山と小説

山が10倍楽しくなる読書案内

第21回このミス大賞受賞作は現実逃避に最適。『禁断領域 イックンジュッキの棲む森』でジャングル探検

 年度末は落ち着かない!そんな時こそ「妄想トリップ」

卒業式、進級に進学、卒団式。

自分自身にはなーんも関係ないおばちゃんでも、なんとなーく忙しない年度末。

そりゃあストレスもたまるってもんよ。

あああ、現実逃避したい!

アフリカ・コンゴで命をかける小説はいかが?

まとまった休みもとれないし、こんな時は小説で気分転換を図りたい。

いっそ、絶対に行かないような、アフリカのジャングルでサバイバルなんてどお?

『禁断領域 イックンジュッキの棲む森』あらすじ

 

舞台はアフリカ コンゴの密林

開発企業から依頼を受け、野生動物の調査に乗り出す大学教授と大学院生のチーム。

行き先はアフリカ・コンゴの密林。

まるでジャングルクルーズ!だけど、お土産はゲテモノ食材

密林に行くため、コンゴ川をクルーズするシーンがめっちゃ爽快。

ディズニーランドのジャングルクルーズを数倍ダイナミックで危険にした感じ。

美しい風景描写もいいんだけど、川でのショッピングの様子が楽しい!

大きなナマズ、うなぎのようなスネークヘッド、ワニや亀に猿まで…これ全部、食材

私だったらその場のノリでいろいろ買っちゃいそう。

そして買ったあと後悔しそう(笑)

※フリー素材

美味しそう…?な異国グルメ

異国情緒満載の食べ物描写は、ジャングルに入ってからも続く。

サル肉のシチューや、キャッサバ料理。

どれも味や匂いだけじゃなく、飲み込む感覚や後味まで書いてある。

読んでると、自分もその鍋を覗き込んで「これ、いけるかな…」ってビビってる感覚になる。

 

 

山のケモノ肉をブッシュミートというそうで、私も興味あり。

以前、山近くのお土産やさんで、「鹿肉のジャーキー」を買ったことがあって。

パッケージの注意書きに

「皮や毛が付いている部分もありますが、食味に問題ありません」

って書いてあったんだけど…。

問題ないの?! うそぉ、すげぇ。ワイルド!

とテンション上げて食べてたら、

硬い。

しかも味がない。

なんじゃこりゃ?とよく見ると、

「犬用」

って書いてあった。

…人間用にも作ってください。

読んでるだけで日焼けしそう(笑)体感度100%の小説

『禁断領域』は、サバイバルアクションに動物ドキュメンタリーが加わり、ハラハラドキドキだけでなく

「そうなんだ!」っていう学びの楽しさもある。

読書中は、密林の濃厚な蒸し暑さを感じ、強烈な日差しが作る濃い影が見えるようだった。

冷たいペットボトルを用意して、ジャングルの世界に浸ってみては。

 

 

 

この小説の主人公は、霊長類を調べる大学院生。サバイバル小説のあとに、実際のゴリラ研究本を読むと、学びがさらに深くなる!

yoko-tak.hatenablog.com

 

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春ハイクは単独登山が楽しい!天覧山と多峯主山で見つけた“春の便り”【飯能】

単独登山の楽しみ方・春の便り探し

1人で山道を歩いていると、ずっと足元を見ていて、

「景色をなんも見てなかったなー」なんてことも。話し相手がいないのは、やっぱり少し寂しい時もある。

でも梢の先に目を向けてみると、春の便りがたくさん届いていて、単独でも全然楽しい。f:id:yoko_tak:20250315063359j:image

飯能駅から歩いて行ける、アクセス抜群の天覧山多峯主山では、いままさに春の衣替えが始まっています。

柔らかい新芽が芽吹き、蕾が膨らみ、すっかり春モード。

今日はそんな、春の息吹をお届けします。

 

春の便りを探そう

コウヤボウキ

フワフワの産毛に包まれていて、おくるみに包まれてる赤ちゃんみたい。

可愛い!

