「2015年にやっていた担降りアンケートから時間が経ったのでまたやってください!」という声を1年に数回聞いていた。2015年に実施した担降りアンケートとは、約5,000人のオタクに回答してもらったアンケートで当時の旧ジャニーズ事務所内で直近でオタクが誰から誰へ担当(推し)を変えているのかを聞き出し、まとめたものだった。2013年にも私が所属していたサークル内で実施していて、毎回とても反響の大きいものだった。その時代のファンの動きのトレンドが分かるということで、私も集計作業こそ大変なものの、出てくる結果は毎回興味深いものだった。2015年の結果はこちらのブログを参照いただきたい。
- ジャニヲタは、いつ、誰へ、担降りしている? 「ジャニヲタの担降りアンケート2015」集計結果・前編 - それは恋とか愛とかの類ではなくて
- ジャニヲタは、誰から、誰へ、担降りしている? 「ジャニヲタの担降りアンケート2015」集計結果・後編 - それは恋とか愛とかの類ではなくて
それからあまり実施する余裕が自分になかったので、最後に実施してから10年経ってしまったが、今のトレンドが知りたくなったことと、またやって欲しいと改めて声をいただいたことで、全く同じフォーマットで2025年版を実施することにした。私はすぐさまXでアンケートフォームをポストした。
【拡散希望】10年振りに担降りアンケート2025開催します!担降りを経験された方に向けて簡単に回答できる3つの質問を用意していますのでぜひご回答ください。昨今の事情を鑑みて降り元/降り先の両方あるいはどちらかがSTARTO ENTERTAINMENT所属の回答を募集します。https://t.co/9OIS8dCQp2
— あやや@垢引っ越しました (@hraom2) 2025年3月13日
回答が一定数集まり次第予告なく締めます。フォロワー以外の方でも回答OKです。回答結果は後日ブログ(https://t.co/cMqwzbFksF)にて報告します。どのように集計されるかは2015年の集計結果を参照ください。 ◆https://t.co/0KiTTdsTnU ◆https://t.co/XJD0e3QVrh
— あやや@垢引っ越しました (@hraom2) 2025年3月13日
回答お待ちしています‼️
ところが回答が思いのほか集まらなかったのだ。2015年に実施した際はツイートから約10時間で5,000人の回答が集まっていたが、今回はポストから2日経っても500人程度の回答しか集まらなかった。考えられるハード面の要因としては、私が10年前のXアカウントから引越をしており当時に比べるとアカウントの影響力が弱いこと、またXの仕様変更によりポストがフォロワー全員に行き渡らずアンケートに気づかれていないことが挙げられると思う。しかし今回それよりももっと声として届いたのは、「担当いう感覚ではないので回答できない」「降りるではなく、推し増しや掛け持ちをしているので担降りに該当せず答えられない」という声だった。実際に拡散にご協力いただいた方も「私は違うので答えられないのですが、担降りしている方はぜひ!」と引用リポストしていただいた方も多かった。そう、「担降り」という概念が希薄化しているのである。もっと言うと「担当」という概念自体が10年前に比べると希薄化してきているのである。10年前はまだ旧ジャニーズ事務所のアイドルを応援しているファンは、自分が応援しているタレントのことを「担当」と呼び、それは1人のファンにつき1人のタレントという考え方が強かった。「副担」(次点の担当)、「カケモ」(担当の掛け持ち)のファンもいたにはいたが、1人のタレントに入れ込んでいることこそが真のファンだという風潮はあったように思う。だからこそ「担当」には特別な意味があり、その「担当」が変わる「担降り」は本人にとってはビッグイベントになることから(あんなに1人に入れ込んでいたはずなのにその対象を変える訳だから)、お気持ちを表明するブログなども一時期よく見かけていた。今も見かけない訳ではないが、タレントの卒業や脱退や結婚などタレント側に起きた出来事に起因する担降りのお気持ち表明であって、何もないタイミングでの担降りお気持ち表明ブログは見かけなくなったように感じている。この変化は「推し活」の流行とともにあるように思っていて、「担当」というより「推し」と呼ぶ人も多くなったように感じる。「担当」に責任感を持って人生を捧げて入れ込むようなオタク活動ではなく、「推し」は自分の人生を豊かにしてくれるものとしての推し活動へと、シフトしていったように感じている。そんな最中2015年と同じフォーマットのままアンケートフォームをポストしてしまったので、そのことを考慮できなかったのは悔やまれるが(しかし担降りという言葉は死んではいない)、最終的には1,100人の回答が集まった。もしかしたら回答者の中には、「担降りのつもりではないんだけどな〜」と思いながら回答してくれた方もいるかもしれないので、最初にこの話をさせていただいた。このアンケートの回答者が全員「担当」という文化や制度にフィットしているかどうかは分からない、その可能性も踏まえて今回のアンケート結果を見ていただければと思っている。そして私もけして「担当」文化を押しつけることは意図しておらず、あくまでファンの動きのトレンドを知る目的で実施しているということを念のためお伝えしておきたい。
