smellman's Broken Diary

クソみたいなもんです

カッコウはコンピュータに卵を産む

先週ぐらいに読み終わっていたんだけど感想書いてなかった。
えーと、とりあえず古い本です。どんぐらい古いかというと、取り上げられている事件が起きたのが1987年、原書が1989年、そして翻訳本が1991年です。1991年っていうと僕が10歳の時ですから、まぁずいぶん古いというわけです。
そんな古い本ですが、今読んでも面白いかった。実は読むのは二度目で、最初に読んだのが高校生の時だった。当時はインターネットには繋げていたけどUNIXは触った事がないぐらいの時(初のLinuxは高校三年の時のTurbo Linux 2J)で、漠然とUNIXにあこがれをもっていていろんな文献を探そうとしていた時に高校の図書館で出会ったわけです。わりと有名な本で、たぶんいろんな図書館にあります。
さて、内容についてですが、1987年に発覚したハッカーの侵入事件(今でいうところの不正アクセスではなく、侵入と言った方がしっくりきます)を元に実際にハッカーを監視し続け、追いつめた筆者がひたすら当時の状況を綴る回顧録といったものです。
当時の状況は今とは全然違い、まだネットワーク犯罪ってものが今ほど一般的ではなく、また使っているコンピュータもかなり違います。冒頭からVAX至上主義な人が出てきたりしてかなり熱い!と思うのは僕が変態だからでしょう。
あと、今では考えられないと思うのは、配線に金属をつっこんで軽くショートさせてノイズを発生させて重要そうなファイルの転送を防ぐという荒技。後半にかけてノイズの作り方が上手くなってたりとかもはやめちゃくちゃ。
めちゃくちゃといや、システムを改造して不正なアカウントで入ってきたら行動を全部プリントアウトするとかは今の時代では考えられない。これが話の基本となってるとはいえ、ガチャガチャいいながらロールみたいなのを回すプリンタから吐き出されるプリントアウトを見ながらあーだこーだやる姿は想像するだけで面白い。ってか、あの手のプリンタの制御とかやりたくないですよね!(あれ?
とまぁ、こんな感じで昔のネットワークの雰囲気を味わうのにはとっておきな本です。
ですが、ここは本筋ではないです。この本ですごいなぁって思うのが、ひたすら回顧録であるという点です。ハッカーに対する戦い方、動いてくれないFBIへのいらだち、彼女との約束を破って怒られる一人の男性。面白おかしく書こうとしたら決してあり得ないようなまったく動かないという展開とか、そういうのも含めて戦いなんだなぁって思い知らされる。同じような立場なら速攻追跡をあきらめてしまうだろうなぁって思いますね。
天文学者がハッカーを追い詰めるという状況も昔だからできたって事ではなくて、対立できる人だからできたものなんだろうって思う。スキルという点よりも根気を知恵の戦いという感じだ。だから生々しくて面白い。初春みたいなのもいてもいい(というか可愛いのでいて欲しい)のだけど、こういう姿の方が僕としてはしっくり来る。

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