日本時間今朝未明に行われたトランプ・石破初会談は、表面的には円滑に進み、日米関係の強化が演出された。懸念された大失態もなかったという点では成功裏に終わったのだが、それは同時に、事前に裏方が上手にトランプ米大統領をpleaseしておいたということで、常識的に考えても、裏で満足したトランプ大統領の条件が大きな課題であることは明らかであろう。 表面的な成功の要因 表面的な成功に見える要因について、簡単にまとめておこう。まず、貿易摩擦や防衛費増額の圧力が表立っていないからである。トランプ大統領は会談で「日本は米国の最良のパートナーの一つ」と評価し、貿易摩擦や防衛費負担の増額要求をこの場では直接的には突きつけなかった。これにより、日本側は「米国との関係を安定させた」と見せることができ、日米関係が順調であるとの印象を国内外に与えたが、その部分ではトランプ大統領の交渉を要すことはなかったということである
2024年12月27日10:00 カテゴリ中国関連外交 明白に変わった日中関係 日中関係はドラスティックに変わりつつあると思います。これについてさほど賛否の議論が目立たないのも不思議なのですが、背景に関する考察も含め、私見を述べたいと思います。 日本と中国は外交に関して共に苦しい立場にあった、これは否定できないと思います。 中国は日本の鮮魚の輸入を規制し日本の水産関係者に懸念が広がったのはご承知の通りです。更に日本人の中国の短期ビザ免除が一時停止したことで日本のビジネスマンを中心に不便となっていました。更に台湾問題を含め日中の安全保障問題は暗礁に乗り上げていたと思います。 中国はアメリカから厳しい制裁を受け、国内経済の不振も含め、政権の運営能力に不信感がなかったとは言えません。経済成長率は凋落を続け、2025年の成長率は4.4%程度と見込まれます。これだけの人口を抱え、国内経済が成熟してい
衆院選で自民・公明の与党が過半数を割る大敗を喫した背景には、2年以上も続いた実質賃金の低下があります。 安倍政権は「日本復活」を賭けてリフレ政策を採用しましたが、日銀がどれほど金融緩和しても物価は上昇せず、その代わりに円高が修正されて、日本経済は「ゆたかにもならないけれど、貧乏というわけでもない」というぬるま湯につかっていました。 超低金利では銀行に預けたお金は増えませんが、物価が安定していれば、去年と同じ暮らしが今年、来年へと続いていきます。これはとりわけ、年金だけで暮らしている高齢者に大きな安心を提供したでしょう。業績がふるわない中小企業も、銀行からの借り入れにかかる金利は微々たるもので、市場から退出を迫られることもありません。 それに加えて、人類史上、未曽有の超高齢社会に入った日本では、需要と供給の法則によって、稀少な若者の価値が上がっています。大学を卒業すれば(あるいは高卒でも)ほ
2024年10月28日10:00 カテゴリ政治一般社会一般 さてどうする自民党、国政の行方 今回の選挙の解説をする記事やブログ、Youtubeは相当数でるでしょう。私もいくつか感じるところを述べたいと思います。皆様もいろいろ思うところがあるでしょう。どうぞ、皆様の意見もコメントを通じてお聞かせください。 まず、選挙前の私がこのブログに書き込んだ予想数が自民190、立憲150でした。結果が自民191,立憲148ですからまずますの想定どおりでした。公明は議席数を落とす予想でしたが8議席減は想定以上で過半数の233議席には18議席足りません。たださほど悲観する話でもないと思います。なぜなら野党がバラバラだからであり、無所属、諸派などを掘り起こせばある程度の当面の対応は可能だとみているからです。それと諸外国では国を二分するような事態になる中で日本の政党間の主義主張は根本思想というよりこだわりの世界
各社の世論調査で、自民・公明が過半数(233議席)を割ることがほぼ確実になった。特に自民党は200議席を割る大敗で、石破首相の進退問題になることは避けられない。今後のシナリオを予想してみた。 シナリオ1:石破おろしで「40日抗争」 1979年に大平内閣は総選挙で敗北したが、自民党は単独過半数を維持した。前年の総選挙から2議席減っただけだったが、非主流派は大平に退陣を迫った。大平はこれに屈服しなかったので、臨時国会の首班指名に自民党から大平正芳と福田赳夫の2人が立候補する前代未聞の展開となった。これが悪名高い40日抗争である。 今回は自民党内が分裂状態になっている点は当時によく似ているが、自公で過半数を割ると、石破首相が居座るのは困難だろう。高市早苗が首班指名に立候補する可能性もあるが、野党が投票しないので当選できない。 40日抗争の翌年、野党の提出した内閣不信任案に非主流派が賛成して衆議院
