n=1とか、マックで女子高生から聞いた話だとか、前提付けたとしてもデマを流していいわけではないんですよね。
今回は、こんなデマ(統計的っぽい差別)を見かけました。
熊本県民と鹿児島県民に「さす九」は実際どうなのか聞いたら想像以上だった話 pic.twitter.com/eqHBGKNdRL
— 尾添 椿📕発売中 (@ozoekkk) 2025年3月11日
仮に、「なんでこんなデマを流すの?」と著者に聞いたら、「友人から聞いた情報を流しただけ」と答えるでしょうが、聞いた情報としても「鹿児島の女性は栄養不足で低身長が多い」「九州は女の子が産まれることが多い」と、事実のように流したら、それはデマです。
これが描き方として、「私が認識している範囲だと、こんな風に感じる」なら、まだ個人の主観で許される範囲でしょうが、こんな描き方をしているのは、キャッチーな表現にした方がウケる(バズる、儲けられる)と考えてのものでしょう。編集者が入ってたら、絶対に指摘するはずのところ。
※5歳の全国の身長の転記ミスがあったので修正
鹿児島県の女性の伸長の伸びは学校保健統計調査を確認すればすぐに分かります。全国平均と1cmも変わらないし、標準偏差も際立って大きいわけでもありません。過去から特別に傾向が変わっていることも確認されませんし、鹿児島県の男性が他都道府県と比べて身長が高いという情報もありません。
学校保健統計調査 令和6年度 都道府県表 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
また、「九州で女の子が産まれることが多い」というのもデマです。常識として、世界でも日本の過去からも、出生率では男性の方が多いというのは基本知識だと思いますが(男女=1.05:1.00に収束する)、こちらも統計を紹介します。
詳しくは、『都道府県別、時系列及び国際比較で見た出生時の男女比』という素敵な調査が参議院の調査として存在しているので、ここから事実を引っ張ってくると、都道府県別の出生時の男女比は、どこの都道府県でも男の子が多いです。九州は鹿児島が少しだけ低いものの、他の県は全国平均と変わりません。
私が解説する必要はないんですが、私は福岡県出身という設定で、少なくとも福岡には詳しいことになっているので、こんな認識をこのエッセイ漫画家さんの友人がしているのは(友人が実在しているならば)、周囲で九州を離れている男性が多い(残っている女性が多い)ことが背景にあるというのが、私の理解です。
こちらも、同じ参議院の調査からですが、出生時や18歳ぐらいまでは九州では他の都道府県と変わらず男性が少し多いんですよね。でも、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島あたりでは、19-24歳の男性人口が減る(女性人口が相対的に増える)傾向があります。
周囲で男性が減っていって、女性の割合が増えれば、感覚的に「九州では女の子が多い」という認識で、「九州では女の子が産まれることが多い」と誤認識するのは理解できるところです。
なお、都道府県別で見た時に、九州の女性の大学進学率が相対的に低いというのは統計的事実です。武庫川大学の『表31. 都道府県別・男女別にみた4年制大学進学率の推移と男女差』によれば、2021年度の女性の4年制大学進学率は全国が51.7%に対し、鹿児島が34.9%とワーストで、九州は平均的に女性の4年制大学の進学率は低い傾向があります。
ただ、これも1976年の全国13.0%、鹿児島4.3%から年々上昇していってますし、そもそも九州は男性の4年制大学進学率も全国平均に比べて低い傾向があります。
このエッセイ漫画の中で、「両親は子どもが幸せならそれでいい」という話が出ているのも、ある種の典型で、九州でも価値観や環境の変化が起きているのです。だから、ずっと昔の世代は別として、親世代が女性に対して理解があることも増えている可能性がある。
「さす九」というキーワードに乗ってウケたい、バズりたい、儲けたいという意図は理解できますが、それはデマを流し、九州の人間を差別してよいということには繋がりません。
しかし、「膿家」って単語は、昔は農家を揶揄する言葉として2chで使われていたわけですが、今時は農業やってなくても使われることがあるんですね。言葉の使われ方も、社会の環境と同じく、変化していくものだなと思いました。
【宣伝】お金の本、書きました。感想レビューを書いてくれた人には特典記事を送ります
本の発売後に、感想レビューをAmazon、楽天、個人ブログ等で書いてくれた人には、特典記事を送ります。レビュー投降後に、「このレビューは私です」とリンクとかで分かるようにして、etsuko.topisyu@gmail.comにメールください。
特典記事は2つ用意します。
①私が日々お金の知識を身に付けている具体的なやり方、②お金の知識を仕事で使えるまでに引き上げる方法、です。本の中でも①と②は簡単に触れているものの、ページ数や引用の制限等から必ずしも丁寧には書けていなかったものです。①は本からもう少し背伸びした内容が欲しい人、②は仕事でお金の知識で無双したい人向けです。
今月中(3/12~3/31)にレビューを書いてくれた奇特な方には①②の特典記事を二つとも送ります。来月中(4/1~30)にレビューを書いてくれた方は、①②のどちらの特典が良いかメールの中で指定してください。
私が物忘れが激しくなるようなことがなければ、①②の記事ともにブログに書いたり、有料記事で配信するようなことはありません。ぜひ、レビューを投稿いただき、etsuko.topisyu@gmail.comまで忘れずにその旨をメールください。