14日午後5時10分ごろ、東京都千代田区霞が関1の経済産業省前の路上で、「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)が有権者と写真撮影中にナタのような刃物を持った男に襲われた。東京消防庁によると、救急車で病院に搬送された。左耳付近から出血したとみられるが、意識はある。現場では「財務省解体デモ」が行われ、多くの人が詰めかけていた。
警視庁丸の内署が殺人未遂の疑いで、男を現行犯逮捕し、動機などを調べている。警視庁は14日夜、男は宮西詩音容疑者(30)と発表した。本人は東京都杉並区に住み、無職と話しているという。「殺すつもりでナタを振り下ろした」「他の議員を自殺に追い込むような奴なのでやった」と供述し、容疑を認めている。
立花氏は午後7時にX(旧ツイッター)に「傷は6センチ深さ1センチ 全治1ヶ月」と投稿。その10分ほど前には「どくたーに頭皮と耳を 縫ってもらいました。首は軽傷!ナタのあたりどころ悪ければ、死んでた!」とも投稿した。
◆目撃「男がナタを両手で振り下ろして」
ピュリリリ—。けたたましい音が響いたのは、立花氏が支援者と記念撮影をして「NHKをぶっ壊ーす!」と笑顔を見せたすぐ後だった。
緑色の服を着た男が両手で何かを持ち、手を振り上げて立花氏に襲いかかっていた。立花氏は身を縮めて後ずさりした。
男はすぐに近くにいた男性2人に取り押さえられ、抵抗もせずに視線を落とし静かに立っていた。その8分後に警察官が連行していった。取り押さえた男性の1人は軽傷を負ったという。
男はすぐに近くにいた男性2人に取り押さえられ、抵抗もせずに視線を落とし静かに立っていた。その8分後に警察官が連行していった。取り押さえた男性の1人は軽傷を負ったという。
東京新聞の記者の1人は、その一部始終を目撃していた。
立花氏は左耳にけがをした様子で、耳を布で押さえながらマイクを握った。
「暴行というか殺人未遂だと思います。非常に悔しいのですが、病院に行った方がいいと思いますので、すいません。救急車呼んでくれていますよね」「こういう暴力はどうかと思いますが」「この状態でみなさんがしゃべるのも怖いっていうのもありますから」。演説は5分ほどで早々に切り上げた。
「ぶっ壊ーす!」と言っていた当初の笑顔は消えていた。「命懸けで政治ってしないといけない」と話す声は、震えているように聞こえた。
別の目撃した女性は「防犯ブザーのようなものが鳴り響いた。なにごとかと思って見たら、男がナタを両手で振り下ろして、立花さんを襲おうとしていた」と語った。若い男は身長が170センチ前後で、落ちていたナタは長さ30センチぐらいだったという。警視庁が押収したナタは刃渡り16センチだった。
女性は、若い男が「やっちゃった」と話していたのを聞いていた。「何か失敗しちゃったみたいな雰囲気の言葉だった」という。
別の記者が現場に到着したとき、立花氏は左耳を押さえ、救急隊員とともに救急車に乗り込むところだった。意識はあり、しっかりと隊員に応対していた。
16日投開票の千葉県知事選に出馬している立花氏の陣営は事前に、財務省前で行われていた「財務省解体デモ」に選挙カーで「参戦する」と予告。立花氏は13日に公開したYouTubeの動画で「財務省、どちらかというと擁護派なんですけど、ただ好きとか嫌いとかではなく、デモ活動をテレビが報道しないのが問題だと思っている」などと語っていた。
現場には、同じく千葉県知事選に立候補している黒川敦彦氏(46)の姿もあり、「セキュリティを上げてね。今後も起こるし、誰か人が死ぬ気がするわ」と拡声器を使って、N党の関係者に呼びかけていた。
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