先日のこと、配達に出る際に助手がつくのだが、その助手がなかなか面白い人物だった話(※呼び名は助手1とする)
いつものようにコンテナを積み、配達先の伝票を受け取りに事務所へ向かうと、入口付近でウロウロしている見慣れない人がいた
軽く会釈をして事務所に進むと、助手名簿に初めて見る名前が記載されていたので上司に尋ねると、その人は最近から派遣されてきたとのことだった
伝票を握りしめて戻ると、先ほど事務所の入口ですれ違った人がトラックの前で待機していた
『助手1さんですか?』と訪ねると、彼は頷いた
この人が今日の助手のようだ
黒縁メガネをかけた中年男性である
助手1を見ていると、腰に手を当てているではないか
痛みがあるのかと尋ねると、『少し』とのことだった
今日の業務はコンテナ2本分であり、腰痛を抱えながらではかなり厳しいものがある
そこで私は『結構きつい業務なので早めに報告したほうがいいですよ』と助言したが、相手は『やってみます』と返答したため、様子を見ることにした
助手1を連れて配達先へ向かうと、15分ほどで到着した
少し待ち時間があったので、ラジオを聞きながら待っていると、助手1がトイレに行きたいと言い出した
トイレは工場の中にあるため、詳細は中の人に尋ねるように説明した
助手1がトイレへ向かうと、コンテナの設置時間になっていることに気づいた
私はトラックを動かし、コンテナを設置した後、助手1が戻ってきた
助手1は『ここの中で荷物を下ろすのですか?』と聞きながら周囲を見回し始めた
工場の中に入ると、助手1の姿が見えなくなった
後ろについてきていると思っていたのだけれど、どうやら置いてきてしまったようだ
荷物を下ろすための”キャスター(4つの車輪がついた台車)”を探していると、助手1がやってきた
私は荷物の下ろし方を説明し、仕事を開始したが、助手は悪戦苦闘しながらも頑張っていた
2時間ほどで荷物を下ろし終え、次のコンテナを取り、別の現場へ向かう途中に助手1に手順を説明した
向かう現場は入口や駐車場所が狭いため、誘導が必要であることを伝えた
10分ほどで到着したが、やはり混雑していた『時間がかかりそうだ』と思い、焦っても仕方がないと様子を伺っていると、タイミング良く1台のトラックが荷物を下ろし終え、出ていくところだった『よし!』と気合が入った
助手1にトラックから降りて周りを見て誘導するよう告げると、『はい!わかりました』と元気よく返事をした助手に感激したが、その直後、自分の目を疑った
助手1はおもむろにリュックに手を伸ばし、中からお菓子のようなものを取り出して2コ、3コと口の中に放り込んでいた
私はその光景に一瞬言葉を失った…数秒後、「お菓子は後で食べてちょうだい」と言ってしまった
すると助手1は『お腹がすいているもので…』と返した
数年配達に出ているが、初めて見るタイプの助手1に驚き、反面笑いそうになったが、ぐっとこらえた。
今は仕事中だからと伝え、業務を遂行するよう促した
なんとかその現場を1時間ほどで終え、会社へ戻る道中で助手1に『最後の方はだいぶ慣れてきていたね』と伝えると、『体が慣れて覚えてきたようです』と助手1は誇らしげに言った
この仕事は、まだまだわからないことや発見が多いので飽きることがない
助手も十人十色で、いろんなタイプがいるのだと、つくづく思った一日であった
おわり