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DTMer、小岩井ことりさんの勢いが止まらない!スクスト2で作詞・作曲・編曲・振付・録音・歌、モーションキャプチャーまで本人が実現!?

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マニアックすぎるDTMユーザーとして知られる声優小岩井ことり(@koiwai_kotori)さん。機材やプラグインの話を始めると、もう誰もついていけないほどディープな世界へと行ってしまう小岩井さんですが、MIDI検定2級、さらには超難関のMIDI検定1級まで取得していることはDTMステーションの記事でも紹介した通り。さらにMIDI検定指導者の資格まで取得していたようなんですよね。

4月には作詞・作曲する作家としてのメジャーデビューを果たした小岩井さんの活動は、さらに広がり、10月9日、また新たな作品がリリースされました。今回担当したのはスマートフォン向けソーシャルゲーム、『スクールガールストライカーズ2』(スクウェア・エニックス配信)で、小岩井さんが演じるキャラクター、フェイ・リーのキャラクターソング「まじかる・(てん)ぷてーしょん」。今回は作詞・作曲に留まらず、Cubase Pro 9.5を用いての編曲、さらにはボーカルレコーディングも本人がオペレーション。そしてキャラクターの振り付けから、実際のダンスまで小岩井さんが行っているのです。先日、スクウェア・エニックスで行われたモーションキャプチャーの現場を見学させてもらうとともに、インタビューも行ったので、紹介してみましょう。

作詞・作曲・編曲・歌唱・録音の上、振り付けからモーションキャプチャーで自分でこなす小岩井ことりさん

『スクールガールストライカーズ2』について、またそのキャラクターであるフェイ・リーについてご存知ない方もいるとは思いますが、まずは発表されたばかりのキャラクターソング、「まじかる・(てん)ぷてーしょん」の楽曲がYouTubeで公開されているので、ご覧になってみてください。

そう、これが小岩井さんが作った作品であり、ゲームの中の特典映像としても出てくるもの。2014年にスタートしたスクールガールストライカーズは、500万ダウンロードを超える人気ゲームで、2018年5月にスクールストライカイーズ2へとバージョンアップしたもの。小岩井さん演じるフェイ・リーも、初登場から3年以上が経過しているそうですが、そのフェイ・リーの誕生日である10月9日に、この曲が公開された形です。

モーションキャプチャー終了後、小岩井ことりさんにインタビューしてみた

実際どんな経緯で、この曲を作ることになったのか、どのように作っていったのかなど、小岩井さんにお話しを聞いてみました。

--今日は、はじめてモーションキャプチャーをする現場を見学させてもらいました。まったくの門外漢なので、そのシステムのすごさに驚きましたが、そこで特殊スーツを着て、自分の振り付けで堂々と踊っちゃう小岩井さんにはもっと驚かされました。
小岩井:やぁ、ほんとにすごいスタジオでしたよね。あの黒と赤のスーツには心をくすぐられますね!自分の動きがリアルタイムにフェイちゃんの動きとして反映されるのはスゴイと思いました!

『スクールガールストライカーズ2』に登場するキャラクター、フェイ・リー (C) 2014-2018 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

--改めて、今回どういう経緯で曲を作ることになったのか、教えていただけますか?
小岩井:以前、ゲームボイスの収録時にフェイちゃんが隊長(※注 プレイヤーのことを隊長と呼ぶ設定になっている)に歌を送る、というシーンがあったんです。そこに「まじかる・(てん)ぷてーしょん! キミの言葉に いつか 振り向ける 私でいたくて~♪」というセリフにアドリブでメロディを付けて歌ってみたんです。その時、『この歌にオケが付いて曲になったら面白いですよね』ってプロデューサーさんと雑談をしていたのがキッカケでした。プロデューサーさんは半分冗談だと思っていたようですけどね。その後、「よし、やってみよう!」ってすぐに作り始めてみたんです。フェイちゃんが一番輝ける歌を作ろう、ってCubaseでデモを作ってみました。次に現場に行ったときに「フェイちゃんの曲を作ってみたんですよ!」ってプロデューサーさんに言ったら、キョトンとされちゃって……。でも、実際に携帯を渡して曲を聴いてもらったところ、とっても驚かれたのと同時に、気に入ってもらえたようではあったのですが……。その後、しばらく連絡がなかったんで、やっぱりダメだったのかな……って。

