ベインの持ち株比率は50%か
セブン&アイ・ホールディングス(HD)はコンビニエンスストア事業に集中し、ヨーカ堂をはじめデニーズやロフトといった非コンビニと金融以外の事業を束ねる中間持ち株会社ヨークHDを設立した。その株式の過半を2026年2月までに外部に売却することも明らかにしている。
セブン&アイHDはここ数年、アクティビスト(物言う株主)から不採算事業のそごう・西武、イトーヨーカ堂などの売却を求められている。24年8月にはカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタール(ACT)から7兆円規模の買収提案を受けた。セブン&アイは、企業価値を高めて株価を引き上げ、買収を阻止するための構造改革を急いでおり、非コンビニ事業の非連結化(持ち分法適用会社になる見込み)は、事実上の買収防衛策と言えるだろう。
セブン&アイの井阪隆一社長は「自律的な財務の下、成長戦略を一層加速的に実現していく」とヨーカ堂を中心としたグループ再編を、こう表現している。当初(24年4月)は「(ヨーカ堂は)27年度以降のIPO(新規株式公開)をめざす」としていたが、その計画はグループ再編を経て大幅に前倒しされることになった。
すでにヨークHDの売却は、米ファンドのベインキャピタルなど3社が2次入札に進み、ベインが優先交渉権を持つ見通しになった。25年春ごろまでに株式の売却割合などが決まる見通しだ。
関係者の話を総合すると、ベインの持ち株比率は50%にとどまる可能性があり、残りをセブン&アイ・ホールディングス、創業家が持つとの見方がある。当初は75%程度を外部に売却するとの構想だったが、セブン&アイ経営陣はプライベートブランド「セブンプレミアム」の開発でのスーパーの役割の重要性、祖業であるイトーヨーカ堂への配慮で、マジョリティーを外部に取らせることは避けたいと判断が働いている模様だ。