ということで前置きが長くなってしまったが、アンケート結果に入っていきたい。
- 「担降りアンケート2025」概要
- グループ×年代別の担降り表 ー まだ今年は2ヶ月半しか経っていないが一番の担降りボリュームゾーンは2025年のtimelesz
- 個人×年代別の担降り表 ー 安定的にファンを獲得する松村北斗、直近4年の勢いが止まらない末澤誠也、timeleszの新メンバーへの担降りだけで91人
- 個人別担降り表 ー 嵐ファンから流れてくる松村北斗、全方位取り込む寺西拓人、ファンが流れにくいふぉ〜ゆ〜
- 総括
「担降りアンケート2025」概要
実施期間:2025年3月13日22:00~3月15日13:00
回答対象者:担降り経験者
回答者数:1,147人
実施方法:Googleにてフォームを作成し、Twitter:@hraom2にて投稿<質問内容>
担降りの経験がある方に向けて、簡単に回答できる3つの質問をご用意しておりますので、ご回答をお願いいたします。
昨今の事情を鑑みて降り元/降り先の両方あるいはどちらかがSTARTO ENTERTAINMENT所属の回答を募集します。
- あなたの「直近の担降り」について教えてください。あなたは「誰から」担降りしましたか。タレント名を漢字フルネーム(姓名の間のスペース不要)で1名ご記入ください。(例)山田涼介さんから目黒蓮さんへ担降りした場合→「山田涼介」と回答(姓名の間のスペース不要)
- あなたの「直近の担降り」について教えてください。あなたは「誰へ」担降りしましたか。タレント名を漢字フルネーム(姓名の間のスペース不要)で1名ご記入ください。(例)山田涼介さんから目黒蓮さんへ担降りした場合→「目黒蓮」と回答(姓名の間のスペース不要)
- あなたの「直近の担降り」について教えてください。あなたはいつ担降りしましたか。(例)2023年に山田涼介さんから目黒蓮さんへ担降りした場合→「2023年」を選択
2015年に実施した際は旧ジャニーズ事務所所属のタレント内の担降りをメインに回答募集していたが、今回は昨今の事情を鑑みて降り元と降り先の両方あるいはどちらか一方がSTARTO ENTERTAINMENTの担降りを対象としている。つまり、すでに退所済みのタレントからSTARTO内のタレントへの担降りも、STARTO内のタレントから退所済みタレントへの担降りについても回答可としている。
また「降り元」「降り先」という言葉を使用しているが、この言葉は普段からファンの間で使用されている言葉ではなく、このアンケートにおいて便宜上分かりやすく使わせていただく言葉である。
前回2015年の5,000人の回答時にも述べていたが、あくまで個人のアカウントにて行なっているアンケートのため、結果には存分にバイアスがかかっていることを念頭に置いて結果をご覧いただければと思う。特に今回は1,147人分の回答しか集まっていないため、傾向と呼べるほどのものを見い出すことが難しい結果となっている。また私が現在ジュニアの猪狩蒼弥さんを軸に見ているため、その周辺のタレントのファンの回答は特に多くなっているが、それが他のグループに比べた人気の指標になるわけではないということは十分にご注意いただければ幸い。
グループ×年代別の担降り表 ー まだ今年は2ヶ月半しか経っていないが一番の担降りボリュームゾーンは2025年のtimelesz
※縦軸が西暦、横軸がグループ名。赤文字がそのグループの最大値(=一番担降りしてきた人が多かった年の人数)、背景色黄色部分はデビュー後となっている。「なし」は降り先がなく、降りただけで新しい担当は見つかっていない人。「その他」はSTARTO ENTERTAINMENTのタレント以外へ降りた人、または上記グループに所属していないジュニアに降りた人も含まれている。
ここで一番注目すべきは、今回の担降りアンケートの一番のボリュームゾーンとなっているtimeleszである。2025年はまだ始まって2ヶ月半しか経っていないが、すでに63人(全体の5%)がtimeleszへ担降りしており、Netflixで配信されていた『timelesz project』の影響力の大きさが窺える。ちなみに今は新メンバーが決まってからまだ1ヶ月なのでかなり早めに担降りを決行した方々かと思われるが、これから新体制での活動量が増えてくると更に増えそうな予感はある。
またやはり前回の5,000人の回答に比べると、人数がかなり分散されていて、かつタレントの数も増えていて(150人以上)傾向が読み取りづらい。そしてジュニアに関しては新体制となる「ACEes」「KEY TO LIT」「B&ZAI」で集計しているが、回答者のほとんどが前グループ時に担降りした方々だと思われるため、新グループでの集計では目的を果たせないかと思われるため、下に記載する個人別表などを参考にしていただきたい。