山のあちこちに淡い黄緑色がぽつぽつと灯る感じがぼんぼりのようで、ワクワクします。

ウグイスカグラ

新芽とつぼみが同時に芽吹いてて、濃い緑の葉っぱとピンクの蕾のコントラストがとてもきれい。

ソロソロと蕾を開いていく様子に「頑張れ!」って応援したくなっちゃう。

アセビ(馬酔木)

馬が酔う木と書いて、アセビ

スズランのような可憐な花なのに、毒があるんだって。

庭木としてもよく見かけるけど、山で会えるとなお嬉しい。

コナラ?

ベンチから見上げた梢にも、新芽がちらほら。

たぶんコナラかミズナラだと思うんだけど…

こうやって「なんだろなぁ」って考えながら歩くのもまた楽しい。

今日1番きれいに撮れた写真は、下山後の写真…

下山したら梅が満開!

いい香りで今日の登山を終えることができて、大満足。

 

動物たちも目を覚ます季節

オタマジャクシ

めっちゃたくさんいる

ヤマアカガエルかなぁ。

元気いっぱいに泳いでました。

尾を振りながらウネウネと泳ぐ姿を見てると、いつも

「タマシイみたいな形だなぁ」って思うんだよね。

ハエ

さすがに写真は撮らなかったけど(笑)

登山道にポツンポツンと落ちているケモノの糞に群がってました。

「わ〜い、ハエだ!」とはならないけど、冬の間はこういうのがまったくなかったので、「ああ、春だなぁ」と実感する瞬間でもあります。

 

今週はPOCO-POCOのパンがお得!

どっちも美味しい!

天覧山の入口近くのパン屋さんPOCO-POCO。

ちょっと高級志向のパン屋さんだけど、おしゃれで美味しいパンがずらり。

今月で1周年だそうで、16日までキャンペーン中!

私はスコーンを1個買ったら、クロワッサンをおまけにひとつくれました。

やったー!

 

帰宅してからの楽しみ

登山中に撮った植物の写真を、帰宅してから

「これ、なんていう植物かな?」

って調べるのが、私のお気に入りの時間。

名前がわかると、またその山を歩くときに

「あの子がいる!」

みたいな、知り合いに会えたような気持ちになる。

 

私は『森の散歩図鑑』をよく眺めています。

精緻なイラストがたくさん載っていて、山に行けない日でも、ページをめくるだけで癒されます。

 

 

春の天覧山多峯主山は、小さな発見がいっぱいの宝探し登山でした。

友達がいないわけじゃなく、あえて単独という選択。

アリだと思います!

 

同じ山の山行記録はこちら。良かったらご覧ください。

yoko-tak.hatenablog.com

 

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山がもっと好きになる!動物たちの会話が分かる『動物たちは何をしゃべっているのか』

 

おしゃべりな鳥

春になると「ツツピーツツピー」とシジュウカラのさえずりが聞こえてくる。

彼らは、鳴き声のバリエーションが多く、

「別の鳥か?」

って思うほど。

近年の研究で、シジュウカラは特に言語が豊富で、なんと文脈で会話をしていることが明らかになったんだって!

すごくない?現代版聞き耳頭巾。

その研究者の著書が

『動物たちは何をしゃべっているのか』

カジュアルな対談本なんだけど、「人間とはなにか」を考えさせる奥深い1冊だった。

あらすじ

ゴリラ研究者とシジュウカラ研究者の対談。2種の生物の意外な共通点から、人間の進化の過程が見えてくる。

野生動物と仲良くなりたいという夢がある方におすすめ!

