●シリア出国 内戦のシリアから欧州を目指す難民の流れが止らない。密航者は政権軍の攻撃を受ける反政府勢力支配地域だけでなく、ダマスカスなど政権支配下からも多くの人々が出国し、欧州を目指す。密航には様々な方法やルートがあるが、私は今春、ドイツにたどり着いて難民申請をした30代前半のシリア人のムハンマドさんに密航の経験談を聞いた。「ムハンマド」は本名だが、イスラム教徒のなかでは最も数が多い名前で、特定は困難だ。最初の試みだった2013年春には失敗して、一度はシリアに戻り、その後、同夏に2度目の試みで、5カ月かかってドイツにたどり着いた。トルコからすべて陸路で、国境を超え、途中で警察に逮捕され、刑務所に収監されるなどしたためである。 【写真右】シリアから密航しドイツに到着したムハンマドさん。撮影場所は、ドイツ政府が与えた彼のアパートで=川上撮影 ムハンマドさんはダマスカス南郊で電気関係の仕事をして
