦辺拓
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2018/11/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
を上辞された。自分も、上のプレゼント本と一緒に買ったので、年末年始に読む予定(つまり、この本は親戚にはあげないのだ(笑))