挙式まで3日しかないのに…結婚式場会社が突然の事業停止「許せない、大事な人が集まってくれるのに」
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元社長逮捕の際、プランナーは「何の問題もありません」
福岡県と佐賀県で結婚式場を運営するアルカディア(本社・福岡県久留米市)が事業を停止し、破産手続きを申請することが明らかになった。同社では元社長らが新型コロナウイルス対策の国の助成金を不正受給したとして逮捕されており、突然の経営破綻の知らせに挙式を予定していた契約者からは戸惑いの声が上がっている。
「もう3日しかない。こんなこと許せない」
山口県宇部市の会社員男性(31)は3月1日に北九州市小倉北区にある同社運営の式場で挙式を予定していた。親族や知人約40人を招待していたが、同社から25日午後10時半頃に電話で式の中止を告げられ、「信じられなかった」と憤る。
10万円の前金を払い、妻(31)が着るドレスや当日の料理を10回以上通って選んだ。元社長らが逮捕されてすぐに影響がないか尋ねた際、プランナーから「挙式には何の問題もありません」と伝えられたという。
26日は2人で近辺の会食会場やドレスを借りる店を探したといい、「大事な人たちが集まってくれるので、日程は変更できない。今は妻にとって何とか良い式にしたいとしか考えられない」と語った。
アルカディアの結婚式場で約1か月後に挙式を予定していたという福岡市早良区の男性(30歳代)は「何の連絡もなく、ニュースを見て知った」と驚きを隠さない。26日夕に妻(同)と一緒に同市中央区の結婚式場相談所に訪れたといい、「切羽詰まっている。これから式場を探さないといけない」と語った。

同社は25日付でホームページに事業停止を公表するとともに、「本日以降の挙式・披露宴・宴会が全て実施できなくなりました」などとする現・代表取締役のコメントを掲載。同市・天神で運営していた結婚式場「QUANTIC」の出入り口には26日、アルカディアの代理人弁護士名義で、「経営状況が著しく悪化し、負債を弁済していくことが極めて困難な状況となりました」と書かれた紙が貼り出されていた。突然の事業停止に、近く挙式を予定している契約者は相当数に上るとみられる。
仲介1社だけで100組以上が予定

福岡県内で結婚式場相談所を展開するブラナビプラス(本社・福岡市)によると、同社の仲介分だけでも今後、100組以上がアルカディアの式場で挙式を予定していたという。ブラナビプラスの担当者は「準備も終わり、近日中に挙式の人もいて動揺が広がっている。予算や立地など条件面を考慮したうえで他の式場を順次紹介する」と話している。
アルカディア運営の式場がある地域の同業者が「来月の式でもご相談に応じます」とネット上で呼びかけるなど、救援の動きも出始めている。