4月前半は日本に帰省していた。 中国方面から飛来するというPM2.5の影響で、霧深い英国かと見まがうほど白く煙った福岡の街はなんとも不気味だった。大気を舞う微小粒子物質のため、まったく遠くの山が見えない。晴れているのに空が青くない。というのは、灰色の空の国に住む人間からしても気色が悪い。免疫のない人間はてきめんにやられるのだろう。咳が止まらない&偏頭痛で体調が悪いので早く英国に帰りたかったというのは今回が初めてだ。 近所のてんぷら屋で飲んでいて反中思想のおっさんに絡まれた時にも、歴史やモラル、マナーといったようなことを云々と並べておられたが、ほんなことを延々と愚図るより、今の福岡なら「中国はPM2.5を飛来させやがるので嫌いだ」と言ったほうがよっぽど切実である。 「いやー、けど日本だって高度成長期にはいろいろ飛ばしてたんだろうし」 と言うと、酔ったおっさんは言った。 「いや、日本の場合は風
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