1881年にフィンランド南部のイッタラ村でガラス工場として創業した「イッタラ」は、モダニズムや機能主義が隆盛を誇った1930 年代から 40年代にかけて国際的な知名度を上げ、デザイン界における確固たる地位を築いてきた。

そして、ヤンニ・ヴェプサライネンを新クリエイティブ・ディレクターに迎えた今、デザインに対してこれまで異なるアプローチを切り拓く。新生「イッタラ」では、未来を大胆に見据えると同時に、クラフツマンシップにさらに力を注ぎ、ガラスづくりのパイオニアとしての伝統を大事に守り続けていくために、ガラス工場とその職人たちをブランドのクリエイティブな中核を担う存在として尊重していく。

また、アーティストとのコラボレーションを積極的に進める。新しい取り組みのひとつとして、ロンドンを拠点に活動するサウンド＆ビジュアルアーティストのダムセル・エリシウムを起用。「イッタラ」の創造性に着想したエリシウムは、ヴェプサライネンやガラス職人たちとともにユニークなガラスの楽器やオブジェを制作。ブランドの伝統を取り込みながら自身の前衛的な世界観を表現したコラボレーションは、フィンランドのエスプラナーディ店のみで発売される。

ブランドのビジョンと価値観を表現するために「イッタラ」は、新たなロゴを導入する。デザインを手がけたのは、グラフィックデザイナーのアレクシ・タンミだ。さらに、タンミはタイポグラファーのヨーラン・セーデルストロムと新たなフォントも制作。アイノ・アアルトと「イッタラ」で長い歴史をもつ"アイノ・アアルトシリーズ"に敬意を表したフォント"Aino"が誕生した。

ふたつの「T」を組み合わせたロゴの文字は、イッタラの過去の歴史的なルーツを表す。また、創業年である「1881」の数字を組み入れることでブランドの豊かな歴史とガラスのものづくりの伝統に敬意を示した。

ブランドのカラーには"ファイアーイエロー"を採用。「イッタラ」のクリエイティビティの源である、窯で溶融するガラスの鮮やかな色をイメージした。

140年以上に及ぶ歴史の中で、その時々の時代背景やブランドの状況、デザインの方向性、文化的な影響などを反映してきた「イッタラ」のエンブレムやロゴ。1956年にティモ・サルパネヴァが"i-ライン コレクション"の箱のためにデザインした赤い(i)マークは、ブランドを象徴するロゴとなった。

新しいロゴは過去の「イッタラ」のロゴ、特に1892 年のロゴ（写真上段左から2番目）からインスピレーションを得ている。なお、これまで商品につけられてきた(i)ロゴのシールは、地球環境に配慮し、今後は廃止されていく予定だ。

新しいクリエイティブ・ディレクションのもと、デザインされた最初のコレクション、"イッタラ プレイ"が2024年3月以降に発売される。日常生活におけるデザインとのつきあい方を改めて定義し、創造性とユーザーのライフスタイルに寄り添うという姿勢を示す新コレクションには磁器のテーブルウェアやガラスのアイテム、テキスタイルのほか、キャンドルも仲間入りする予定だ。

「"イッタラ プレイ"のアイテムは、みんなで共有し、愛用できるような多機能なアイテムとして開発されました」とヴェスプライネンは語る。

＜写真＞プレイ デコレーティブボウル 50mm ￥22,000

＜写真＞プレイテーブルクロス 135x250cm ミント・ライラック ￥33,000