※ おことわり 本稿は、ほぼ同じ内容を私のメルマガ『人間迷路』で配信しています。メルマガご購読者の皆さまに於かれましては本稿は配信する記事と同じものですので、お布施でもない限り、間違って買わないようお願いします。 ※ また、本稿はメルマガ用に10月1日夕刻に執筆したもので、3日に取り行われた石破茂さんの所信表明演説の中身は記事中フォローアップしていません。突然地方創生予算が倍になったようですが、記事中指摘している内容は単純に「ボク言いましたよね」って話になってしまうことはご承知おきください。 https://yakan-hiko.com/kirik.html 私も所属組織や関係先から「やれ」「はい」みたいなノリで、純粋に自分がお役に立てるならと思って、冗談みたいな金額でリスク取ってあれこれ長らく界隈をうろついていましたが、そろそろもういいかなと思ってたんですよ…。 ただ今回の自由民主党総裁
首相になった石破茂氏と自民党総裁選で惜敗した高市早苗氏には共通点がある。1993年の政権交代で、自民党を離党して与党に移ったことだ。 石破氏は細川内閣ができたあと新生党に入党し、高市氏は「柿沢自由党」に入党して与党の一員となったが、いずれも新進党時代に離党して自民党に戻った。こういう「裏切り者」が首相になったのは、自民党の歴史始まって以来の出来事である。 「小沢政権は10年続く」と誰もが思った その動機にも共通点がある。今後10年は「小沢一郎政権」が続くと考えていたことだ。彼らだけではなく、誰もがそう思っていた。霞が関でも「小沢シフト」を組んだ官庁が多かった。その代表が大蔵省で、斎藤事務次官は小沢氏と組んで「国民福祉税」をぶち上げた。 小沢氏の構想では、消費税を10%に上げて社会保障の財源とするとともに、小さな政府を実現して財政赤字をなくし、改革に反対する社会党をつぶすために小選挙区制を導
「石破茂さん、相当いろんな筋を心から恨んでいたんだね」 おいなんだあの総務大臣に村上誠一郎さん抜擢って。 よりによって、安倍晋三さんが凶弾に斃れるにあたり「国賊」発言まで踏み込み顰蹙を買った人物を政権要職の総務大臣にあてる人事って、すごくすごいな(語彙力)って思うんですよ。 それに、概ね今回の石破人事は、早期に行われるであろう衆議院の解散総選挙に向けて、重厚感と爆発力とが兼ね備えられた、実にねっとりとした質感を抱かせる代物となっています。 農水族と地方自治と慶應人脈が目立つんですが、それ以上に「石破茂さん、いままで日陰者で自民党非主流派にいたために、相当いろんな筋を心から恨んでいたんだね」っていう感じの報復人事スペシャルといったところでしょうか。 というのも、旧石破派(水月会)の解体に繋がった有力な人物が、今回ことごとく組閣や党人事から見事に追い出されているのです。 村上誠一郎氏 ©文藝春
『高市早苗氏支える“選挙の神様”の票読み「石破さんよりは議員は掌握している」』(9月26日) 投開票前日の記事だ。話しているのは選挙プランナーの藤川晋之助氏。「自身が支援する高市氏の勝利に自信を見せた」とある。藤川氏は東京都知事選で前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏の選挙参謀を務めた。 「『高市』と言うとバッシングが起きるから、みんな黙っている」 石丸氏が2位となり“石丸現象”と言われたのは記憶に新しい。藤川氏は今回石丸氏の時と同様に大手コーヒーチェーン「ドトールコーヒー」の鳥羽博道名誉会長から「高市を頼む」と要請され、支援することになったという。 藤川氏は高市氏の国会議員票について「高市さんは30って言われてるけど。『高市』と言うとバッシングが起きるから、みんな黙っている」と語る。そして「石破さんよりは議員は掌握していると私は読んでますけどね」。
