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1970年のワールドシリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1970年ワールドシリーズ
チーム 勝数
ボルチモア・オリオールズAL 4
シンシナティ・レッズNL 1
シリーズ情報
試合日程 10月10日–15日
観客動員 5試合合計:25万3183人
1試合平均:05万0637人
MVP ブルックス・ロビンソン(BAL)
ALCS BAL 3–0 MIN
NLCS CIN 3–0 PIT
殿堂表彰者 アール・ウィーバー(BAL監督)
ジム・パーマー(BAL投手)
ブルックス・ロビンソン(BAL内野手)
フランク・ロビンソン(BAL外野手)
スパーキー・アンダーソン(CIN監督)
ジョニー・ベンチ(CIN捕手)
トニー・ペレス(CIN内野手)
チーム情報
ボルチモア・オリオールズ(BAL)
シリーズ出場 2年連続4回目
GM ハリー・ダルトン
監督 アール・ウィーバー
シーズン成績 108勝54敗・勝率.667
AL東地区優勝
分配金 選手1人あたり1万8215.78ドル[1]

シンシナティ・レッズ(CIN)
シリーズ出場 9年ぶり5回目
GM ボブ・ホーサム
監督 スパーキー・アンダーソン
シーズン成績 102勝60敗・勝率.630
NL西地区優勝
分配金 選手1人あたり1万3687.59ドル[1]
全米テレビ中継
放送局 NBC
実況 カート・ガウディ
解説 ジム・マッキンタイア(第1・2戦)
チャック・トンプソン(第3~5戦)
平均視聴率 19.4%(前年比3.0ポイント下降)[2]
ワールドシリーズ
 < 1969 1971 > 

1970年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第67回ワールドシリーズ(だい67かいワールドシリーズ、67th World Series)は、10月10日から15日にかけて計5試合が開催された。その結果、ボルチモア・オリオールズアメリカンリーグ)がシンシナティ・レッズナショナルリーグ)を4勝1敗で下し、4年ぶり2回目の優勝を果たした。

両チームの対戦はシリーズ史上初めて。レギュラーシーズンで100勝以上を挙げた球団どうしがワールドシリーズで対戦するのは、2年連続7回目である[3]。レッズの本拠地球場リバーフロント・スタジアム人工芝を採用しており、今シリーズ第1戦は人工芝の上で行われたシリーズ史上初の試合となった[4]。オリオールズの三塁手ブルックス・ロビンソンは、記者から人工芝での守備について訊かれ「俺はメジャーリーグの三塁手だぞ。やれと言われれば駐車場でも試合をするし、打球も止めてやるよ」と答えた[5]。今シリーズを通じてB・ロビンソンは好守を続け、レッズ監督スパーキー・アンダーソンに「ブルックスがにまで出てくるようになった。紙皿を落としても、あいつはワンバウンドで拾って俺をアウトにするんだ」と言わしめた[3]。さらにB・ロビンソンは、打撃でも5試合で打率.429・2本塁打・6打点OPS 1.238という成績を残し、シリーズMVPに選出された。

また今シリーズでは、エメット・アシュフォードアフリカ系アメリカ人審判員として史上初のシリーズ出場を果たした[6]。所属するアメリカンリーグは審判員の定年を55歳に設定しており、アシュフォードは1969年11月にその年齢に達していたが、MLBデビューが51歳と遅かったことから、リーグ会長ジョー・クローニンが特例として任期の1年延長を認めていた[7]。今シリーズ終了後にアシュフォードが引退すると、アメリカンリーグにおけるアフリカ系アメリカ人の審判員は、1993年チャック・メリウェザーがデビューするまで20年以上不在となる[8]

試合結果

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1970年のワールドシリーズは10月10日に開幕し、途中に移動日を挟んで6日間で5試合が行われた。日程・結果は以下の通り。

日付 試合 ビジター球団(先攻) スコア ホーム球団(後攻) 開催球場
10月10日(土) 第1戦 ボルチモア・オリオールズ 4-3 シンシナティ・レッズ リバーフロント・スタジアム
10月11日(日) 第2戦 ボルチモア・オリオールズ 6-5 シンシナティ・レッズ
10月12日(月) 移動日
10月13日(火) 第3戦 シンシナティ・レッズ 3-9 ボルチモア・オリオールズ メモリアル・スタジアム
10月14日(水) 第4戦 シンシナティ・レッズ 6-5 ボルチモア・オリオールズ
10月15日(木) 第5戦 シンシナティ・レッズ 3-9 ボルチモア・オリオールズ
優勝:ボルチモア・オリオールズ(4勝1敗 / 4年ぶり2度目)

