Googleには「Googley」という言葉がある。クリエイティブで、仕事熱心、そしてモラルの高い人を指す。先日発表になった「Google 急上昇ワード」を担当する新卒プロジェクトマネージャーの“Googleyな仕事術”とは――。
4月15日にグーグルが発表した、iGoogle用ガジェット「Google 急上昇ワード」。直近20分以内に検索数が増えた検索キーワードを一覧表示するというものだ。ありそうでなかったこのガジェットを使うと、「今、何が話題になっていて、何が流行っているのか、また世の中の人々が何を知りたがっているのか、を瞬時に垣間見ることができる」(グーグル)という。
米Googleではなく、日本のグーグルから生まれたGoogle 急上昇ワードだが、担当したのは弱冠25歳、入社2年目のプロジェクトマネージャー・倉岡寛さんだ。新卒入社の1年目のころから温め続けたプロジェクトをなし遂げた、新人プロジェクトマネージメントの秘密に迫る。
渋谷にあるグーグルのオフィスの入口。左上に、Googleで検索されたキーワードを随時映している。いわゆる「サーチストリーム」だ。このサーチストリームに感動したことから、倉岡さんは「急上昇ワード」のインスピレーションを得たという。
「“気付き”の部分をさっと見せてくれるのも検索エンジンの役目」。であれば、ただ検索されたキーワードを流しているだけでは面白くない。「今現在、何が流行っているのか」ということを考えると、検索数が増えているダイナミックなキーワードを「急上昇ワード」として抽出することにした。
一見シンプルに思えるが、開発期間は2007年8月からおよそ8カ月かかった。キーワードをそのまま流すサーチストリームと異なり、急上昇ワードは検索数に応じたランキングを表示する必要がある。しかも「ポイントは今この瞬間」だと考えていた。「昨日の分でも面白いですが、この瞬間のランキングが見たかったんです」。こうして、更新頻度は20分以内になったのだ。
サーチストリームよりシステム負荷が高いのに、更新は20分以内。技術的な問題や、スケジュールなどの問題で、倉岡さんはプロジェクトマネージャー(PM)として、各部署に頭を下げる日が続いた。基本的には日本で開発したが、米マウンテンビュー(Google本社の所在地)とのビデオ会議や、場合によっては現地に飛んだりもした。「(マウンテンビューには)3カ月ぐらい滞在しました」という。
すべてが順調に進んだわけではない。時には衝突も起きる。PMとしてプロジェクトを管理していてもエンジニアは部下ではないのだ。「(エンジニアとは)対等。年上のエンジニアから『倉岡は腹芸ができない』と怒られたこともありました」という。細かいところが気になるタイプだ。エンジニアやデザイナーの仕事にも口出ししがちだった。例えば、画像の位置を1ピクセル動かすかどうかをめぐってデザイナーと口論にしたこともあった。「ガチンコでしたね」。一生懸命と解釈すれば良いようにも聞こえるが、自分の感覚にとらわれ“視野狭窄”状態に陥っていたのである。
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