4月23日、公正取引委員会(公取)が、独占禁止法の疑いで日本音楽著作権協会(JASRAC)を立ち入り検査したという衝撃的なニュースが流れた(関連リンク)。
JASRACについては、「著作権侵害を厳しく取り締まる組織」というイメージを持っている人もいるだろう。なぜ、JASRACは検査を受けたのか、ジャーナリストの津田大介氏に話を聞いた。
【解説】JASRAC
国内では最大規模の音楽著作権管理団体。作詞者、作曲者、音楽出版社から著作権の管理を委託され、楽曲が演奏/放送/録音/カラオケ/ネット配信などで使われた際に利用料を回収して、権利者に分配するという業務を行なっている。
定率で「かけ放題」になる包括契約
── 立ち入り検査を受けた原因は何でしょうか?
津田 今回問題になったのは、テレビ局などと結んでいる「包括契約」という契約形態です。
これは、JASRACが著作権を管理しているすべての曲の放送を一括して認めるというもので、実際に使用した回数とは関係なく、各放送局の事業収入の1.5%を徴収する内容です。つまり、放送局にとっては、定率料金を払うことでJASRACの管理楽曲が「かけ放題」になるということです。
放送局にとっては、JASRACの管理している曲を流していれば、包括契約で支払う以上のお金を払わなくていいわけです。逆にいうと、JASRAC以外の著作権管理事業者が管理している楽曲を放送でかけようとしたときに、追加でその業者に使用料を払わなければいけないことになります。
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