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2024.06.19

【本場台湾の味】鶏肉の唐揚げ、大鶏排(ダージーパイ)の作り方。スパイシー&ザクザク食感!

大鶏排を持つイメージ

台湾に留学経験があり、台湾料理のレシピ本も出版されている料理研究家の沼口ゆきさんに、日本でも話題になっている台湾夜市(屋台)の人気料理「大鶏排」(ダージーパイ)の作り方(レシピ)を教わりました!

日本の鶏肉の唐揚げとはひと味違った、エスニック&スパイシーな香りと衣のザクザク食感、大きくて平たい形が特徴的な台湾スタイルの唐揚げです。

「台湾焼きビーフン」など、沼口ゆきさんのレシピ一覧はこちら>>

台湾夜市で人気! 大鶏排(ダージーパイ)とは?

まずは作り方の前に、大鶏排とはどんな料理なのか教えてもらいました。

●大鶏排とは?

「『大鶏排(ダージーパイ)』とは、『鶏排(ジーパイ)』または『炸鶏排(ザージーパイ)』と呼ばれる鶏の唐揚げが大きくなったもの。鶏肉を開いて薄く大きく叩きのばし、香辛料入りの調味液に漬け込んでから粉をまぶしてカリカリに揚げた料理で、台湾の夜市屋台が発祥といわれています。

ビッグサイズの大鶏排は見た目のインパクトからSNSで広がり、あっという間に日本でも人気に。台湾では普通サイズの鶏排も人気ですが、日本で鶏排というと薄くて大きい顔くらいの大きさのものを呼ぶことが多いようです」

●どの部位を使いますか?

「鶏むね肉で作ることが多いですが、鶏もも肉で作ることもあります」

●見た目が似た台湾の唐揚げ「排骨(パイクー、パイコー)」との違いは?

「排骨(パイク―、パイコー)とは豚の骨付きあばら肉の意味ですが、豚肉に味をつけて揚げたり、それを更に煮込んだりしたものを指すことも。日本では骨なし肉を使うこともあります。台湾では駅弁としても有名ですが、日本ではパーコー飯、パ-コー麺等で知られていますね」

なるほど! 鶏排(ジーパイ)の大きいサイズだから、大鶏排(ダージーパイ)というわけですね。では続いて、作り方のポイントを教えてもらいましょう。

本場台湾の味と食感にする「大鶏排(ダージーパイ)」3つのポイント

【ポイント①】鶏肉は薄くたたきのばす。パサついてかたくなりやすいむね肉が、やわらか食感に!

鶏肉を叩きのばすイメージ

「鶏むね肉を薄く大きくするために、厚みが半分になるよう中央から左右に切り開き(観音開き)、麺棒でさらに薄く叩きのばします。

鶏むね肉は加熱するとパサついて食感がかたくなりやすい部位ですが、叩きのばすことで肉の繊維がほぐれてがやわらかくなり、歯切れのよい仕上がりになります」

【ポイント②】肉の漬け汁に五香紛を加える。台湾料理らしいスパイシーな香りと味わいに!

「鶏肉の漬け汁はしょうゆをベースに、五香粉やにんにく、しょうがを加え、パンチのある味に仕上げます」

五香粉とは、八角(スターアニス)、花椒(ホワジャオ)、桂皮(シナモン)、丁子(クローブ)、茴香(フェンネル)、陳皮などのスパイスを複合的に組み合わせたもの。

「メーカーによって配合は微妙に異なりますが、辛みはありません。この香りが加わるとグッと台湾料理らしくなる味の決め手なので、ぜひ入れてください」

※取扱い:伊勢丹新宿店 本館地下1階 シェフズセレクション

※取扱い:日本橋三越本店 本館地下1階 味匠庵グローサリー

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【ポイント③】衣にはタピオカスターチ(タピオカ粉)を使う。ザクザクッとして、冷めてもベタつかない!

