selection & text by Miyuki Katori main photograph by Yosuke Owashi 口に含んだ時に、身体にすーっと染み入るような飲み心地のワインがあります。一杯飲むと、すぐに次の一杯が飲みたくなる……。いつのまにかボトルが空になってしまいそうなちょっと危険なワインですね。 そのワインは、札幌郊外にあるさっぽろ藤野ワイナリーでつくられました。手作業で丁寧にきれいなブドウだけを選び出し、その後、房ごと優しく搾って得た果汁を発酵。実は、このワインは発酵の時に、培養した酵母を加えていません。自然に果汁が発酵し、湧き起こるのを待っているのです。さらに全体を通して、酸化防止材である亜硫酸の量を可能な範囲で減らしています。飲み心地の優しさは、こうしたつくりによるところもあるのではないでしょうか。 醸造責任者の浦本忠幸さんはこう話します。「このワインに使っ