世界の見え方はそれぞれ違う

どういう風に世界を見ているかも、動物によって全然違う。

動物は人間にない能力をめちゃくちゃ持ってる。

例えば鳥は、紫外線や地磁気を感じ取れるそうだ。

なにそれ、めっちゃ便利。

景色と紫外線と地磁気とを同時に見ている世界ってどんなのだろう。

人間と同じ空間にいながら、鳥たちは全く違う世界を見ているんだね。

 

 

と、ここで思い至る。

それって人間どうしでもそうだな、と。

楽しく会話していると思っても、相手は苦痛を感じているかもしれなくて。

人間関係のトラブルは、こうした見え方の違いから生れるのかも。

 

群れの中で生きていく

ヒトは踊るために二足歩行を始めた

この説が、私はとても好き。

弱く脆い「ヒト」が生き延びるには、集団での共感が必要で、その手段がダンスだったという。

獲物を捕らえたあと、祖先たちがみんなで体を揺すり、手を挙げて踊る様子が脳裏に浮かぶ。

私はダンスが苦手で、友達の結婚式の余興でもできれば踊りたくない。
でも山で、キャンプファイヤーを囲んで手拍子して歌うなんて、素敵。

 

ハッと気づく。

私は集団に疲れ、逃げ出すために登山してるけど、結局は集団を求めてるのだ。

人間なんて霊長類だなんだって偉ぶってみても、群れでしか生きられない弱い生き物なんだよ。

仕方ない。愛想笑いしながら働くか。

と、山の壮大な景色の中、卑屈な気分になったりしてね。

山登りへのヒント

この本を読んでから山に行くと、野生動物の気配にいつもより敏感になる。

人間より目も鼻もいい動物たち。

私が気付く前に、藪の中の狸(推定)や梢のコガラ(推定)は私に気づいて見てるんだろうな。

シジュウカラは頭が良く、人間の個別も識別できるそう。

もしかして私を見て

「あ、あの私たちの鳴き声を聞いてめっちゃ探すけど、いつも見つけられない目の悪いニンゲンがまた来た」

とか思ってたりして。

今度は双眼鏡を持って行って探してみよう。

おわりに

『熊嵐』を読んでから野生動物にハマりまして、そんな本ばっかり読んでます。

ゴリラ博士・山極寿一さんと養老孟司先生の対談本もあったので、そちらも読み始めました。

こちらも面白くて付箋だらけ。

本で山で、次はどんな動物に会えるかな?

楽しみです。

 

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山では、ただのケモノでいたい

街中では強風でも、山に入るとそうでもない。

草木が防風林の役割をしている。

風は感じないが、風の音はすごい。

杉林の中「ごぉぉぉ」という音に仰ぎ見れば、枝がわっさわっさと生き物のように動いている。

上空に枯葉が舞う。

木の幹が擦れて「ぎぃぃぎぃぃ」という不気味な音を出している。

登山道脇の藪を見れば、そこだけ風の通り道があるのか、一枚の葉が「おいでおいで」をするように揺れている。

山全体が一つの巨大な生き物みたい。
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風の音を聞いてると、私はいつも旧約聖書の『カインとアベル』を思い出す。

カインはアベルを殺害した罪で、追放され村を去る。

安寧の土地を追われる道中で聞いた音は、きっとこんな物寂しい音だっただろう。

 

その寄る辺なさ、寂しさ、不安。

今の私の状況と被る。

 

 

こんな雰囲気がーーー

 

 

私は大好き!

下界での私は、母であり妻であり友であり社会人であり…まだまだいっぱい。

山の中では、リスやアナグマと同じ、ただの動物。

いったん全部脱ぎ捨てて、ただの哺乳類に戻れる場って、山の中だけだ。

 

役割を背負った中年どもよ。

書を捨てよ、山へ行こう。

 

 

『洞窟少年と犬のシロ』—たった一人で山暮らしを続けた13歳の少年の実話

 

 