ゲーム内に登場するセリフ=歌詞を元にメロディーをつけていった(C) 2014-2018 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

--小岩井さんのことだから、きっとかなり完成度の高いデモだったんじゃないですか?声優さんからそんなすごい曲が上がってきたら、スタッフさんも戸惑ってしまうかもしませんよね(笑)。
小岩井:2か月くらい経ってからですかね、事務所から連絡が来て「スクエニさんから、あの曲、使ってみたいって連絡が来たよ」って。作詞、作曲、編曲、歌唱、録音まではデモである程度やってましたけど、フェイちゃんの振り付け、さらにはモーションキャプチャーなんて話まで……。そんなのってスクスト史上初ですよね!? これはもう祭りだな、って(笑)。どんどん話が膨らんでいって……新しいことに挑戦できるのは好きで楽しいです!ワクワクが止まりませんでした!

モーションキャプチャー用のスーツを着て、自らの振り付けで踊る小岩井さん

--かなりムチャ振りな気もしますが、それを実際にやってしまう小岩井さんもスゴイですよね。振り付けやモーションキャプチャーなどの話は、メイキングビデオにも詳しくあるので、そちらを見てもらうのがよさそうですが、見学していても、あの動きには感激しました。
小岩井:モーションキャプチャーを実際にやってみて、フェイちゃんとのシンクロは感じました。キャラクタがどういう動きをするかを、正面に映し出されているのを見ながら、私がやっている動きがフェイちゃんの動きになるんだな、というのは感動でした。今まで声でフェイちゃんの表情や動きをお伝えさせていただく仕事でしたが、なんか本当にフェイちゃんと私が同じ体に入ったみたいな不思議な感覚、不思議な体験でした。

--とっても楽しそうにやってましたもんね。さて、ここからDTMステーション的に、もっと音楽制作に関する突っ込んだ話を聞いていきたいのですが、デモの段階からきっとCubaseで作っていたんですよね?
小岩井:そうですね、最初のデモを作ったのは1年半くらい前だったと思うので、Cubase Pro 9で作ったんだと思います。最終的にはCubase Pro 9.5ですけどね。普段だと、どういう曲にしようかな…ってAメロから作っていくことも多いのですが、今回はフェイちゃんのセリフが最初にあったので、そこをラストにしAメロ、Bメロを作ってくのは私にとっては新しい経験でした。パズルの組み合わせみたいに作っていったので、ちょっと難しかったですね。フェイちゃんが一番輝ける歌ってどういうのかな、フェイちゃんの自信溢れる可愛らしさをどう表現したらいいんだろう…って作っていったんですよ。ドラとか琴とか、ちょっとアジアンな楽器を入れてみるといった工夫もしました。

モーションキャプチャー本番前に、フェイ・リー風な衣装で踊って自らテンションを上げる小岩井さん

--デモの段階は自宅で作業していたんだと思いますが、プロデューサーさんから実際のお仕事として、録音まで自分で行うことになって、レコーディングスタジオを使ったりしたんですか?
小岩井:本番のテイクも家で収録しました(笑)。とくに防音工事をしているわけではないのですが、多少大きい声を出しても大丈夫な構造の部屋なんですよ!いつも通り、NeumannのU87AiとUniversal AudioのApollo Twin USBを使い、自分で組んだパソコンでレコーディングしました。デモの段階でほぼほぼ出来上がっていたので、今と大きくは変わってないんですよ。プロジェクトのほとんどはHALionの音源を使ったシンプルな構成で、生楽器は入れてないので、そこまで複雑ではないと思います。いつものドラム音色とベース、さらにシンセにアルペジエーターをかませていますが、基本的にCubaseだけでできることですね。

ボーカルも自宅のDTM環境においてNeumann U87Aiでレコーディング

--もしかしてHALionもCubase付属のHALion Sonic SE 3だったりするんですか?
小岩井:あ、それはHALion Sonic SEではなく、HALionですね。今はHALion 5を使用しています。でも、唯一、ドラだけは別の音源を使ってます。EastWestのQL RAです。いつもだと、SE音などを盛り盛りに入れたりするんですが、今回はあんまり入れてないんですよ。リバースシンバルを少し使いましたが、これなんかはCubase付属のサンプル音をメディアベイから引っ張ってきたものなんです。