個人×年代別の担降り表 ー 安定的にファンを獲得する松村北斗、直近4年の勢いが止まらない末澤誠也、timeleszの新メンバーへの担降りだけで91人
ここからは個人別に年代別の担降り人数を見ていきたい。赤字は全タレントの中でその年に最も担降り人数が多かった人、2021年以降はベスト3に色付けをしている。
ここで注目すべきは2015年以降安定的にファンを獲得し続けている松村北斗さん。全体の合計人数でもトップである。そして2022年以降は末澤誠也さんが連続でベスト3に入っている。また、寺西拓人さんもこの2年で37人ファンを獲得しており、篠塚大輝さんの担降りファン獲得の多さも加わり、timelesz projectで加入した新メンバーだけで91人の担降りファンを獲得していることになる。
個人別担降り表 ー 嵐ファンから流れてくる松村北斗、全方位取り込む寺西拓人、ファンが流れにくいふぉ〜ゆ〜
ここからは具体的に「誰から誰へ担降りしているのか」結果を見ていく。初めて担降りアンケートの結果を見る方は、まず「担降り表の見方」から確認して進んでいただきたい。
ちなみに今回STARTO ENTERTAINMENT外のアイドルやタレントの名前も降り先として出てきている。STARTOタレントについてはこちらで表記を整えているが、STARTOタレント以外については、基本的に回答者の記載のままとしている。そのためカッコ書きでグループ名や属性を書いてくださっている方もいれば、名前だけの方もいるのでご注意いただきたい。
今回集計してみて感じたことだが、2015年実施時に比べるとやはり回答者数が落ちたことにより、傾向と呼べるような担降りは計測できていないと感じている。また10年前は旧ジャニーズ事務所が男性アイドル界ではほぼ一強だったことから(それが良かったのかどうかは別として)事務所内での担降りがほとんどだったが、現在は男性アイドルグループもかなり増えそれを運営する事務所が次々とアイドルグループを売り出している。そんなアイドルが多様化してきている状況なのでオタクが分散されている様も感じられた。
その中で敢えて傾向を見出すならば、やはり他と比較して圧倒的に数の多かった「二宮和也→松村北斗」(12人)の担降りではないだろうか。俳優として活躍される二宮さんを好きになった方が、今俳優として注目されている松村北斗さんを好きになるのは自然な流れのように思う。ちなみに二宮さんは2015年実施時にも「二宮和也→伊野尾慧」で担降り組み合わせのトップだった。そもそも元々二宮さんのファンが多くないと作り出せないはずなのでそのプールの多さに舌を巻く。また嵐の他のメンバーから松村北斗さんへ降りている方も一定数いるため、国民的アイドルとなった嵐から国民的アイドルになろうとしているSixTONESへスライドするのはとても自然である。
また今回私がアンケート実施前に注目ポイントと思っていたのはtimelesz寺西拓人さんで、先日Instagramのフォロワー数が100万人を突破したこともあり、かなりの方が降りたのではないかと思っていたので、それが実際にどうなのか知りたかったのである。結果的に松村北斗さんの次点で担降り人数が多い結果となったが、降り元を見てみると色んなグループやタレントから降りてきており、全方位を取り込んでいることが分かる。どういったタレントと似ているかということに関係なく、ファンが流れてきていること、シンプルにすごい。
そして個人的に注目すべきはふぉ〜ゆ〜。降り元(左)の方が多い表は、現時点流れてくる人の方が多い状態で、今注目されている若手がこの状態になっていることが多い中、ふぉ〜ゆ〜も降り元の方が多く、降り先が少ない。もう事務所の中ではベテランとなる彼らだが若手と同じ状態になっていることが面白く、流れてきたファンを自分たちでとどめていることがシンプルに凄い。
総括
という訳で、10年振りに「担降りアンケート2025」をやってみたが、「担当=1人」という概念が弱まっている以上、次回実施する時にはアンケートの取り方をアップデートしないといけないなと思っている。またこれだけアイドルが多様化している中で傾向を測るには多くのサンプル数が必要となるため、やはり回答数がもう少しあった方が良いと感じた。それでもそんな文化の移り変わりがある中で、1,000人以上の方に主旨を理解していただき回答していただけたことは本当にありがたく感じていて、久しぶりにアンケート芸を発揮できて良かったなと思っている。そして「担降りアンケート」は私のアンケート芸の中でも特に作業量がヘビーなので(それが理由で10年間腰が重かったのもある)もう一度できるのか自信がなかったけれど、無事に集計をやり遂げられて今達成感に満ちている。毎回「担降りアンケート」をやる度に「掛け持ちアンケートもやってください」という声をいただいていて、ただ1人のファンに対して1人のタレントはとても集計がしやすいのだけれど、掛け持ちの場合どのようなアンケート設問にして何を集計するのかということがイメージできないままでいるので、この辺り案のある方はお声かけいただきたいです。また今回私が言及していたところ以外にも傾向として見出せるポイントはあるかもしれないので、ぜひみなさんの目で追った感想をお聞かせください!