大鶏排出来上がりイメージ

左:<富澤商店>GABAN タピオカスターチ(500g)605円(税込)
右:地瓜粉(参考商品) ※地瓜粉は三越伊勢丹での取り扱いはありません

大鶏排の特徴といえるのが、ザクザクッとした衣です。

「その衣に欠かせないのが、タピオカスターチ(タピオカ粉)。キャッサバ芋を原料としたでんぷん(でん粉)です。少し粒子が粗いのでザラッとしていて、揚げ物の衣に使うとザクッとした食感に。また、油を吸いにくいので、冷めても油っこくなりにく、クリスピーな食感が続くのが特徴です。衣をまぶしてから5~10分おいてなじませることも大切。鶏肉に衣がしっかりついてはがれにくくなり、衣にも味が染みて美味しくなります」

なお、タピオカスターチ(タピオカ粉)は、中国食材専門店では、地瓜粉(ディーグゥアフェン)、または木薯粉(ムーシューフェン)という名前でも販売されています。地瓜粉や木薯粉はタピオカスターチに比べて少し粒子が粗く、より本格的に仕上がりますが、日本では手に入りにくいです。

どれも手に入らない場合は、白玉粉と片栗粉で代用してください。

※タピオカスターチの取扱い:日本橋三越本店 新館地下2階 富澤商店

薄い! 大きい! ザックザク! 台湾唐揚げ「大鶏排(ダージーパイ)」の作り方(レシピ)

大鶏排の材料

<材料>(1~2人分)

  • 鶏むね肉…1枚(300g)
  • 【漬け汁】
    ・しょうゆ…大さじ1と1/2
    ・酒…大さじ1
    ・きび糖(または砂糖)…大さじ1/2
    ・にんにく(すりおろし)…1/2かけ分
    ・しょうが(すりおろし)…1/2かけ分
    五香粉…小さじ1/4~1/3
    ・こしょう…少々
  • タピオカスターチ(タピオカ粉、あれば地瓜粉、木薯粉)…大さじ5~6 ※白玉粉大さじ5+片栗粉大さじ1で代用可
  • 揚げ油…適量

<作り方>

1. 鶏肉の皮は取り除き、肉は厚みが半分になるよう、中央から外側に向かって切り開く(観音開き)

鶏肉を開くイメージ

鶏肉を観音開きにする。皮を取り除き、皮がついていた側を下に、尖っている方を手前にしてまな板に置く。中央のくぼんだ部分から、厚みの半分まで包丁で切り込みを入れる。切り込みを入れた場所から外側にむかって包丁寝かせ、少しずつ切り開いて厚みを均一する。

鶏肉を開くイメージ

次に鶏肉の上下を返し(尖っている方が奥)、同様に厚みが半分になるよう、中央から外側に向かって包丁を入れて切り開く。

筋を切るイメージ

中央の白く太い筋を、数か所切る。

「揚げ油は鶏肉がかぶるくらいの量で足りますが、鶏肉の太い筋を断ち切っておかないと、揚げている最中に鶏肉が反り返って油から飛び出し、火の通りにムラが出ます。ここでしっかり筋を切っておきましょう」

フォークを刺すイメージ

鶏肉の全体をフォークで刺す。

「鶏肉の繊維がほぐれてのばしやすくなり、漬け汁も染みやすくなります」

2. 鶏肉をラップで覆い、麺棒で厚さ6~7mmに叩きのばす

麺棒で叩きのばすイメージ

麺棒でのばすイメージ

鶏肉の表面を30㎝角程度のラップで覆い、麺棒で全体を叩いて厚さ6~7㎜にのばす。

「麺棒を真っすぐ振り下ろすと鶏肉がちぎれやすくなります。最初は真っすぐ振り下ろし、ある程度の薄さになってきたら麺棒をやや外側に向かって斜めに振り下ろし、力を逃がすようなイメージで叩きましょう(上写真)。ときどき麺棒を転がすと、厚さが均一になります(下写真)」