音源は主にHALion 5によるCubaseでの打ち込み

--ボーカルはApollo Twin USBを使っているとのことでしたが、UAD-2のマイクプリのプラグインとかは使いましたか?
小岩井:今回メインのボーカルのほか下ハモ、コーラス、それに「ヘイ!ヘイ!」とかの掛け声なども録っているのですが、マイクプリはApollo Twin USBのUnisonテクノロジーを使って、APIのチャンネルストリップを通しています。

レコーディングに用いたUniversal AudioのApollo Twin USB

--なるほど、小岩井さん的には比較的シンプルな感じですね。そういえば、その後のミックスはどのようにしているんですか?
小岩井:今回、私は編曲、録音とラフミックスまでで、実際のミックスダウン、マスタリングはエンジニアさんにお願いしているんですよ。

小岩井さんの動きがリアルタイムにキャラクタの動きへと反映される

--おお、確かに「作詞、フェイ」、「作曲、フェイ」、「編曲、フェイ」……って言ってましたが、「ミックス、フェイ」、「マスタリング、フェイ」っていうのはなかったですね(笑)。
小岩井:そう、ミックスはフェイじゃないんです(笑)。私、EQ的な耳は悪くないと思うんですが、PANがあまり得意ではないので、そこはお任せしました。とくに音の広がりとかがまだまだ難しくて…。エンジニアさんには、アルペジエーターでピコピコする音とかをうまく左右に振ってもらうなどアクションをつけてもらっています。ただ、そんなに大きく変更していただいたわけではないので、キレイにブラッシュアップしてもらった、という感じですね。ただ、受け渡しで1つトラブルもありました。

インタビュー中、ミックスとマスタリングはエンジニアさんに依頼したと話す小岩井さん

--どんなトラブルだったんですか?
小岩井:いつもお願いをしているエンジニアさんなので、当然そのまま再生できるだろうと、Cubaseのプロジェクトをそのままデータで送ったんですが、うまく再生できなかったんです。その原因がQL RA。これをエンジニアさん側で持ってなかったんです。その問題に気づいて、そこだけこちらでオーディオトラック化した上で渡した結果、うまく解決したんですけどね。最後は、少しドタバタになっちゃいましたが、とっても楽しく曲作りから振り付け、モーションキャプチャーまで体験することができ、本当にいい経験ができました。今後は、この曲でライブなんかできたらいいなぁ、なんて話を妄想しているんですけどね(笑)。

--小岩井さんなら、きっとそんなことも実現しちゃいそうですね。声優としての活躍はもちろん、作家としてのこれからの活動も楽しみにしています。ありがとうございました。

10月16日、小岩井ことりさんをゲストに、DTMステーションPlus!の生放送を行います。スクスト2の話にも触れつつ、DTM専用PCに関して、小岩井さんとともに、思い切り掘り下げていく予定です。ぜひ、ご覧ください。

第116回 DTMステーションPlus!

10月16日 20:30~22:30
特集「IntelのOptane Memoryで爆速環境のDTMライフ!
【ニコ生】http://live.nicovideo.jp/gate/lv316019395
【FreshLive】https://freshlive.tv/dtmstationplus/239936

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コメント

  1. ・・・ より:

    空恐ろしいばかりのマルチタレントっぷりですね。
    声優さんで歌は当然、猛烈に抜群ですし、作詞もカワイイというか鋭い太刀筋で驚愕します。
    作曲も、なにこれ凄いじゃんという感じです。
    編曲も、ほんとうに手馴れていますね。
    あえて言えば…けなすつもりは毛頭ありませんが、編曲は、その道だけを10年とやっている方々がたくさんいるので、共作にするか原案出して差し替えるみたいにすれば、「傑作が、量産」出来るのではないか、と思いました。
    異才です。鬼才です。近い将来、今現在の10倍とか以上に有名になり成功できる逸材の方だと思います。DTMステーションは先駆け情報の宝庫で、いつも大感謝しています。小岩井ことりさんは、注目していきたいです♪

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