忍法帖シリーズは映画化しても劇画化しても、如何にしても原作の想像力に及ばない。ならば明治物はどうだろう、という発想はとても良いと思うのです。それで期待が大きくなり、評価が難しくなってしまいました。
甲賀忍法帳帖のような初期作品は別格と
して、風太郎氏の小説は忍法帖より明治物の方が好きです。彼の思想、悲哀、静かな怒り、歳を重ねて描く諦観など、エンターテイメントとして成立した作品の中にしっかりと織り込まれており、非常に読み応えがあります。実在の人物と虚構を交叉させるリアリティ、語り口の淀みなさは玄人芸。
と、考えてみると、明治物のコミカライズが困難なのは忍法帖と同じなのですね。コミックを読む前に冷静になればよかった。
HOW(形式)を描くコミック、WHY(内心)を書く原作。
歴史や風俗をアレンジする原作、創作された粗筋をなぞるコミック。
人物が明るくて軽いコミック、手枷足枷の重い原作。
懐かしいから最終巻まで買います。
出征シーンをどう描くか、省略するか、ちょっと気になります。
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