日本企業の株式会社ダイモンは2025年3月8日、アメリカの民間企業Intuitive Machines(インテュイティブ・マシーンズ)の月着陸機「Athena」に搭載されていた小型月面探査車「YAOKI(ヤオキ)」について、ミッションの結果を公表しました。

着陸時に横転したAthenaは月面到達から約13時間でミッションを終えており、YAOKIも月面を走行することはできませんでしたが、ダイモンはYAOKIのミッションで予定していたカメラでの画像取得をはじめとする全機能の動作を格納状態のままオペレーションすることに成功し、各機能が正常に動作することを確認したということです。

【▲ ダイモンの小型月面探査車「YAOKI」のカメラで取得された画像。着陸時に横転したIntuitive Machinesの月着陸機「Athena」の側面に格納された状態のまま取得されたもので、左上にはAthenaが着陸したクレーターの縁、下にはAthenaの着陸脚の一部が写っている(Credit: ダイモン)】

こちらがYAOKIのカメラで取得された画像です。Athenaの側面に取り付けられたYAOKIのデプロイヤー(月面到着までYAOKIを格納しておくためのケース)内部から、横転したAthenaの機体下部方向を見た様子となります。ダイモンによると、画像左上にはAthenaが着陸したクレーターの縁、画像下にはAthenaの着陸脚の一部が写っています。

【▲ Intuitive Machinesの月着陸機「Athena」の側面下部に取り付けられた月面探査車「YAOKI」のデプロイヤーの外観(Credit: ダイモン, Intuitive Machines)】
【▲ Intuitive Machinesの月着陸機「Athena」の側面下部に取り付けられた月面探査車「YAOKI」のデプロイヤーをAthenaの機体下部方向から見上げた様子。着陸後にYAOKIが取得した画像は赤丸で囲まれた開口部を通してデプロイヤー内部で取得された(Credit: ダイモン)】

前述・既報の通り、Athenaは日本時間2025年3月7日2時30分頃に月面へ着陸したものの、機体はクレーター内で横転。太陽電池の発電状況は良好ではなく、バッテリーが尽きたことで、ミッションは日本時間同日15時15分に早期終了したことがIntuitive MachinesやNASA=アメリカ航空宇宙局から発表されています。

【▲ Intuitive Machinesの月着陸機「Athena」のカメラで月面到達後に取得された画像。この後にAthenaのバッテリーが尽きてミッションは早期終了した(Credit: Intuitive Machines)】

ダイモンによると、着陸後のAthenaの姿勢が予定通りではなかったことから、Intuitive Machinesは各ペイロードのミッションを短時間で遂行するように指示。もともと着陸から約5日後にミッションを実施する予定だったYAOKIも計画を変更し、日本時間同日11時17分から全ペイロードの最後にミッションを開始しました。

YAOKIを分離して月面へ展開するために欠かせないデプロイヤーを開閉するための電力供給は途絶えていたものの、デプロイヤーの内部から冒頭に掲載した画像を取得することに成功。車輪の回転も実施されていて、分離されていれば月面で走行可能だったと推定されている他に、打ち上げ以降の全段階で温度などのデータを正常に取得することができたということです。最後のコマンドは日本時間同日13時32分に送信されており、この時点でもYAOKIのバッテリーは4時間分以上残っていることが確認されています。

YAOKIについて

YAOKIは全長15cm・重量498gという小型・軽量の月面探査車で、100Gの衝撃に耐える堅牢性と、転倒しても走行を続けられる設計を特徴としています。

【▲ ダイモンの小型月面探査車「YAOKI」(Credit: ダイモン)】
【▲ Intuitive Machinesの月着陸機「Athena」(左)から分離したダイモンの小型月面探査車「YAOKI」(右)の想像図。実際のミッションではYAOKIは横転したAthenaから分離されることはなかった(Credit: Intuitive Machines)】

ダイモンは複数のミッションでYAOKIを月面に送ることを計画しており、これまでにIntuitive Machinesの他にもアメリカの民間企業Astrobotic(アストロボティック)との間で契約が締結されています。

 

文・編集/sorae編集部

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参考文献・出典

  • 株式会社ダイモン - 月面探査車「YAOKI」日本の民間企業として初めて月面に到達し撮影成功!(PR TIMES)