前編がメインカプ、後編がスピンオフカプの話という作りで、どちらもタイトルの『片思い』にかけているという作りでした。先生の作品はどれも評価が高く、何冊か持っていますが、集めた後に評判を知りまして…【BL小説チャート】で見たら、ただ一人、グラフ
の「切ない」の枠外に名前がありました。つまり振り切れた切なさのある作品が多そうなので、軽めなものからトライしています。そういう意味では『Don’t Worry Mama 』シリーズよりも軽かったと思います。
前編の主役=吉本は、良く言えば複雑、悪く言えば面倒くさい性格で、プライドが高いにも程があるよなーと思いました。で、そういう人って罠を張っても失敗する事が多いよねと思っていたら、案の定…巨大なブーメランを喰らって瀕死の重傷を負ってしまいます。それだけでもアイタタ…なのに更に追い討ちをかける仕打ちがあって、流石に吉本が可哀想になりました。その辺の心理描写は流石で、心の痛みや羞恥がよく伝わってきました。
後編は親友の門脇の話です。「人を好きになった事がないから恋愛が分からない」「今のこの気持ちが何なのか分からない」と真面目に言う様子は、吉本と違った面倒くささや複雑さがある気がしました。そんな門脇が、「親兄弟や友人など親しい人のために死ぬのは、親しい人達のため。でも松下のために死ぬのは、自分のためだ」と言うセリフには感動しました。それこそが本当の恋愛だよ!!と本人と読者に知らしめたと思うし、言葉のセンスというかチョイスが素晴らしいと思いました。
同じ『片思い』でも前編は明るめで楽しく、後編は真面目でしみじみとした雰囲気でした。切なすぎるのが苦手な人も楽しめる作品だと思います。
もっとみる▼