北海道大学(北大)は、リンゴ果実内部の「スクロース(ショ糖)」の生合成活性に部位間差があり、果皮部に近い果肉組織で同活性が高いことを、炭素の安定同位体「13C」で標識した基質の外与および質量分析イメージング技術を用いて明らかにしたと、2月20日に発表した。
同成果は、北大大学院農学研究院の鈴木卓特任教授らの研究チームによるもの。詳細は、食品の化学および生化学に関する全般を扱う学術誌「Food Chemistry」に掲載された。
スクロースは、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が結合した二糖類だ。リンゴの果実においては、果芯部から果皮部に向かって徐々にスクロース濃度が高まる。しかし、なぜこのような濃度勾配が生じるのか、その原因は不明だった。
そこで研究チームは今回、リンゴ樹における可溶性炭水化物の転流形態であり、スクロース合成の基質となる糖アルコールの「ソルビトール」に着目。同化合物を13Cで標識して果肉組織に外与し、果実内で生合成される13C含有スクロース(13C-ソルビトール由来)の分布を、試料中の特定の分子の分布を調べられる質量分析イメージング技術を用いて可視化。これにより、果肉組織におけるスクロース生合成活性の部位による違いの解明を試みることにしたという。