のばし終えた鶏肉のイメージ

「写真のような薄さになればOKです。この大きさのままフライパンで揚げますが、フライパンに収まりきらないようなら、この段階で半分に切ってください」

3. 鶏肉を漬け汁に1~2時間漬ける

鶏肉を漬けるイメージ

バットに【漬け汁】の材料を混ぜ合わせる。2の鶏肉のラップを外して入れ、漬け汁を全体によくからめる。ふたたびラップで表面全体をピッチリと覆い、1~2時間漬ける(夏場は冷蔵庫に入れる)。

「漬け汁には一晩ほど漬けても大丈夫です。漬け込む時間が短いと味が染み込まないだけでなく、揚げる時にはねやすくもなります。最低でも1時間は漬けてください」

4. 鶏肉に衣をつけ、5~10分なじませる

衣をつけるイメージ

別のバットにタピオカスターチを広げ、汁気をきった3の鶏肉を入れる。鶏肉を粉に押しつけたら裏返し、反対側にも粉を押しつけて全体に粉をしっかりまぶし、そのまま5~10分なじませる。

「タピオカスターチの代用として、白玉粉と片栗粉を混ぜて使う場合は、先に白玉粉のダマを手の平ですりつぶしてから、片栗粉と混ぜ合わせるようにしてください」

5分おいたイメージ

5分おいた状態。

「鶏肉に衣がなじむと、衣にも漬け汁の味が移ります」

5. 170℃の油でカリッと揚げる

揚げはじめのイメージ

直径27cm程度のフライパンに揚げ油を深さ1.5~2㎝注ぐ。中火にかけ、170℃になったら4の鶏肉を入れる。

返すイメージ

3~4分揚げ、下側の衣がかたまったら上下を返す。

鶏肉を油に沈めるイメージ

「途中、鶏肉が反ってきたらトングなどで押さえつけます。揚げカスが出てきたら、取り除いてください」

油をかけるイメージ

キツネ色になってきたら火を強める。上からスプーンで油を回しかけながら、3~4分揚げる。こんがりとしたら引き揚げ、油をきる。

【実食】大鶏排。やみつきになる食感と味わい! 一枚ペロリといけちゃいます

大鶏排出来上がりイメージ

大きな大鶏排に豪快にかじりつくと、五香紛の甘くスパイシーな香りがフワッと漂って、ザックリとした衣の中にはやわらかい鶏肉が。衣が油っこくなく胸肉もさっぱりしているので、見た目よりもずっと食べやすく、一人で1枚ペロリといけちゃいます!

大鶏排出来上がりイメージ

味付けはいつも作っている唐揚げの材料に、五香紛が加わって砂糖が増えただけですが、それでも「これぞ台湾風!」といった味になるから不思議。作り方も鶏肉を叩きのばす手間が加わるだけなので、これは即レパートリー入り決定です。

自宅で本場・台湾の美味しさを味わえるレシピ。みなさんもぜひ作ってみてください!

沼口ゆきさん

沼口ゆきさんのお顔料理研究家。ル・コルドン・ブルー東京校、リッツ・エスコフィエ・パリ料理学校等で料理と製菓を学び、料理研究家の有元葉子氏に8年間師事し、独立。1996 年より料理教室開始。雑誌、料理本、テレビの料理番組等でレシピを提案している。2015年秋に台北へ留学したのをきっかけに、台湾の飲食店アドバイザーとしても活動中。『台湾調味料 いただきます手帖』(誠文堂新光社)、『おうち台湾菜』(主婦の友社)など著書多数。

「台湾焼きビーフン」など、沼口ゆきさんのレシピ一覧はこちら>>

撮影:菅井淳子
文:香取里枝

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店 本館地下1階 シェフズセレクション、日本橋三越本店 本館地下1階 味匠庵グローサリー、新館地下2階 富澤商店にてお取扱いがございます。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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