2024年09月28日10:00 カテゴリ政治一般社会一般 今週のつぶやき 昨日の自民党総裁選の結果は思うところがいろいろあります。また世の中では様々なうわさや想像が先走っているようです。今日は何はさておき選挙結果の話だと思いますので全部選挙関連の話題の特別編でお送りします。また、いつもの金融市場のコラムは今日は一番最後に回し、日経平均と円の行方について考えてみたいと思います。 では今週のつぶやき、特別編をお送りいたします。 9人論争は意味があったのか? 総裁選としては最長期間での選挙戦で9人の候補者の論戦は皆さんが窮屈そうに座り発言する中、途中から脱落感があった方が複数いらっしゃいました。例えば上川氏は二階氏に最後のお願いに行き、出てきたところで記者につかまるもむっとした態度に「気持ちに余裕ゼロ、この方は人格的にアウトだな」と思いました。アメリカ大統領選のように途中で棄権する勇気は誰もな
自民党総裁に石破茂氏が決まった。党員投票では高市早苗氏がトップだったが、議員票で逆転したのは、自民党独特のバランス感覚だろう。彼の立ち位置は自民党の中では「党内野党」だが、国民全体の中では中位投票者に近い。 アベノミクス批判の理論武装 私は彼が安倍政権の幹事長だったころから何度か話したことがあるが、とても勉強熱心で読書家である。幹事長室に丸山眞男全集があったのを覚えている。国防については細かいことまですぐ答が返ってくるが、経済政策は苦手だった。 2度目に事務所で会ったときは、私の『今さら聞けない経済教室』にびっしり付箋をつけて読んでいたのが印象的だった。当時は安倍政権で防衛相のポストを断って冷や飯を食っていた時期で、アベノミクスに対抗する理論武装を考えていたようだ。 特に日銀の量的緩和を心配していたが、緊縮財政で選挙に勝つのはむずかしい。財政破綻とかハイパーインフレとか言ってみても、有権者
2024年09月25日10:00 カテゴリ政治一般社会一般 岸田文雄首相の通信簿 総裁選を間近に控えた今、新総裁で湧きあがる前に岸田文雄首相の総括をしておく必要がありそうです。誰でも飛びつきそうな内容なのにメディアはまだ誰も書いていないようなので一足先に私見を述べさせていただきたいと思います。 ずばり、私は通信簿、90点を提示したいと思います。多くの国民、そして保守派の方々にとって安倍元首相の存在とその手腕、さらに任期も圧倒していたこともあり、どうしても比較論になりがちです。しかし、一般的に言われる大物首相の後は目立たない存在となりがちで、菅元首相が安倍氏を踏襲する形で後任となりました。菅氏の功罪についてほとんどニュースにならなかった記憶があります。その後を背負った岸田氏ですが、菅氏がいたにも関わらず、安倍氏との比較論をするからわかりにくくなるのであって全く別の個性を持った首相であるとみる
2024年09月24日10:00 カテゴリ日本の政治社会一般 ザ・政局、大胆予想をしてみよう 野田佳彦氏が立憲民主党の党首になりました。枝野氏が出馬意向を持っていたのは春頃の雑誌のインタビューを読んで気づいていました。故に、初夏のころ、立候補すれば有利ではないかと述べました。その後、野田氏が立候補をしたので野田VS枝野の戦いとなれば野田氏が勝利すると変えました。 私は予想するにあたり立憲民主党の閉塞感を見ていました。泉氏は立憲の向かうべき方向を明白に出せず、リーダーシップとしての重みに欠けました。多くの議員と党員はさまよったといってよいでしょう。共産に接近してみたりとにかくポリシーなき動きで票ありきの姿勢に情けないと思ったのです。「票は政策についてくるものだ」ということが泉氏にはわからなかったのでしょうか。 野田氏も枝野氏も同党の重鎮でありますが、傷を負った2人でもあります。つまり、過去、
出演した正義のミカタはTVerでご覧頂けます。 https://tver.jp/series/srovvinp4d 高橋洋一チャンネルトークショー」2024秋 @有楽町朝日ホール 2024年10月6日(日)開場13:00 開演14:00 ■販売URL: https://eplus.jp/sf/detail/4145670001-P0030001 配信はこちらから https://eplus.jp/sf/detail/4145700001-P0030001 現代ビジネス『ニュースの深層』 ・高橋洋一・ニュースの深層アーカイブシリーズ takahashiarchive.tumblr.com 経済学の古典・フリードマンを元共同通信の小野展克(名古屋外大教授)らと輪読するオンラインコンテンツも販売開始。 ・高橋洋一先生と読むM.フリードマン『資本主義と自由』 https://vimeo.
