当ブログを「読書ガイド」として使う方もいらっしゃるようなので断っておくと、ここで取り上げる本は、私の個人的な興味で選んでいるので、必ずしも万人向きではない。左側の「おすすめの本」にリストアップした本は、買って損はないと思うが、記事で取り上げる本は、専門的な本や読みにくい本もある。 本書も一般向けとはいいがたいが、扱っているテーマは重要である。歓待というのは英語ではhospitality、やまとことばでは「もてなし」だろうか。これはレヴィナスやデリダを読んだ人にはおなじみだろうが、一般にはわかりにくい。その対義語である排除という言葉と対にして考えたほうがわかりやすいかもしれない。 近代社会は「排除の論理」で成り立つ社会である。その根本原理である財産権は、物を排他的に支配し、他人を排除する権利だ。古代の共同体も、よそものを排除するシステムだったが、折口信夫の「まれびと」信仰のように、他から