あらすじ

中学生の一馬は家出し、足尾鉱山へ向かう。シロを相棒に、たった一人で山の中で生き抜いていく。

なんと実話。

驚愕ポイント

  • 過酷な山暮らし
    かたつむりを食べ、竹でベッドを作る。犬と一緒に狩猟をする。想像を超えたサバイバル生活に驚きの連続だった。
  • 父の影響が切ない
    酒乱で乱暴者の父親。でも、父から教わった狩猟や、解熱剤(材料はミミズ)が一馬を救う。大嫌いな父だが、その知識に生かされていることが皮肉で、切ない。父に少しでも、一馬への愛があったと思いたい。
  • シロが賢い
    空腹で動けない一馬のためにウサギを狩り、発熱時にはおでこに濡れ布をかける。パートナーを通り越してもはや保護者。もののけ姫の、サンと山犬みたい。そこだけは羨ましい。

おわりに

一馬少年は「自分の意思で」山での暮らしを続けた。

少年時代の彼にとって、人はそんなにも恐ろしいものだったのだろうか。

山に逃れた13歳の胸の内を思うと、悲しい。

 

一馬少年は43年間、山の中で暮らした。

彼の著書『洞窟オジサン』も読んでみたい。

 

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埼玉で珍しい雪の登山|日和田山と物見山の雪景色

埼玉で雪が降るのは珍しいですが、特に日和田山が雪に包まれるのは貴重な景色。

これは見に行くしかない!

 

登り始めはほとんど積もっていない。

まるで粉砂糖を振りかけたみたい

和田山の2の鳥居を越え、物見山に続く登山道へ入ると、雰囲気は一変。

木々には雪の花が咲いてた。

すかさず脳内に、中島美嘉の「雪の華」の音楽が流れる。

サビしか知らないのに自動でエンドレス再生される。

梢に積もった雪のかたまりが氷になって、パラパラと落ちてくる。続けざまに小枝もパキッと折れて落ちてきた。

それがけっこうな量で、

「あれ?降ってきたかな?」

って思うほど。

フードを被らないと、首筋に氷が入ってきて寒い思いをする。

 

登山道にツバキの花が落ちていた。

きっと雪のせい

物見山山頂の木に雪が積もり、大きな結晶みたい!

ランチはルピシアのウーロン茶とコンビニで買ったお菓子。

静寂を存分に味わえたランチタイムだった。

ただ、じっと座ってるとめちゃ寒い!

寒さに身を縮めているといつも思い出すのが、

新田次郎さんの『八甲田山死の彷徨』。これ、実話がもと。

嵐の雪山で遭難した兵士たちは、温かい飲み物も食べ物もなく、寒さにじっとしていられず足踏みしながら夜明けを待ったという。

日露戦争に向けた訓練だったそうだ。

戦争の犠牲者はここにもいた。

 

下山後、ふもとの神社では梅が満開。

 

八甲田山の事故をもとにした小説はこちらも

 

yoko-tak.hatenablog.com

八甲田山 死の彷徨』

 

 

昨夜もまた雪。

今日の日和田山もキレイだろうなぁ。

 

元気な日常と高尾山ハイキングと『よつばと!』16巻

 

 

あらすじ

よつばちゃんとーちゃんのほのぼのした日常。

なんと今回は高尾山の6号路へ!

私の推しキャラ、やんだも一緒で嬉しい。

今回もよつばちゃんの子どもらしさ、愛らしさ全開!

みどころ

繊細な背景描写

どんなガイドブックよりも詳細に高尾山6号路が分かる。

川の中の飛び石を越えながら急坂を登り、

「これが最後の難所…」と思わせといて、

そのあとさらに急峻な階段が続くのよね。

セリフではなく表情やしぐさで語る

階段を見上げるとーちゃんの表情に、思わず吹き出してしまった。
私もきっと、あんな顔をしてたと思う。

元気なよつばちゃんは、一瞬たりともじっとしていない。
その様子が子どもらしくてなんとも愛おしい。

もっといろんな山にも行ってほしいけど、
とーちゃんの疲れ具合を見ると、もう行かないかもなぁ。

おわりに

22年間、連載が続いている長寿漫画。

の4年ぶりの新刊。

全巻買っていたのだけど、新刊が出なさ過ぎて全部売っちゃったのよね。

久しぶりに読んだらやっぱ面白いわ。

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