軍事スパイと言えば、多くの人が容姿端麗なイケメンか、もしくはアニメ『ルパン三世』の峰不二子のような、才気あふれる美女を思い浮かべるだろうか。 華麗な社交術で人をリードし惹きつける、魅力的な紳士淑女だ。 ジェームス・ボンドで知られる映画007(ダブルオーセブン)ではまさにそんな世界が繰り広げられるが、しかしそんなイメージはもちろん虚構でしかない。 隠密に活動しなければならない存在なのに、華やかに目立ってしまっては仕事にならないのだから当然だろう。 無能な凡人を装い、敵から警戒すらされない存在になることが求められる。 それでいて洞察力、敵味方を見分ける嗅覚、恐怖を克服する胆力など、あらゆる能力に秀でていなければならない。 超人的に優秀でありながら、虚栄心を抑え込む心の強さが必要ということである。 そしてそんな凄いスパイが、日露戦争(1904-1905年)の時の日本にもいた。明石元二郎という。
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