第1戦 10月10日

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映像外部リンク
MLB.comによる動画(英語)
ジャクソン5による試合前のアメリカ合衆国国歌『星条旗』合唱(1分42秒)
4回表、ブーグ・パウエルの2点本塁打でオリオールズが1点差に追い上げる(58秒)
6回裏、先頭打者リー・メイの三塁線へのゴロを三塁手ブルックス・ロビンソンが逆シングルで捕球してアウトに(34秒)
その後一死一・三塁から、トミー・ヘルムズの投前への打球で三塁走者バーニー・カーボが生還を狙うも得点ならず(1分35秒)
7回裏、B・ロビンソンのソロ本塁打でオリオールズが勝ち越し(49秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
ボルチモア・オリオールズ 0 0 0 2 1 0 1 0 0 4 7 2
シンシナティ・レッズ 1 0 2 0 0 0 0 0 0 3 5 0
  1. 勝利ジム・パーマー(1勝)  
  2. セーブピート・リッカート(1S)  
  3. 敗戦ゲイリー・ノーラン(1敗)  
  4. 本塁打
    BAL:ブーグ・パウエル1号2ラン、エルロッド・ヘンドリックス1号ソロ、ブルックス・ロビンソン1号ソロ
    CIN:リー・メイ1号2ラン
  5. 審判
    [球審]ケン・バークハート(NL)
    [塁審]一塁: レッド・フラハーティ(AL)、二塁: トニー・ベンゾン(NL)、三塁: ボブ・スチュワート(AL)
    [外審]左翼: ビル・ウィリアムズ(NL)、右翼: エメット・アシュフォード(AL)
  6. 昼間試合 試合時間: 2時間24分 観客: 5万1531人
    詳細: Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
ボルチモア・オリオールズ シンシナティ・レッズ
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 D・ビュフォード 1 P・ローズ
2 P・ブレアー 2 B・トーラン
3 B・パウエル 3 T・ペレス
4 F・ロビンソン 4 J・ベンチ
5 B・ロビンソン 5 L・メイ
6 E・ヘンドリックス 6 B・カーボ
7 D・ジョンソン 7 T・ヘルムズ
8 M・ベランガー 8 W・ウッドウォード
9 J・パーマー 9 G・ノーラン
先発投手 投球 先発投手 投球
J・パーマー G・ノーラン

第2戦 10月11日

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  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
ボルチモア・オリオールズ 0 0 0 1 5 0 0 0 0 6 10 2
シンシナティ・レッズ 3 0 1 0 0 1 0 0 0 5 7 0
  1. 勝利トム・フィーバス(1勝)  
  2. セーブディック・ホール(1S)  
  3. 敗戦ミルト・ウィルコックス(1敗)  
  4. 本塁打
    BAL:ブーグ・パウエル2号ソロ
    CIN:ボビー・トーラン1号ソロ、ジョニー・ベンチ1号ソロ
  5. 審判
    [球審]レッド・フラハーティ(AL)
    [塁審]一塁: トニー・ベンゾン(NL)、二塁: ボブ・スチュワート(AL)、三塁: ビル・ウィリアムズ(NL)
    [外審]左翼: エメット・アシュフォード(AL)、右翼: ケン・バークハート(NL)
  6. 昼間試合 試合時間: 2時間26分 観客: 5万1531人
    詳細: Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
ボルチモア・オリオールズ シンシナティ・レッズ
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 D・ビュフォード 1 P・ローズ
2 P・ブレアー 2 B・トーラン
3 B・パウエル 3 T・ペレス
4 F・ロビンソン 4 J・ベンチ
5 B・ロビンソン 5 L・メイ
6 E・ヘンドリックス 6 H・マクレー
7 D・ジョンソン 7 T・ヘルムズ
8 M・ベランガー 8 W・ウッドウォード
9 M・クェイヤー 9 J・マクグロスリン
先発投手 投球 先発投手 投球
M・クェイヤー J・マクグロスリン

第3戦 10月13日

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映像外部リンク
MLB.comによる動画(英語)
3回裏、フランク・ロビンソンのソロ本塁打でオリオールズが2点差に突き放す(43秒)
6回裏、オリオールズの先発投手デーブ・マクナリーが打席で満塁本塁打を放ち自らを援護(1分4秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
シンシナティ・レッズ 0 1 0 0 0 0 2 0 0 3 9 0
ボルチモア・オリオールズ 2 0 1 0 1 4 1 0 X 9 10 1
  1. 勝利デーブ・マクナリー(1勝)  
  2. 敗戦トニー・クロニンガー(1敗)  
  3. 本塁打
    BAL:フランク・ロビンソン1号ソロ、ドン・ビュフォード1号ソロ、デーブ・マクナリー1号満塁
  4. 審判
    [球審]トニー・ベンゾン(NL)
    [塁審]一塁: ボブ・スチュワート(AL)、二塁: ビル・ウィリアムズ(NL)、三塁: エメット・アシュフォード(AL)
    [外審]左翼: ケン・バークハート(NL)、右翼: レッド・フラハーティ(AL)
  5. 昼間試合 試合時間: 2時間9分 観客: 5万1773人
    詳細: Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
シンシナティ・レッズ ボルチモア・オリオールズ
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 P・ローズ 1 D・ビュフォード
2 B・トーラン 2 M・ベランガー
3 T・ペレス 3 B・パウエル
4 J・ベンチ 4 F・ロビンソン
5 L・メイ 5 P・ブレアー
6 H・マクレー 6 B・ロビンソン
7 T・ヘルムズ 7 D・ジョンソン
8 D・コンセプシオン 8 A・エチェバレン
9 T・クロニンガー 9 D・マクナリー
先発投手 投球 先発投手 投球
T・クロニンガー D・マクナリー

