(以下の文章は、僕が、2004年の年末から2005年の1月にかけて、大学1回生のときに書いた、Frantz Fanon(フランツ・ファノン)の思想の変遷についてのレポートの内容です。) 「ファノンの思想が『ネグリチュード』から『全的人間』へと移行したこととベルベル問題との因果関係」 <テーマ設定の理由> 『革命の社会学』の序文の「植民地主義の死とは、被植民者の死であると同時に植民者の死である」(Fanon,1984,p.14)という言葉に、私は非常に感銘を受けた。この文章は、ファノンがさまざまな違いを乗り越えて、「人間」という視点に立っていることを示しているからである。独立戦争という異常事態のなかでは、ただ敵を打ち倒し独立を勝ち取ればいいと考えられがちであるが、ファノンはそうではなかった。ファノンは、敵であるコロンたちも植民地主義の犠牲者であるとし、解放闘争を通じて彼らも「人間」を取り戻さ
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