2024年09月07日10:00 カテゴリ経済一般社会一般 今週のつぶやき 買収提案を受けているセブン&アイの返答が「提案拒否」と報じられていますが、実質的には「金額次第では断れない」といっているようなものです。北米で日常茶飯事行われるM&Aの様相からすれば個人的にはカナダのアリマンタシォン クシュタール社に分が出てきたとみています。もしもア社が現状の6兆円弱からあと1−2兆円上乗せすればセブンは断れなくなります。ア社がそこまでしてでもセブンを欲しいか、賽は投げられたとみています。先方が敵対的買収を仕掛けるような野蛮さはないと思いますけれど、さてさて。 では今週のつぶやきをお送りいたします。 やはりFRBの判断ミスが問われるかも… 本日発表になった8月度のアメリカ雇用統計。インフレが収まりつつある中、アメリカ経済がソフトランディングできるかどうかを占う上で今回の雇用統計はいつも以上に注目さ
岸田首相の突然の不出馬で、自民党総裁選が動き始めた。現役閣僚や党三役も手を上げ、最近まれに見る混戦である。 社会保障改革から逃げる候補たち この中で推薦人を20人集めたと表明したのは小林鷹之氏だけで、あとはまだ立候補できるかどうかもわからないが、石破氏と河野氏は出馬の方針を明らかにしている。茂木氏と高市氏と斎藤氏も出馬の方向だ。 この日経新聞の論点整理にはいろいろな政策があがっているが、解せないのは最大の問題である社会保障改革がないことだ。これについては河野氏が3年前の総裁選で最低保障年金を提案したが、他の候補から集中砲火を浴び、引っ込めてしまった。 多くの候補が言及しているのがエネルギー政策である。これについては河野氏が軌道修正とも受け取れる発言をし、小泉氏も電力の安定供給を重視すると言っている。他の候補も原発重視だが、新設・リプレースを認めるかどうかが一つの争点だろう。 アベノミクスで
2024年07月27日10:00 カテゴリ経済一般社会一般 今週のつぶやき いよいよパリ五輪開幕となりますが、直前に起きた高速鉄道TGV運航妨害は五輪反対派のささやかな抵抗なのか、それが序章なのかわかりません。フランスは個人的には治安という点からは安定感がなく、人々の行動規範もわかりにくい国だと思います。五輪が無事に、そして日本勢の活躍を期待したいところです。金メダル20個、メダル総数55個が目標とのこと。大量獲得が期待できる柔道、レスリング、体操は重要。一方、バレーボールとサッカーはファン層が盛り上がることでしょう。期待したいところです。 では今週のつぶやきをお送りします。 日経平均8連敗! 2年9か月ぶりの日経平均8日連続安は市場が弱虫そのものに見えます。週明け月曜日は大きく反発しそうですが、水曜日の午後1時前後に発表される日銀の定例政策決定会合の行方の予想がつかず水曜日の前場までは様
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