技術屋は数字に強い、といわれている。たしかに数字アレルギーで電卓もさわれないような人は、技術的な設計作業には向かないだろう。技術で扱う数字は、仕様や長さや物性に関わるもので、kgだとかcmだとかいった物理単位系で測られる。わたし自身は(正直に言うと)けっこう粗忽な人間で、ときどき計算間違いもするが、さすがに数字が苦手だと思ったことはない。 しかしある意味で、「技術屋は数字に弱い」とも言える。少なくとも、数字に追われ、数字を見ながら生きている。こちらの『数字』は、コストに関する数字であり、単位は円やcentで測られる。物理単位系の数字は指先で自在にさばくエンジニアが、通貨単位の数字には頭を下げねばならない。通貨単位の数字は経営者の武器であり、その番人は財務や会計のプロ達だ。 通貨単位の数字は、判断に使われる。いや、物理単位系の数字だって判断には使うのだが、それは技術的な判断である。そのサイズ
