うんちさんがつけた評価
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別な作品でインターセクシャルのテーマを読んだ事があるのですが、それとは別な切り口で。全ては奇跡的な偶然が重なって巻き起こる、“普通”にまつわる物語。普通って何だろう。良くないと思いつつ、伝わりやすさで私はあえて“普通”という言葉を使います。“普通”になれない者の苦悩。女装したいけど言い出せない男子。同性を好きとは言ってないので性同一性障害と言うのは時期尚早な気がしてしまいますが。そんな男子がたまたま女装バーへピザの配達をしに行く。そこでの出会いが彼を変える。一方で生まれつき女性らしい肉体を持つインターセクシャルの彼。ダブル主人公の型。インターセクシャルとしての肉体は呪いの体現のようで、母を望む彼にとっては否定もできずに共存していくものでしかなく、ただ中身は極めて“男性”で、付き合っていた彼女とも徐々に齟齬が大きくなっていく。この本の良いところは登場人物であるダブル主人公同士がくっ付かないところ。恋愛沙汰にしない事で、BLになる事もなく(笑)、個人間の恋愛事情として矮小化されなかった点が良い。(閉じる)
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