暴落株を買ってみる暴落検証。2024年12月12日、阿鼻叫喚の地獄と化していたくら寿司の株を買ってみたことは以前の記事でお伝えした通りである。それまで1株4000円近かったくら寿司が3200円台まで落ちた大暴落だ。

絵に描いたような落ちるナイフ。これはどこまで落ちるか分からない。一方で、ネットでは「復活するかも?」との声も上がっていた。なぜならば……

・株主優待の廃止

暴落のキッカケが株主優待の廃止が発表されたことだったから。ちなみに、廃止された株主優待は、持ち株数に応じてお食事割引券がもらえるもの。100株以上の保有で2500円分、200株以上で5000円分、400株以上で1万円分、1000株以上で2万円分

私(中澤)は株主優待を目当てに株を買うことがないけど、これだけ落ちるということはやっぱり個人投資家にとってデカイ魅力なんだなと思う。では、なぜ「復活するかも?」という声が上がっていたかと言うと……

・サイゼリヤの例

同じく株主優待を廃止したサイゼリヤは暴落した後株価が戻ってきたから。戻ってきた理由は色々あると思うけど、くら寿司にもその復活劇がないとは言い切れないという雰囲気だった。

戻って来るのか来ないのか。リアルタイムで味わってみるのも一興だろう。というわけで、手を出してみたわけ。とりあえず、3260円で100株購入。当時のネットの雰囲気を覚えているのも直後に買ったからだと思う。

・地獄

しかし、戻る雰囲気を全く見せないくら寿司。その後もずるずる下がる。1月中盤くらいから2600円台をウロウロするようになった。完全に泥沼、というか、底値を追っている私としては地獄だ。持ち株も900株になり購入額は計264万948円に

株数が900株になってくると、100株買ったくらいでは平均取得額があまり下がらなくなる。ゆえに、私の平均取得額は2934円と底値より300円くらい高い状態でステイ。それもそのはず、暴落直後から見ても600円以上落ちている。もはや底値が追えない。

だが、3カ月目に入って株価はさらに下落して2590円に。地獄。落ちるナイフは掴むなと言うけれど、底をついたと思ったらまだ落ちれるのヤバイ。暴落って見極めの難しさも特徴の1つと言えるだろう。

・ヤバイことに

含み損は30万9600円に。これはもう無理かもしれん……。俺の屍を越えていけ。もはや、死に体になっていた2月19日の夜のこと……


時間外でくら寿司がストップ高になっていた。キ、キタァァァアアア! でも、なんで?


そこで調べてみたところ、なんと、くら寿司が株主優待の再導入を発表したのである。IRのリリースによると、


「多くの株主様から株主優待制度の再開等のご意見やご要望を頂戴いたしました。このことに鑑み、改めて株主の皆様に対する利益還元について協議した結果、株主の皆様の日頃のご支援に感謝し、当社株式への投資魅力を高めるため、株主優待制度を再導入することを決議いたしました」


──としている。そんなことあるんですか!? 奇跡すぎる。

また、以前の株主優待では、割引券だったものが、新株主優待は食事券に。電子チケットと紙の選択制だったものが、2025年7月の発行に関しては紙で統一されるという。基準日は2025年4月30日。

・どこまで上がるのか

これを受け、一夜明けた2月20日も朝からストップ高。ひと晩にして45万円プラスとなり、現在約14万円の含み益となった。とは言え、2500円台だったため500円上げでストップがかかり、まだ暴落直後の値には届いていない。これからどこまで上がるのかも興味深いところだ。

というわけで、奇跡が起きたおかげで丁半博打みたいな結果となってしまったが、言い訳させてもらうと、個人的には次の決算を見ていた。PBR1.8倍くらいまで下がってたしそのうち取得額は超えるんじゃないかなあくらいの貯金的なノリである。

ひょっとしたら、くら寿司側も私と同じくチャレンジだったのかもしれない。チャレンジしたら思った以上に暴落した的な。同じ株主優待の廃止も企業ごとに結果は違うということである。

それにしても、優待廃止で離れたものって優待復活で戻るんだな。現時点ではどこまで戻すかは不明だけど、また1つレアケースを体験できたのであった。個人的にはくら寿司を応援しているので、くら寿司的にも良いケーススタディになっていれば幸いである。

参考リンク:くら寿司IRニュース「株主優待制度の再導入に関するお知らせ(PDF)
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.