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その伝説の問題は、2006年京都大学後期試験のラスト(理系第6問、文系第5問)に登場した。
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丁寧に問うともう少し長くなるが、余計な文言を完全に排除した結果、大学入試史上最短問題となった。
伝説の入試問題の中でも、2003年の東京大学の円周率の問題と並んでトップクラスの認知度を誇る。
シンプルであるが故に思考力が問われ、ただし気付けばやはりシンプルに解答できるという良問である。
有理数ではないことは容易に予想できるから、以下のように解答するのがシンプルである。
否。
で終わるとやっぱり0点になるんだろうな(笑)。
ということで、無理数であることを数学的に証明するとしよう。
無理数の定義は「有理数でない」なので、無理数であることの証明は有理数と仮定して矛盾を示す(背理法)のが普通である。
以下のように、加法定理を利用するとあっさりと証明できる。√3が無理数であることは既知としたが、実際の試験では証明しておくのが無難である。
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一旦解答を見てしまえば何てことはないが、試験場でいきなり出くわすとその対応は困難なモノになるだろう。実際、非常に出来が悪かったようである。
cos1°、sin1°は有理数か。
tan1°が無理数であることを証明できたのならば、cos1°やsin1°の場合はどうなるのかが自然と気になる。
2年後、大阪大学の後期試験でcos1°が無理数であることを証明する問題が出題された。
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まずは解答を示す。やや難だが、入試で散見されるいわゆるチェビシェフの多項式の問題を解いた経験があればかなり有利になる。
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無限にある角π/4nのすべてのcosが無理数であることを証明する問題なので、かなり難しく感じられるかもしれない。
以下の具体例で、結局何をしているのかを理解してほしい。
cos1°の場合、加法定理を利用してtan1°と同様に証明しようとしてもうまくいかない。右辺がtanだけで表されるtanの加法定理と異なり、sinも絡んでくるからである。
cos(α+β) = cosαcosβ-sinαsinβ
そこで、cosnθ (n:自然数)がcosθのn次整数係数多項式として表せることを利用する。これを(3)の前半までで証明した。2θ、3θの場合は2倍角の公式、3倍角の公式としてお馴染みである。
後は、θ=1°とするとcos1°が無理数であることが容易に示される。
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ただし、上で示したようにcosnθがcosθのn次整数係数多項式であることを示すのはやや面倒である。
cos1°のみの無理数性を示したいだけならば、cos5θをcosθの5次式に変形できれば十分である。
45=3²×5なので、3倍角の公式と5倍角の公式があれば45°を作れるわけである。
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cos1°の無理数性の証明の方法は他にもあるが、この方法であれば、sin1°の無理数性も同様に証明できる。
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基本的には、cos1°の無理数性の証明よりもsin1°の無理数性の証明の方が難しい。
cosとは違い、一般的にはsinnθをsinθのn次整数係数多項式で表すことはできないからである。実際、sin2θはsinθの整数係数多項式で表すことができない。
ただし、nが奇数ならばsinθのn次整数係数多項式で表すことができる。それゆえ、3倍角の公式と5倍角の公式を利用する方法が有効なのである。