設計の現場で使える便利な言葉「ゼルダの石」。
説明しにくい事柄に対して、ベストマッチする言葉があると便利ですが、今日はその中のひとつ「ゼルダの石」を紹介します。
「ゼルダの石」とは、あっても無くても危害をなさないもの、また、そのような表現。
ゼルダの石とは、任天堂の宮本茂さんのインタビューで、僕が共感を得た内容から作られた故事成語です。
出典がウェブのどこかに転がっているはずですが、見つけられなかったので、僕の記憶と言葉で説明します。
あるとき、ゼルダのフィールドを作成していたスタッフが、何気なく石を配置しました。ゼルダの石は持ち挙げることができます。石の下からはアイテムが出てきたり、その石は投げてぶつけることが出来ます。
しかし、次の日、これを見つけた宮本さんが「誰がこんなところに石を置いたんや!」とお怒りになりました。
怒ったその理由はこうです。
「開発者にとっては無意味なものでも、プレイヤーからすればその意味を探そうとする。だから無意味なものを適当に配置するのは良くない」と。
これはゼルダをプレイしたことがある人には良く分かります。
ゼルダは謎解きです。なので、そこに何かあれば、それを使って何か出来ると考えます。しかし、何も出来なければ、何もできないと考えてしまいます。何も出来ないということが意識付いてしまえば、何もできないという先入観が芽生えて、本当に何かできるときに気付かない可能性が出てきます。
ゼルダはパズルでもあります。フィールドから得られる要素・アイテムは、パズルのピースのように相互的に機能します。もしかすると、そこに石がひとつあるだけで、開発者が予想もしていなかったことが起こるかもしれません。その場合に起こることは大抵バグでしょう。