国際テロ組織アルカイダを率いたウサマ・ビンラディン容疑者(54)を、ブッシュ前米大統領は「世界で最も危険なテロリスト」と呼んだ。米国が敵視すればするほどイスラム急進・過激派の間ではカリスマ性を高めた。世界にはイスラム教徒に限らず、無差別テロを憎んでも「反米」という一点で共鳴した人も少なくなかったのではないだろうか。【春日孝之】 1991年の冷戦崩壊後、米国が単独主義的な傾向を強めるのと軌を一にして、ビンラディン容疑者は「反米闘争の英雄」になった。その存在は世界での米国に対する反発や憎悪を映す鏡であり、「民主主義」や「人権外交」を掲げつつ強引な世界戦略を推し進めた米国の「もう一つの顔」をも投影していた。 同容疑者は元は反米ではなく、むしろ米国の側にいた。79年のソ連のアフガニスタン侵攻に伴い、ムジャヒディン(イスラム聖戦士)を助けるアラブ義勇兵として参戦する。ゲリラ勢力を支援したのが米国だっ