第4戦 10月14日

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  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
シンシナティ・レッズ 0 1 1 0 1 0 0 3 0 6 8 3
ボルチモア・オリオールズ 0 1 3 0 0 1 0 0 0 5 8 0
  1. 勝利クレイ・キャロル(1勝)  
  2. 敗戦エディ・ワット(1敗)  
  3. 本塁打
    CIN:ピート・ローズ1号ソロ、リー・メイ2号3ラン
    BAL:ブルックス・ロビンソン2号ソロ
  4. 審判
    [球審]ボブ・スチュワート(AL)
    [塁審]一塁: ビル・ウィリアムズ(NL)、二塁: エメット・アシュフォード(AL)、三塁: ケン・バークハート(NL)
    [外審]左翼: レッド・フラハーティ(AL)、右翼: トニー・ベンゾン(NL)
  5. 昼間試合 試合時間: 2時間26分 観客: 5万3007人
    詳細: Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
シンシナティ・レッズ ボルチモア・オリオールズ
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 B・トーラン 1 D・ビュフォード
2 P・ローズ 2 P・ブレアー
3 T・ペレス 3 B・パウエル
4 J・ベンチ 4 F・ロビンソン
5 L・メイ 5 B・ロビンソン
6 B・カーボ 6 E・ヘンドリックス
7 T・ヘルムズ 7 D・ジョンソン
8 D・コンセプシオン 8 M・ベランガー
9 G・ノーラン 9 J・パーマー
先発投手 投球 先発投手 投球
G・ノーラン J・パーマー

第5戦 10月15日

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映像外部リンク
MLB.comによる動画(英語)
オリオールズが3点を追う初回裏、フランク・ロビンソンの2点本塁打で反撃(34秒)
ポール・ブレアーが2回裏の勝ち越し適時打を含む3安打を放つ(1分2秒)
3回裏、マーブ・レッテンマンドの適時打でオリオールズが2点差に突き放す(1分4秒)
5回裏、レッテンマンドのソロ本塁打でオリオールズのリードが4点に広がる(54秒)
9回表、マイク・クェイヤーが代打パット・コラレスを三ゴロに打ち取り試合終了、オリオールズの優勝が決定(1分37秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
シンシナティ・レッズ 3 0 0 0 0 0 0 0 0 3 6 0
ボルチモア・オリオールズ 2 2 2 0 1 0 0 2 X 9 15 0
  1. 勝利マイク・クェイヤー(1勝)  
  2. 敗戦ジム・メリット(1敗)  
  3. 本塁打
    BAL:フランク・ロビンソン2号2ラン、マーブ・レッテンマンド1号ソロ
  4. 審判
    [球審]ビル・ウィリアムズ(NL)
    [塁審]一塁: エメット・アシュフォード(AL)、二塁: ケン・バークハート(NL)、三塁: レッド・フラハーティ(AL)
    [外審]左翼: トニー・ベンゾン(NL)、右翼: ボブ・スチュワート(AL)
  5. 昼間試合 試合時間: 2時間35分 観客: 4万5341人
    詳細: Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
シンシナティ・レッズ ボルチモア・オリオールズ
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 B・トーラン 1 M・ベランガー
2 P・ローズ 2 P・ブレアー
3 T・ペレス 3 F・ロビンソン
4 J・ベンチ 4 B・パウエル
5 L・メイ 5 M・レッテンマンド
6 H・マクレー 6 B・ロビンソン
7 T・ヘルムズ 7 D・ジョンソン
8 D・コンセプシオン 8 A・エチェバレン
9 J・メリット 9 M・クェイヤー
先発投手 投球 先発投手 投球
J・メリット M・クェイヤー

脚注

[編集]
  1. ^ a b "World Series Gate Receipts," Baseball Almanac. 2019年10月19日閲覧。
  2. ^ "World Series Television Ratings," Baseball Almanac. 2019年10月19日閲覧。
  3. ^ a b Matt Kelly and Manny Randhawa, "Astros-Dodgers joins 100-win Series history / For 8th time, Fall Classic features pair of teams that hit century mark," MLB.com, October 22, 2017. 2019年10月19日閲覧。
  4. ^ Joseph Durso; Special to The New York Times, "UMPIRE DISPUTED," The New York Times, October 11, 1970. 2019年10月19日閲覧。
  5. ^ Roch Kubatko, "Seeing Reds this weekend (plus notes and Reds lineup)," MASNsports.com, June 24, 2011. 2019年10月19日閲覧。
  6. ^ "Dave Roberts guides Dodgers to first World Series in 29 years," Richmond Free Press, October 27, 2017. 2019年10月19日閲覧。
  7. ^ Alex Coffey, "Emmett Ashford Blazed Trail for Umpire Diversity," Baseball Hall of Fame. 2019年10月19日閲覧。
  8. ^ Baxter Holmes, "BALLOT INITIATIVE," Los Angeles Times, July 26, 2009. 2019年10月19日閲覧。

外部リンク

[編集]
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