ユニクロ 無印‥‥日本企業12社が中国でウイグル人を強制労働させていた、ヒューマンライツ・ナウが報告

新疆ウイグル自治区の区都ウルムチにあるウルムチ南駅。記事とは関係ありません(写真AC)

「中国に工場をもつグローバル企業83社が、新疆ウイグル自治区に住むウイグル人を強制労働させている。このうち日本企業はユニクロ(ファーストリテイリング)や無印良品(良品計画)などの12社」。この事実を、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウがオンラインイベントで報告した。中国政府が民族同化を目的に運営するウイグル人強制収容所は2017~19年の3年で、収容者300万人(国内に住むウイグル人の約30%)のうち約8万人を収容所から工場へ移送したといわれる。

新疆綿の栽培で強制労働か

少なくともグローバル企業83社のサプライチェーン(供給網)に、ウイグル人の強制労働がかかわっていると判明したのは、2020年3月のことだ。オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が「ウイグル人が売りに出ている」という内容の報告書を発表した。

ASPIが報告書に載せたグローバル企業83社は、アディダス、ナイキ、ギャップ、トミーヒルフィガー、BMW、ゼネラルモーターズ(GM)、メルセデス・ベンツ、マイクロソフト、アマゾン、グーグル、アップルなど。

日本企業は、日立製作所、ジャパンディスプレイ、三菱電機、ミツミ電機、任天堂、パナソニック、ソニー、TDK、東芝、ファーストリテイリング、シャープの11社だ。

この11社に加わりそうな企業が良品計画。同社は、男性向けのオックスフォードシャツの素材として、新疆ウイグル自治区で採れた「新疆綿」を使っていることを、2020年初めまでウェブ広告に記載していた。「上質な手摘みの新疆綿」をセールスポイントとし、「生産地を隠すつもりはない」と主張したという。

同じ時期にファーストリテイリングも、新疆綿の使用を公表した。男性用の長袖シャツの商品説明(ウェブ広告)に「高品質なことで有名な新疆綿で作った」との文言が入っている。 

無印良品やユニクロが使う新疆綿の需要は高い。世界の綿花生産を調査するジャーニガン・グローバルによると、世界市場で約20%を占める中国綿の84%が新疆綿。綿花栽培が自治区の主要産業であることから、ヒューマンライツ・ナウは、新疆綿の栽培現場でもウイグル人の強制労働がある可能性が高いと指摘する。

そこでNPO法人日本ウイグル協会は、ウイグル人への人権侵害の状況を調べ始めた。ASPIの報告書にあがった日本企業11社に対して、同協会は「ウイグル人の強制労働についての見解」や「サプライヤーの選定方法」などを問う5項目の質問状を作成。4月30日付で送付した。7月までに、パナソニック以外の10社からメールや書面で回答があった。

ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子事務局長は「TDKやソニー、日立製作所は、ウイグル人の強制労働に一切言及しなかった。他の企業も、新疆ウイグル自治区で製品を生産されているかという質問には答えず、自分たちの人権方針や行動規範について書いているだけ。説明責任を果たしていないので、強制労働の有無は限りなくグレーに近い状態」と明かす。

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